プールへゴー!!
朝はバイキングで好きに取って好きに食っていいと言う感じ。
まだ少し眠いが、欠伸をしながら俺は席に飯を運ぶ。
「それにしても……王様達は何で緊張気味なんだ?」
「さぁ?ライトお姉ちゃんがいるからじゃない?」
ブランはそう答えた。
朝飯を食べに来た際にばったり王様一家と会った。
そのまま一緒に朝食と言う事になったのだが、そこからライトさんにヴラド達も一緒になって結構大所帯になってしまったのである。
「王様、どうかしましたか?」
「いや、大した事はないが……やはり教皇様と共に食事をしていると思うとな、緊張ぐらいする」
「俺の友人って事で気にしなくていいと思いますよ?」
「お前の肝はどうなっているんだ?相手は世界最高の宗教の教皇だぞ。そんじょそこらの王族よりもはるかに上の存在なのだ。普通なら教皇様と同席するという事はまずないのだぞ!」
後半こっそりと言う王様だが、ライトさんの場合最初がまずかったんだよ。
だって俺が最初に会った時は図書館の司書とかそのへんだと思ったんだぞ。でも蓋開けてみれば教皇で、ブランの世話をしてくれていた人なんだから色々順序が間違っていると思うんだ。
最初っから教皇で偉いんだぞ!ってやってたら今とは違う関係になってただろうさ。
そして今現在ブランはレオとどこに遊びに行くのか食べながら相談している。
やっぱバイキング方式はダメだな。ブランの奴、好きな物ばかり取ってやがる。もう少し野菜とか食べさせないと。
「ハク様。お野菜」
「……あい」
ライトさんに強く言われてブランは渋々野菜を食べる。ブランもライトさんには頭が上がらない様だ。
ブランの事はライトさんに任せられるのでその間にお互いに予定を聞いておく。
「ちなみに王様達はどこに遊びに行くとか決めてるんですか?」
「まずはこの中央のテーマパークでレオと遊ぶつもりだ。そちらはどんな予定だ」
「あ~。うちもテーマパークに行くんですけど、うちは海岸沿いのテーマパークに行く予定です。今夜このテーマパークで行われるステージに誘われてまして」
「歌姫の居るテーマパークか。確かあそこは食事をしながら歌姫の歌を聞ける場所だったな」
「歌姫?」
「なんだ、知らなかったのか。あそこには人魚族の歌姫がおり、週に1度だけディナー中に歌を歌ってくれるのだ。1度聞けば誰もが虜になると言う。中には熱狂的なファンが国の宝を持って行って求婚までしたと言う噂もある」
もしかしてその歌姫がクレールの事なのか?うちの子モテ過ぎだろ……
そういえば人型状態はまだ見た事がないな。どんな姿なのかはステージを見てからのお楽しみでいいか。
「お父様!お母様!今日はブランちゃんと一緒のテーマパークに行きたいです!!」
ふとレオがそんな事を言った。
どうやらブランと話している間に一緒のテーマパークに行きたくなってしまったのだろう。
俺はアイコンタクトでノワール達に大丈夫か聞くと問題ないと帰ってきて、続いて王様達に聞くと問題ないようだ。
「そうだなレオ。ハク殿と一緒に行くのもよいだろう」
しれっとブランの今の名前をレオに伝える。
レオはあっとした表情を作った後に慌てて言い直した。
「本当ですかお父様!ハク様達と一緒でも構いませんか!?」
「ドラクゥル殿もよいと言った。ならば問題なかろう」
ちなみにブランの名前について王様からこう設定されている。
ブランはホワイトフェザーの巫女であり、かなり地位の高い人であり、人前ではハクと言う偽名を使っているという設定だ。
まぁ元々この設定はホワイトフェザーで作られていた物であり、ただ今回もその設定を使用しているだけらしい。
ブランが直接行って結界を張ったりする時にお忍びで結界を張りに行っていたという。
はて?そう考えると俺はその巫女の父親と言う立場にあるんだろうか?
聞き耳を立てている周りのお偉いさん達はハクの名前に聞き覚えがあるようで、色々噂をしている。
特にホーリーランドのおじさんは目を大きくしていた。俺と視線が合うと印象の良い笑みを見せるが、あれは完全にビビっている。
俺とライトさんが一緒に居る事は昨日から知っていた事だろうし、おそらく俺とライトさんの関係をあれこれ考えていたんだろう。その蓋を開けてみた結果が巫女の父親。
ぶっちゃけホワイトフェザーの巫女の地位がどれだけ大きい物なのか分からないが、他の国の王様がビビるぐらいには高い地位に居るんだろう。
やっぱ俺この世界の常識ないな~。
「それじゃ今日は朝から晩まで遊びますか」
――
こうして俺達は海岸付近のテーマパークで遊ぶ事になった。
王様一家も参加して遊びまくる予定だ。
テーマパークは海に近いという事だけあり、水着を着て遊ぶ事が出来る。プールのあるレジャー施設っぽい感じでスライダーや大きな浮き輪に乗ってスライダーを降りる物もある。
あと普通に砂辺もあるのでそこで海を泳ぐ事も出来た。
っと言う訳で水着に着替える。
「何と言うか……美人が多いのにほとんど子供ばっかりって少し残念に思ってる俺がいる」
「そんな事を言ったら俺は妹だけだ」
「私の場合は妻と娘だな」
「我も同じだ」
「黙れ妻子持ち。最近子供だけじゃなくて恋愛関係もしてみたいなって思うぐらい若いんだよ」
とりあえずヴラドと王様はアウトだ。鼻の下堂々と伸ばしても怒られない奥さんがいるんだからいいだろ。
俺の場合は……全員子供としか見ていないので反応すらしない。いや、これが正常なのは分かってるし、子供に欲情するほど節操なしでもないけどさ。
そう思っていると最初に登場したのはブランとレオだ。
どちらもお子様水着100%。ちょっとかわいい感じにフリルの付いている水着。
その後ろからぞろぞろやってきたのが我らの女性陣。
ヴェルトは緑のパレオ、カーミラはシンプルな黒一色の三角ビキニ、エリザベートはカーミラの水着より少し面積が広い感じのビキニ、女王様は落ち着いたTシャツと短パンの様な水着、若葉はタンキニというタイプの水着だったはず。
みんな似合っているが堂々としているのは子供達とヴェルトとカーミラだけだ。
あとは全員恥ずかしがっている。特に若葉は露出が少ないのに、なぜそんなにモジモジしているのかよく分からない。
「全員似合ってるじゃん。流石うちの子供達」
「パパ!これ可愛い?」
「可愛いぞハク。レオもな」
「わーい!お兄さんに褒められた!!」
とりあえず子供達には無難に褒めておいたが……他の大人組にはどう言えば良いんだろう?
若葉は顔を真っ赤にしているからコメントなどは控える方がいいとして……ヴェルトは特に感想を待っている様子はない。カーミラは俺というよりはヴラドの感想待ち。女王様も王様からコメントをもらえるだろうし、俺が口出すと変な目で見られそうだからなし。エリザベートも……下手に感想を言うのは止めておいた方がいいだろう。
そしてライトさんは……いないな。
「ブラン。ライトさんはどうした?」
「着替えに戸惑ってるよ。やっぱり水着は露出度が多いから苦手だって」
「あ~。なんとなく苦手そうだもんな、ライトさん」
「普段から肌を露出する服は着ないからね~。ノースリーブでもエッチって思う時あるみたいだもん」
「ノースリーブでもか。そりゃ苦手意識あるだろうな」
「お、お待たせしました……」
そういってようやく現れたライトさんは、下はシンプルな白い水着だが、上に普通のTシャツを着ており、さらにオシャレな麦わら帽子もかぶっている。
何と言うか……素直に癒し系のオーラが出ている気がする。
あと普通に露出するのが恥ずかしいっと言う雰囲気が出ていてちょっと良い。
「えっと、その。変ではありませんか?水着の上にその、服を着ていますが」
「大丈夫ですよ。男性でも上にパーカーとか着ている人も居るんで全然変じゃないです」
「よかったです。私はその、あまり肌を露出するのは苦手ですので……」
周りと違う格好をして変じゃないか確認したかったんだろう。
ホッとすると普通に背を伸ばした。まぁすぐ下が水着だけなのでまたすぐに隠すように前かがみになってしまったけど。
「そんなに気になるなら俺のパーカーでも貸しましょうか?俺のならかなりデカいと思うので下も隠れると思いますよ」
「しかしそうするとドラクゥル様の服が……」
「俺の場合いくらでも変えはあるんで、どうぞ」
「……あ、ありがとうございます……」
そう言ってシャツの上から俺のパーカーを羽織った。
やはりサイズが大き過ぎるので太もも辺りまで隠れてしまったが、ライトさんにはこれぐらいがいいだろう。
「あ、でも暑かったら脱いでくださいね。熱中症になったら大変ですから」
「お気遣いありがとうございます。でも多分大丈夫ですよ。麦わら帽子もありますし、涼しい風が吹いてますから」
「でも無理はしないで下さいね」
「はい。ありがとうございます」
これでライトさんも気兼ねなく遊べるだろう。
そう思っていると何やら妙な視線を感じた。
何だろうと思っているとニヤニヤしながら見ていたの子供達と王様達。若葉は何故か顔を赤くしている。
「……?なんだよ。どうかしたか?」
「いや、何でもない。ハク達が遊びたがっている。ハク達の行きたい所から行くとしよう」
ノワールが代表する様に言うだけ言ってレオが行きたい所を王様達に相談している。
俺とライトさんは何だろうと思っていると、ブランが俺達の手を引っ張った。
「パパもライトお姉ちゃんも!早く遊ぼ!!」
「お、おい。引っ張るなよ」
「ハク様!引っ張らないで下さい!!」




