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海とプール、満喫中

 こうして遊び始めた俺達。

 まず初めにレオが海で遊んだ事がないという事で午前中は海で遊ぶ。

 俺とライトさん、王様と女王様が保護者として近くで一緒に遊ぶ。あとはブランが呼んだ若葉やノワールとも一緒だ。

 他のヴラド一家とかビーチパラソルの下でジュースを飲みながら本を読んだり、日焼けをしている。ヴェルトは……砂風呂状態。砂浜に埋もれて砂の上でブランとレオに好き勝手されるまでがお約束。

 後お約束と言えばレオが海水を舐めた事か。


「うえ~。本当にしょっぱい」

「当然だ。海の水は塩っ辛い物だ」

「なんで海の水はしょっぱいの?」


 子供の無邪気な質問に王様が固まった。女王様に助けを求めるが、首を横に振るだけ。

 最後に俺に助けを求めるが……俺も曖昧にしか覚えてないんだよな。


「確か……岩塩が理由じゃなかったけかな?」

「岩塩?あの岩みたいな塩の事?でもここ海だよ??」

「俺も中途半端にしか覚えてないが……確か雨が降って岩塩とかに溶けた水が海に溜まるから……だったはず」

「でも川の水はしょっぱくないよ?」

「それは単に塩が溜まってないからだよ。海は広いからな、その分塩がかなり溜まってるんだろ」

「へ~そうなんだ!お兄さん色々知ってるんだね!!」

「まぁ無駄知識ばっかりだけどな」


 正直使いどころのない知識ばっかりだ。覚えていたって、こうして子供のちょっとした疑問に答えるぐらいしか使い道がない。

 もっと他の事に頭が使えればいい学校とか行けたんだろうな~。


 そんなちょっとした事件を乗り越えた後、昼飯はBBQバーベキューだ。

 高級リゾートで王族やらそんな感じの人しかいないと聞いていたが、意外と要望する人がいるらしい。

 自分で肉や野菜を焼いて食べる。それが新鮮なんだそうだ。

 あと普通に海に囲まれている分海の魚も焼いて食べれる。個人的には刺身でいただきたいところだが……他の人達には難しいらしい。

 ほらあれだ、外国人が生魚嫌がるのと同じ。生魚は危険という考えが抜けないそうだ。この辺りは食文化的な問題があるから無理強いはしない。


 っという事で海の魚も網の上で焼いて食べる。

 あ~、マグロを焼くのは勿体ないと、思う俺。


「ハクちゃん。お兄さんどうしたの?」

「気にしなくていいよ。生食用じゃないのに生で食べようとしているから」


 生で食べるという所に疑問を浮かべている様だが、そういう食文化もあるという事で認めてくれ。

 でもまぁ普通にバーベキューは楽しいし、雰囲気を楽しむという意味合いもあるからこういうのも悪くない。

 でもやっぱり海の魚は生が1番だと思うんだ。


 その後はプールに行ってみんなで遊ぶ。

 流れるプールは子供でも楽しめるように、ちょっと周りをジャングルっぽくして雰囲気を盛り上げている。もちろんBGMも定番の低い太鼓の音でどんどこ鳴っている。

 レンタルできる大きめの浮き輪にブランを乗せて、俺はその後ろで軽く押しながら泳ぐ。

 レオの方も同じ感じで王様に押してもらっているが……王様はあまり泳ぎが得意ではなさそう。ライオンの獣人だからな、ある意味当然か。


 あとはスライダーに乗ってトイレのように流されてみたり、同じスライダーに乗ってブランとレオがどっちが先に着くか勝負したり、主にブランとレオがメインに楽しんでいる。

 ちなみにヴェルトは流れるプールでまったり流されてばかりいる。楽しめているか確認すると、頷いていたので楽しんではいるのだろう。

 そして俺達は、ブランとレオの無茶ぶりに付き合っていた。


「これは……流石に根性いるな」


 今保護者達の前にあるスライダーは高さ5メートル。角度90度じゃない?っと思えるほどの急斜面だ。

 しかも滑り方は床が抜ける様に座っている部分が折れるらしく、あとはそのまま一直線に落っこちるだけだ。

 もちろんそんな危険そうなスライダーに地肌で乗れという程狂ってはいない。プラスチック製と思われる取っ手のあるビート板のような物に乗って滑り落ちるそうだ。そして最後は水切り石の様に跳ねると。

 そう説明に書かれている。


「これは一体何のために作ったんでしょう?」

「単に根性試しじゃないですか?もしくはスリリングを楽しみたい人向けか」


 ライトさんがそう呟いてしまったので俺は一応答えておく。

 でもやっぱりそういう絶叫系アトラクションだよな、この高さと落ちるっていう仕様は。

 そしてどうしてこんな危険な物にブラン達が俺達に乗らせようとしているかと言うと、自分達が乗れなかったからだ。

 身長制限と言う定番の奴に引っ掛かったのだ。

 元々裸足で遊ぶプールではどうやっても身長を誤魔化す事は出来ず、それじゃせめて誰か乗ってきて!!っという展開になってしまったのである。


 正直言って全員引き気味だ。ノワール達でも引き気味なのだからこの凶悪さがよく伝わる。

 こうなったら仕方がないと、俺は手をあげた。


「「はい」」


 はいと言いながら手をあげたかと思うと、誰かと被った。

 誰だろうと思って見てみると、ライトさんが俺と同じように手を上げていた。

 これは流石にライトさんにはキツイんじゃねぇの?っと思っている間にブラン達が言う。


「それじゃパパとライトお姉ちゃんが乗ってきてね。感想楽しみにしてるね!」


 ……ブランに言われるがままに渋々階段を上る。

 登りながら俺はライトさんに謝罪をする。


「すみませんライトさん。巻き込んじゃって」

「い、いえ。確かに怖いですけど、これもまた試練……」


 途中まで登ったところから見下ろして少し震えている。


「無理しない方がいいですよ」

「途中で降りるのも申し訳ないので、頑張ります」


 震えながらも頑張ると聞いてしまうとどう止めればいいのか分からない。

 アトラクションは楽しんでこそなのだから無理にやる物でもないと思うのだが……


 そう思っている間に頂上に到着。

 担当の人が説明しながらいくつかの注意事項を話してくれる。

 決してボードから手を離さない事、水面に着いたからと言ってすぐに手を離さない事、終わったらすぐにプールから上がる事を言われた。

 俺は聞いて頷いていたが……ライトさんは緊張、と言うよりは恐怖で固まっている。話を聞いているかどうか怪しいというのが正直なところだ。


 そんな不安をよそに俺達はボードの上に乗り、職員の人が下を見て安全を確認した後、俺は落ちた。

 正直感想は?っと聞かれるとやっぱり落ちたとしか言いようがない。座っていたところがほぼ90度に曲がったかと思うと、急に落ちてあとは一瞬だった。

 ジェットコースターとかである股の間に妙な違和感を感じる奴と、一瞬浮いた様な浮遊感を感じた直ぐ後には水切り石の様にぶっ飛んでいった。

 結局降りる時にはブラン達の待つ岸にまで到着し、心臓がバクバクなっている事しか分からなかった。


「パパお帰り。どうだった?」

「…………身長制限がかかっている理由がよく分かった。あとライトさん本当に大丈夫か?」


 そういいながらプールからボードを持って離れると、すぐにライトさんの番になったようで落ちてきた。


「キャアアアアアァァァァァ!!」


 ライトさんの場合は悲鳴を上げながらだった。

 俺の場合緊張と恐怖で声が出なかったので反応としてはこの方が嬉しいのかも知れない。

 だがライトさんは恐怖で体重移動が傾いてしまったのか、途中で曲がってそのままプールの中に落っこちた。

 ヤベ!っと思って動く前に職員がボードとライトさんを連れてきて回収。


「大丈夫ですか?お客様」

「はぁはぁはぁ」


 ライトさんは返事をする余裕もないくらい恐怖に耐えていたらしい。

 俺は職員の人にお礼を言ってからライトさんを受け取ると、ライトさんは途端に顔を赤くした。


「ド、ドラクゥル様!?」

「ライトさん大丈夫ですか?かなり怖かったですよね」

「そ、それはそうですが。こ、この格好は恥ずかしいです……」


 俺は職員から受け取った時、自然とお姫様抱っこをするような形になってしまったのでそれが恥ずかしいんだろう。

 でもライトさんはまだ震えているし、少し休憩を取らせないとダメだと思うので少し我慢してもらう。

 近くのベンチに座らせて休ませながらノワールとブランに言う。


「ノワール、ハク。2人でちょっとライトさんに飲み物買ってきてくれ」

「分かった」

「行ってくるね」


 そう言って2人は飲み物を買いに行った。

 ライトさんはベンチに座った事で緊張が解けたのか、背もたれに寄り掛かりながら大きく息を吐きだした。


「こ、怖かったです」

「ですよね。今度から無理しないでいいんですよ」

「すみません。あ、お借りした服濡れちゃいました」

「新しいのと取り換えましょうか?」

「いえ、中まで濡れてしまったので大丈夫です」

「でもさすがにパーカーは脱がないと」

「そう……ですね。ちょっと恥ずかしいですけど」


 そういってライトさんはパーカーを脱いだ。

 濡れたというのは結構思いっ切り濡れたようで、中に来ていたシャツもびしょ濡れだ。

 そのせいで水着の上の方もシャツが濡れて、透けて見えてしまっている状態なので何か普通に見るよりもエロイ。

 つい視線をさ迷わせながらパーカーを受け取ると、ライトさんは最初不思議そうにしていたが、今の自分の格好を見て顔を赤くした。


「ド、ドラクゥル様!!」

「いやごめんって!それにこれは不可抗力だろ!?」

「それはそうですが……仕方ありません。シャツも脱ぐ事にしましょう」


 そういってシャツも脱いで水着だけの状態になった。

 ライトさんの身体についてだが……意外と着やせするタイプだったらしい。女性らしい部分が結構主張している。平均より上という感じだが、粗食のおかげで無駄な肉が付いている様には見えない。白い肌は綺麗だし、これはこれでどう反応すればいいのか分からない。

 ライトさんは俺の反応には気が付いている様だが、俺が視線をさまよわせているので強く言えないという感じで、とにかく両腕で胸を隠すが余計に主張させてしまっている様に見える。

 この空気どうすればいいんだろうと思っていると、ブランとノワールが帰ってきた。


「ライトお姉ちゃん、パパ、ジュース買ってきたよ」

「無難にスポーツドリンクのような物を買ってきた。これで落ち着くと良い」

「ありがとうございます。ハク様、ノワール様」

「ありがとうな2人とも。いくらだった?」

「カードがあるから問題ない。それより冷たい内に飲むと良い」


 そうだった。1番高いコースで遊んでるっていうカード持ってるから金とか要らないんだ。

 どうやら俺もそれなりに緊張している様なのでありがたくノワールからジュースをもらう。

 確かにこの味はスポーツ飲料だな。ちょっと甘めの気がするけど。

 ジュースを飲んでいるとブランがライトさんに謝っていた。


「ごめんね、ライトお姉ちゃん。嫌だったのに乗せちゃって」

「ハク様が謝る事ではありませんよ。アトラクションの1つなんですからこういうのもあります。ですが謝罪出来て偉いですよ、ハク様」


 そういってブランの頭を撫でるライトさん。ブランは心地よさそうに撫でられる。

 その後レオも謝罪して、それじゃ次に行くかと思ったが、ライトさんは無理そうなのでどうしようか?


「父よ。ハク達の面倒は私達が見る。父ももうしばらく休むと良い」

「大丈夫か?」

「大丈夫だ。これでも兄として長いことやってきている」

「……そうか。それじゃよろしく頼む」


 こうして俺とライトさんを残して他のみんなは他のアトラクションに行った。

 その間の俺達はどうだったかって?

 別に大した事じゃない。ただ一緒のベンチに座って、ジュース飲んで、ちょっと小腹空いたから一緒にホットドック食べてみんなが戻ってくるのを待っていただけだ。

 今夜はクレールのステージを見ないとな。

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[気になる点] 高さ5mのスライダーって、多分桁を間違えてるね。きっと千の一文字を入れるのを忘れたに違いないw
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