お偉いさんって大変だ
っと言う事で俺は早速グリーンシェルに向かうつもりだったのだが……
「なにこれ?何で俺ここに居るの??」
ホワイトフェザーへの依頼と言う事でそれなりに派手に行かないと国の格が疑われるとの事で、ライトさんと一緒に出掛ける事になったのだが……
これパレードみたいになってるんだけど。街道に居る人達は国旗を振り、歓声をあげる。
そんな光景を馬車にあるカーテンの隙間からこっそりと覗いてこの状況を知ったのだ。
「何でこんな寒い時期にパレードとかしてるの?迷惑じゃね」
「こう言った事が国力を示すと言う事になるんだよ父さん。出来るだけ派手に、大勢で行く事でその力を示す訳だから」
「ライトさん以外ウリエルとその護衛の天使なのは頭では分かってるが……やっぱ無駄に感じるな……」
何でちょっと仕事に出かけるだけこんなに大事にしないといけないの?やっぱりお国のトップだからか?お仕事でも偉い人は偉い感じにしないといけないと言う事か?
全く理解できない感覚に考え込みながらも、膝の上のブランは言う。
「これはこれから仕事をしてくるライトに対してだけだからパパはそう緊張する必要はないと思うよ」
「緊張とかはしてないよ。でも……やっぱり冬場にこれは大変だろうな~っと思って」
「グレーンシェルがそれだけ危険な状態と取る事も出来る。父さんが言うように冬場なのに他国に頼んでくる時点で異常だ。あの国には元々自然に関する魔物が多く住んでいるし、薬草などがダンジョンから取れる事で薬師も多く存在する。それが他国の薬師に頼むとなる、切羽詰まっている事が分かる」
ノワールの解析がスゲーよ。俺そんな事一切分からなかった。
「噂ではグリーンシェルの奥地にはエルフがいると言う噂もある。うまくいけば弟妹達を見付ける事も出来るかも知れない」
「それって噂なのか?あの子達自然が多くあるところを好むだろ」
エルフ。ファンタジー系の物語には必ず出てくるといってもいいほど有名な種族だ。
アルカディアではエルフと言っても上位種の様な物が多くいるのでエルフと一言でまとめてもそれなりに種族がいる。
人間との違いは聴覚が鋭い事。あの長い耳が音を集める効果があるらしく、耳が敏感。
上位種になって変化する事は寿命の他に自然に対する魔法を使うのが上手になる事。普通のエルフだと土に関する魔法が得意なのだが、成長すると土と風の両方の魔法が使える様になる。
そしてアルカディアに住んでいた時は彼らの家は主にツリーハウスと言う木の上に造る家だ。広いし、木の上でもしっかりとしているので危険性はあまりない。
木の上だから普通に落ちたりとかは注意が必要だけど。
「話を聞く限りグリーンシェルは自然が豊かな森の様だし、そこに固まっている可能性が高いかも」
「ないとは言い切れないね。でも普通に話を聞くと獣人の方が多そうなイメージかな?とりあえず城下町に入るって聞いた事あるよ」
「ブランの言う通りだ。獣人達は森の深くに居るのではなく城下町で冒険者として生活したり、狩人として生計を立てていると聞いている」
「獣人もか……グレムリンとか家に来てくれないかな」
獣人もアルカディアでは1部の種族たちの事を総称した名称だ。
今言ったグレムリンは工具を腰に巻いたウサギの獣人だ。機械いじりが好きでよくトレーニング室の器具を整備したりしてくれていた。
有名どころで言うと狼男も含まれる。っと言っても彼らの場合は最初から頭が狼なので満月を見て変身する訳ではないのは残念だったりする。
グレムリンがいてくれると機械系の整備が楽になるから是非戻ってきて欲しいと願っている。流石にトレーニングルームの器具全部を整備するのは大変なんだよ。メニューで調整しているけど微妙な調整とかできないし。
「グレムリンか……確か彼らはかなり悪戯好きだったよね」
「その代わり機械いじりのプロだけどな。にんじんを咥えさせて黙らせればいいだけだ。もしくはドワーフが来て欲しいが……いないだろうな」
「ドワーフは主に火山地域、カーディナルフレイムに居るからここにはいないね。あっちの方がいい鉱山があるとかないとか」
ブランが思い出しながら言う。
ドワーフは酒と鍛冶が好きな種族。実はアルカディアのドワーフは背が低いと言う事はなく、ただ単に顔が大きい。これにより頭身は小さなくなってしまい、結果ずんぐりむっくりに見えてしまうと言う事だ。
指とかも太いが何故か手先が器用なんだよな……まぁ鍛冶が出来るのに不器用と言うのも違和感があるけど。
「やっぱり鉱山がある所に居るか」
「だね。酒を飲むか、鍛冶をしているかのどっちかだから探すのは難しくはないけど、行くまでが厳しいんだよね」
「かなり遠いんだっけ?」
「パープルスモックから見るととても遠い。移動だけで2ヶ月から3ヶ月は続くと予想されている」
それは遠いな……鉱山とかがある場所に住んでいるであろう予想はしていたが、この世界だとどこに何があるのか明確に書かれていない。
更に簡単に何カ月と言うがバイクやら車などで行くとなると相当時間がかかるだろうに。
そう思いながら馬車の中でため息を付いたのだった。




