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ホーリーランド到着

 ホーリーランドまでの3週間の旅はなんだかんだで全員無事に着いた。

 なんだかんだと言うのは途中野生のモンスターに襲われそうになった事があったからだ。

 やはりと言うかベートの様な食人種が公道に現れる様になっており、襲ってこなかったとしてもじっとこちらの隙を探っている様な仕草があったらしい。

 なので俺はお守りと称してノワールの鱗を布の中にしまったお守りをぶら下げる事でベート達を威嚇。ここにはお前達よりも強い奴がいるぞっと誤認させる事で乗り切った。

 それに俺が作った野菜を食べた護衛のみなさんたちは英気をたっぷり養い、疲労も回復していたので順調と言える旅だった。


 そしてようやく到着してホーリーランド。

 王道と言うか、中世ヨーロッパの街並みそのものだ。

 巨大な城壁で町をぐるっと囲み、モンスターを入れさせないという意志が非常に強い。

 他の町や国に入る時も検閲はあったがここでは他の国とは段違いに厳重だ。

 証明書だけではなく積み荷もチェックされ、入国するのに1時間もかかった。

 恐らく俺達が怪しい、と言うよりは魔物の素材が入り込まないようにしている。と言った方が正しいだろう。

 あとは単純に人数も多いからだろうな。


 そんな厳重な検閲を超え、ようやく入国。

 馬車の窓からそっと覗いたホーリーランドの人達の様子は……ちょっと服とかの質が悪そう?

 人の健康状態は悪くなさそうだが他の国の人達の比べるとあまりよくなさそうに見える。

 俺が知っている国が大国ばかりで金があるからか、細かい所で大国の人と比べると貧弱と言うか、貧しい様に見えた。

 魔物の素材を使っていないというだけでここまで差が生まれる物なんだろうか?


 それを確認するための交流会なのだろうが、まぁ俺はこの国の事を知る事ができればそれでいい。

 と思いつつも一応お偉いさん達と会ってこれからよろしくお願いしますと顔を合わせ、意見交流会は明日からとなった。

 とりあえず旅の疲れもあるし、自室に入ってそこからアルカディアに――


「あれ?おじさん!?何でここにいるの!!」


 ふと子供の声が聞こえたかと思うと、そこには正義君がいた。

 そう言えば正義君はここにいるって聞いてたな。

 それを思い出しながら正義君に軽く挨拶をする。


「久しぶりだな、正義君。元気そうで何より」

「おじさんも元気そうだね。でもどうしてここにいるの?」

「ちょっとこの国の事を見てみたくてね、意見交流会に参加したんだ。正義君はレベル、あがってるか?」

「ちょっとずつだけどね。それに今は騎士団長とかに戦い方を教えてもらってるからあまりレベル上げは上手くいってないかも」

「そうか。安全に強くなれるならそれがいい。ちょっと話するか?」

「うん!」


 こうして正義君を客室に招き入れ、備え付けのお茶を用意しながら話す。

 正義君はベッドに転がりながら話す。


「それで、こっちでの生活はどうなんだ?他の国とはかなり違うって聞いてるが」

「うん……まぁ……そうだね。外国とは結構違うかも。魔物じゃない食べ物?を買うために凄くお金がかかるって王様も悩んでたし、育てるのも大変だって」

「魔物に厳しい国らしいからな。ちゃんと飯食えてるか?」

「食べれてるよ。だって僕、一応勇者でここでみんなを守るんだもん。ちょっと嫌な事もあるけど……」

「嫌な事?あの王様に何か無理矢理されたか?」

「そうじゃないけど……あのリアムって軍人の人、あの人が色々やらかすんだよ。外国で倒して欲しい魔物だけじゃなくて他の魔物も倒そうとしたり、1人でゴブリン帝国を偵察しに行くっとか言って。だから王様も止めるのが大変だってよく言ってる」

「バカな部下を扱うのは大変だな……」


 俺の家族は不良がいないから問題ないし、カーディナルフレイムの女の子達も真面目に農作業してるから全然そんな事がない。

 人に恵まれてるな~俺。


「僕もあいつ嫌い。王様の迷惑になる事ばっかりやってるし、戦う事しか考えてない。もっとみんなのためにやればいいのに」

「そう言う正義君はやりたい事決まったのか?」

「うん!王様の手伝いをしながらこの世界を平和にするんだ。でも……かなり大変だと思う」

「何が大変なんだ?」

「それでね!!ドラクゥルさんに手伝って欲しいんだ!!」


 急に起き出して俺に強く言いだす正義君に気圧されているとすぐに内容を言う。


「ドラクゥルさんにこのホーリーランドで農業してよ!!ドラクゥルさんはそう言うの得意なんでしょ?」

「ま、まぁ得意だが、この国の人に受け入れられるとは思えないぞ」

「どういう事?」

「俺の農業は魔物の糞とかを集めて栽培しているからこの国のやり方に合わないからだ。この国が魔物を少しでも利用しようとしているのなら教えられるが、魔物潔癖症って言えるくらいの人達なんだろ?その場合俺のやり方だと……」

「受け入れてもらえない……そんな~」


 正義君はまたベッドに「あ~」と言いながら倒れた。

 正義君のゲーム能力はおそらく王道的なRPGだろうからおそらく生産系スキルはないのだろう。

 あったとしてもクエストを得て交換してもらうとか、そんな感じではないだろうか。

 だから多分俺の様に一から何かを作る、と言う機能そのものがないのかも知れない。


 そう考えてみると……随分の個人のゲーム能力に差がある。

 俺は箱庭ゲーの育成。戦闘はできない代わりに様々な物を作る事ができる。

 正義君は王道RPG。魔法や近接攻撃などバランスが良いがその代わり自分でアイテムを作るような事は一切できない可能性が高い。

 リアム・フォートレスはFPS。火器を使用した攻撃で魔法が一切使えないが自分でアイテムを製作できるのかは不明。

 アオイさんは格ゲー。様々なゲームキャラを使い分ける事で多彩な攻撃が出来る。アイテム制作能力はなし。

 若葉さんは探索系ゲーム。戦闘はできなくないがあまり攻撃力が高い訳でもない。アイテムも恐らく作れると思うがその規模に関しては不明。


 何だこのバラバラ具合。

 本当に俺達をこの世界によこした神様は何を考えているんだ??

 この世界を救え、そう言われて転移してきた俺達だが結局クリア条件も分からないし、何をすればクリアした事になるのかも分からない。

 結局この世界に呼んだ神様は、俺達に何をさせたかったんだ??


「なぁ正義君。ちょっと聞いてみていいか」

「なに?」

「俺達をこの異世界に召喚した神様は、俺達に何をさせようとしてたんだろうな」

「…………なんだろう?」


 結局俺達に答えはです、お茶飲んでお菓子を食べたあと正義君は戻っていった。

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