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アビスブルー、旅行計画

 ナダレ達の喧嘩が終わったのでゴブリン帝国とやらに行こうと思ったが、ナダレ達が移動中に起こした大雪のせいで向かう事は難しいという事になり、とりあえず雪が融けるまで待つ事となった。

 その間行なっていた事と言えば、若葉の研修をしながら畑の管理、果樹園の様子を確認、クウォンさんに野菜の出荷、そして子供達の様子を見るぐらい。

 このままグリーンシェルで過ごす事になっちゃうのかな~なんて考えている間に春が近づいてきた。

 春になると雪も解け始め、もう少しでゴブリン帝国に行けるかと思ってたら王様から呼び出しをくらった。


「アビスブルーから連絡があった。近々ホワイトフェザーの港に到着するという連絡が来た。ドラクゥル殿を私が呼んだ客人として招待する事も出来た。ともに参るとしよう」


 …………そっちが先か~。

 正直そっちはもっと遅くなるとばっかり思ってた。まさか春にご到着するとは思ってなかった。


「都合が悪いか?」

「いえ、参加させていただきます。これを逃したら今度はいつ行けるか分かりませんから」


 という事で早速アビスブルーに向かうための準備をする。

 準備と言っても搭乗するのは誰か、必要な金の準備だけ。自分で持って行くものは服とか色々旅行感覚で必要らしいが、王族や金のある貴族ばかり集まるらしいので礼服みたいなものは必須らしい。


 王様曰く、王族とかが良く来るので観光都市に近いという。

 アビスブルーの中心は王族達が楽しむ観光街ばかりで美味しい店や、カジノなどといったレジャー施設も充実。プールやアスレチックなど子供向けの施設も多いそうだ。

 そしてそれ以外の場所だと研究施設や商品開発を行う企業や工場が多いらしい。王族の中にはアビスブルーの化学製品を買いに大富豪などが商談しに行くとか。

 あとは普通にその海で捕れた魚を提供してくれるところなどもあるらしい。

 常にその島に居る訳ではなく、時々他の島に行ってその島の観光なども出来るとか。


 ただし王族や貴族が楽しむ場所というだけあってかなりお値段が高い。

 1番いい所は王族と貴族の家族しか行けないとか。護衛とかも連れて行くとなると、どうしても何段階か落ちた物になってしまうとかなんとか。

 なので俺はどれぐらい金があるのか確認していると……


「想像以上にあるな」


 野菜を売っていた金は溜まりに溜まって1番いいコース5人分は確保できる。

 とりあえず俺を含めてあと4人。誰を選ぶべきなんだろう?

 こういう場に慣れていそうなヴラド達?ブラン達はよく一緒に居るから今回は我慢してもらう?

 ……そういう感じで選びたくはないな……もっとマシな理由があるのならともかく、普段一緒に居るからとかはダメだろう。

 そう思い考えていると、ヴラド達が声をかけてきた。


「ふむ。では我々は我々でアビスブルーに行くか」

「…………は?」


 飯の時に俺と一緒に行きたい人を決めようと相談していた時、ヴラドがそんな事を言った。


「我々でってそう簡単に行ける様な場所じゃないんだろ?金だってかかる訳だし」

「パープルスモックで稼いだ金がまだまだあります。家族3人で行くには問題ありません」

「でも護衛とか色々必要だって聞いたんだけど」

「今は護衛を付ける費用もありませんから。それでもあの国には珍しい物もあるのでお土産を買う予算は多めに持っておくべきでしょう」


 そういうもんか。

 そうなるとヴラド達は自分達で行くと。

 では誰と一緒に行こうと思っていると、ブランが手をあげた。


「ブラン行ってみたい!!」

「その心は?」

「アビスブルーって行った事ないの。それに昔はあまり興味なかったし、お金は国のために使わないといけないから旅行でお金使った事ないの。それにパパと一緒に旅行行きたい!!」


 そうなんだ。旅行行った事ないんだ。

 で、他のみんなはどんな感じか聞いてみる前に後ろから抱き付かれた。


「……海。行きたい」


 ヴェルトだった。

 俺は後ろから抱き付かれたままの状態で振り返りながら聞く。


「海岸とか砂浜で終わりじゃないぞ。海の上なんだけど大丈夫か?」

「……多分」


 ヴェルトはリクガメ型だからか泳ぎは得意ではない。それ以前に泳げない。

 その理由は普通に大き過ぎる身体のせいで重いからだ。手足に水掻きはないし、絶対沈む。

 まぁ一緒に行くといっても本体はここに残るから大丈夫だろうけど、分身体でも大丈夫な物なんだろうか?


「なら俺と約束な。絶対に1人で海に行かない事、良いな」

「……ん」


 満足そうにヴェルトは頷いた。

 でもこうなると俺1人で面倒見る自信がないな。

 なら長男を巻き込めばいい。


「ノワール。強制参加だ。一緒にブランとノワールの面倒見ろ」

「……仕方ないか」


 ノワールは本当に仕方ないという感じで頷いた。

 これで4人は決定。

 ラスイチは誰にしようかな……ん~こういう時はやっぱあれかな。


「若葉も一緒に来るか?」


 黙々と飯を食っていた若葉は箸の手を止めて首を傾げる。

 聞いてなかったみたいだな。


「一緒ってどこにですか?」

「アビスブルー。1人枠が残ってるのに余らせるのも何だしさ、よかったら一緒に行かないか」

「いやいやいや。何言ってるんですかドラクゥルさん。こういうのは家族で行くものですよね?私ただの従業員ですよ。しかもたったの数カ月しか経ってない中学生ですよ」

「でも俺の子供達の中で無理に決めると色々大変な事になりそうだからさ、よかったらどうかな~っと思って」

「でも王族とか貴族とかが行く観光都市?なんですよね。私じゃちょっと……」

「そりゃ観光だから無理にとは言わないけど、仕事とかよく頑張ってるし、子供達からも気に入られてる。しかも最近真面目に仕事し過ぎて疲れてない?中学生だしもう少し遊んでもいいと思うぞ」

「でも……やっぱり美味しいご飯とか住む場所までもらってるのに、旅行まで一緒に居くだなんて図々しくありませんか?」

「働かずに行きたいって言ったらそう思ったかもしれないけど、まじめに仕事してるじゃん。金だって大金持つのが怖いから預かっててくださいって、これは若葉が自由にしていい金なんだぞ。むしろ遠慮され過ぎてる感じがしてるからもうちょっと堂々としたら?」


 そういうと若葉は目を強く瞑って考えた結果。おずおずと手を上げながら小さな声で言う。


「旅行……行ってみたいです」

「じゃあ決まりだな。行くのは俺と若葉、ブラン、ノワール、ヴェルト。個別でヴラド達だな。他のみんなも俺が居ない間は最低限の事だけでゆっくりしてていいぞ」


 そう言うと「わーい!」と子供達が言う。

 でこういう時に戸惑うのが奴隷の子供達なんだよな……むしろ俺達が休んでいる時こそ働かないとって思っている感じがするし。

 とにかく明日は王様にこの事を話さないとな。

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