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果樹園製作中

 こうしてグリーンシェルで果樹園を造る事になったのだが、俺のチート能力があると結構手早く終わる。

 アルカディアから持ってきたこの世界にあっても問題ない果樹の苗木を持ってきて育成するだけ。アルカディアでは1週間で立派な木になるが、こっちではどうなるんだろう?

 とにかく王様が用意してくれた場所に苗木を植えて様子を見る。

 アルカディアと同じであれば1週間でかなり大きく育つはずだ。堆肥なども用意してあるし、虫とかが付かないように唐辛子の汁とか霧吹きで吹きかけておいたし、これでいいはず。


「こんなに簡単な感じでいいの?」

「うちではこんな感じだぞ。等間隔に開けて苗木を植える、種類によってはもっと近付けたり遠ざけたりするけどこの種類はこんな感じ。そして重要なのがここから」

「ここから?」


 俺の作業をじっと見ていたレオがしゃがみながら植えたばかりの苗木を見ながら聞いた。


「そうだ。俺は人の力だけではなくて出来るだけ他の動物達の力を借りるやり方で育ててたんだ。だからここから他の動物達を放つ」

「どんな動物?」

「虫を食べてくれる虫とか、ネズミを食べてくれる鳥とか、そんな感じ。丁度ヴェルトの背中に居た鳥を捕まえて調教した所だ」


 俺が口笛でそいつを呼ぶと、音もなく空からそいつがやってきた。

 口笛で指示を出しながら俺の腕に止まらせてレオに見せる。


「この子がその協力してくれる子だ」

「この子って……フクロウ?」

「そうだ。サイレントオウルって言う種族で結構強い魔物らしい」


 俺はサイレントオウルに肉を与えながらレオに見せる。

 1部レオの護衛をしている人達が反応したが、まだ何もしないので剣に手を当てるだけだ。


「可愛いね」

「そうだな。でもこの子は野生のフクロウ、人に慣れるにはかなり時間がかかるだろうし、すぐに触ろうとしちゃダメな。突かれるから」


 俺はサイレントオウルが止まっている腕を動かしてサイレントオウルを飛び立たせた。

 彼が働くのは最低でも木が大きくなってからだ。なのでこれは事前契約と言う感じ。

 飛んでいくサイレントオウルをレオが見送ると、何やらワクワクした表情を作りながら俺に聞く。


「それで!あの子の他にはどんな子と一緒に作業するの!!」

「花が咲いた時に受粉する様に蜂や蝶といった昆虫に、木が大きくなって芋虫とかを食べてくれる昆虫、木の皮を食べる動物を食べる動物とか色々。まぁ一応これだけ言ったが、最後の奴に関しては人の手でも管理できるから無理に動物の力を借りる必要もないかも」

「色んな子と一緒に育てるんだね」

「それに芋虫と言ってもドリームシルクみたいに色々と役にたつ芋虫がいたりその辺の加減は大変だけどね。虫たちの数が多過ぎて木の葉が食べられたら大変だし、逆に少なくなり過ぎても管理が大変。この辺りに関してはどうしてもな……」

「動物さん達に頼むのも大変なんだね」

「まぁな。人間がエサをやり過ぎて食べなくなっても意味なくなるし、その辺は頑張れとしか言いようがない。そして最後におチビの番」

「おチビ?」


 そう言って最後に現れたのはこの間生まれたばかりのヴェルトの子供。まだ名前は決まっていないのでおチビちゃんと呼んでいる。

 その子がのんびりと歩いて果樹園の中心部分に歩くと穴を掘り始める。浅く、甲羅の下の所が丁度はまるかな?ぐらいの穴におチビがはまって目を閉じる。


「……あれ、何してるの?」

「ヴェルトがやってる事と同じだよ。ヴェルト、グランド・アクーパーラはああやって大地と繋がるんだ。そこから他の木々にも大地の栄養や水を管理してくれる。本当にヴェルト達がいるのといないのでは木の管理のしやすさが段違いなんだよな」

「それじゃお兄さんはいる所は大変?」

「いや、あくまでも最高の状態を維持するのが大変ってだけで普通の状態なら問題ない。それに今はもう片方のおチビが新しい森の主として管理してるから大丈夫」


 アルカディアにある森はブランやノワール達のようにSSSランクモンスターに進化させるために必要な施設の1つだが、これは他の施設の様にただ配置すればいいと言う物ではない。

 この施設だけは自分の手で木々を大きく育て、立派な森にしないといけない。

 樹木の種類なんかも重要で、どんぐりとか桑の木などを中心に人間があまり食べない木を中心に育てる。特に大きくなる木々ばかりなので管理も大変だったのだ。

 いや~今となっては2匹生まれてよかったよ。まだまだ子供とは言えある程度管理できる子が出来て。いきなり全部押し付けるつもりはないし、少しずつ範囲を広げてくれると嬉しいけど。


「もうお仕事をしてるんですか?」

「仕事って言うか何と言うか、チビ達にとっても森の中は安心できる場所だから。それに森の木々が一方的にヴェルトから力をもらっている訳じゃないし、ヴェルト達側に何かあったら木々がエネルギーを分け与える。そんな感じで生きてるから育ちやすい環境のはずではあるんだけどね」

「それじゃここに果樹園を作るのも?」

「そう。いろんな動物や植物に囲まれて成長しやすいと思ったから。あとは普通に木々に何か異常があれば直ぐに教えてくれると思ったから」


 今はまだどちらも幼いから補い合うとはいかないとは思うけどね。

 でもこうSSSランクが増えてくるとやっぱりあれだな。ルージュとかもやっぱり欲しいんだよな……

 ルージュは炎担当と言っても大地の属性に近いし、相性かなりいいんだよね。

 あいつ居るとかなり大地の恵みも増えるし。


「とにかく今は本当に最初の最初だ。のんびり見守っていきましょうか」

「は~い」

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