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雪合戦開始!

 夫婦の喧嘩方法を先に旦那さん達に納得してもらった後、ナダレ達に同じ事を伝えた。


「とりあえず雪合戦でお互いのうっぷんをぶつけろ。そうやってスッキリした後に今後も夫婦として一緒に生きるか、それとも別れて他人になるか決めろ」


 そう言った後、ナダレ達は俺の言葉である事と、勝手に決めるよりはいいかも知れないという事で頷いた。

 そしてここで意外な所から意外な発言が起きた。


「その雪合戦に私も参加してもいいでしょうか?」


 そう言ったのはまさかのカーミラとヴァルゴ。

 同じ部屋に居たヴラドとヨハネも非常に驚き、「俺達、何かやらかしたか?」っとこそこそと相談し始めた。

 でも認めるとなると夫婦3組だけにはならず、どうしたもんかと思っていると、さらなる追撃が起きた。


「ヴァルゴ様も参加するのでしたら是非、私も参加させていただきたい」


 女王様が言った。

 俺はつい王様に向かってどういう事だと視線で訴えたが、王様は確かに教えたけどこんな事を言うだなんて知らない。と首を横に振る。


「どういう事だ?」

「実はここ数日の吹雪の影響で国民全員が強制的に家の中に閉じ込められていた事で不満が溜まっていたそうなのです。ならば祭りの様に盛り上げ、国民参加型の祭りにすればストレスも発散できるのではないかと」

「なるほど。我も祭りとして盛り上げるのも悪くないのではないかと思う。だが冬将軍たちがどう思うか……」

「それならいっその事紅白戦にしますか?」

「紅白とは?」

「簡単に言いますと、女性対男性と言う感じです。俺が育った国だと大抵このように言われる事が多くてですね、女性が紅組、男性が白組に分かれて戦うんです。まぁ直接戦うのではなく文科系の戦いがもっぱらでしたけど」

「つまり夫と妻に分かれて雪合戦を行うと。良い!ではそれでいこうではないか!!」


 こうして国民参加型祭り、『紅白雪合戦大会』を行う事になった。

 出場条件は夫婦である事のみ。

 ルールは相手を攻撃する際には雪玉のみ、それ以外の攻撃は危険行為として強制退場。

 魔法による防御は認める。

 相手の雪玉に倒されてもやる気があるなら続行を認める。

 お互いの陣地に色違いの旗を用意するのでそれを奪取された場合その陣営の敗北。

 制限時間は12時間であり、それを超えた場合は引き分けになる。

 旗に直接魔法をかけるのは禁止だが、半径1メートル離れた場所から魔法の使用も認める。

 直接魔法を使って旗を倒すのは禁止とする。


 こんな感じでルールを作った。

 個人的には魔法なしにしたかったのだが、それだと男性の腕力に劣る女性には不利なのではないかという事になり、しぶしぶ了承した。

 今からでも取り消せないかな……


 そしてルールと言うべきなのかどうか分からないが、きっかけとなったミゾレ達夫婦から1つ頼まれた。

 そのルールが『味方陣地は自分達で作り、防壁なども自作しなければならない。旗の設置は自由とする』というルール。

 まぁ個人的な事を言えば雪の防壁を作ったりするのは運営側である俺達が準備しなくていいので楽と言えるのだが、何かとんでもない事をしでかしそうでちょっと怖い。


 そして雪合戦用に雪を集める期間内に王様と女王様がグリーンシェル中にこの事を告知した。

 夫婦限定と言う参加条件に首を傾げる者も少なくなかっただろうが、それでもお祭りと言う事で参加する人はそれなりに居たが、子供がまだ幼いとの理由で参加を渋っていた夫婦もいたが、そこは運営側である俺と王様達で面倒を責任を持ってみるという事で落ち着いた。

 これにより結構な数の夫婦が参加。両軍100人前後の大軍団となったのは結構意外である。


 そんな通知から1週間後、雪も十分に集まり祭り前の陣営形成の宣言を王様が行う。

 王様と女王様が参加する事もあり、1部緊張している人も見かけるが、思っていた以上に楽しみにしている人達も多く見えたので俺はほっとしている。

 声を大きくする魔法を使って王様は宣言した。


『ではこれより、各陣営の制作に取り掛かる!ルールはたった1つ!お互いに陣営から1キロ以上離れた位置に作る事!以上だ!!ではみなの者、始めるぞ!!』


 その声に両陣営最初から決められていた1キロを離れて陣地を作り出す。

 そして俺はもっと先に気が付くべきだった。

 ミゾレ達、と言うよりは夫婦が思いっきり喧嘩できる場所を提供してしまった事実に関して。


 ――


 翌日。

 各陣営の本陣には立派な日本の城が建っていた。


 ……………………


「あれ?雪合戦の陣地作りって建築物建てる感じだったっけ?」

「流石にそれは違うんじゃない?これ本当に合戦でしょ」


 ブランが可愛らしいモコモコしたコートを着て俺が思った疑問に答えてくれる。

 うん。だよね。陣営を作るじゃなくて、造るだよね。

 実際に拠点攻めになってるよね。なんでここまで本気になるの!?


「これ本当にどういう事?王様と女王様ってこうならないためのストッパーじゃないの?」

「ヨハネとヴラドが言っていたが、随分と前から計画されていたようだぞ。さらに言えば各家庭でも参加する際に手加減無用と言い合っていたとかなんとか」


 ノワールが黒いお高そうなカッコいいコートを着て現れた。

 うん。手加減……してくれると嬉しいなぁ。問題起こさないでくれると嬉しいなぁ。

 そして各陣営、既に陣地にて戦闘準備中なので昨日王様が宣言した場所には居ない。何がそこまでさせるのかさっぱり分からないが、きっと重要な事で、きっとはしゃぎ過ぎているんだろう。

 大人がはしゃぎ過ぎると歯止めがかかりにくいからね。


「父よ。お時間です」


 そう言ってミカエルが俺にマイクを渡してくれる。

 俺は受け取ると不安になりながらも始まる1分前に軽い挨拶をする。あと開戦の合図もしなければならない。

 俺は覚悟を決めると参加者たちに向かって言う。


『みなさん!本日は快晴なり!!風はなく、阻むものなし!!思う存分戦え!!満足するまで戦え!!好きなだけ暴れて勝手に満足して倒れろ!!今日は本当の無礼講だ!!それでは!戦闘開始ー!!』


 そういうとホラガイが鳴り、開戦の合図と上手く重なった。

 こうして、とんでもない夫婦喧嘩を俺は目撃する事になったのである。

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