プレゼント相談されました
その後もレオと王子君の関係は進む雰囲気はしない。
もちろん俺も周りの人達もいい雰囲気にしようと頑張っている。
と言うか計画中。
とりあえず2人を良い雰囲気、もしくは落ち着いて話が出来る部屋に突っ込んで話し合いをさせようと言う事になった。
もちろんこの事はレオに話しており、とりあえず王子君と世間話でもいいから話しな。と言っておいた。
「分かりました。ロッゾ王子とお話してきます」
さて、これでとりあえず進展すればいいな。
そう思ってたんだけどな……
「ぐす……ひっく……」
王子君、半泣き。
理由はレオと話がうまくいかなかったから。
「これが……女性との経験が少ない弊害だと言うのか……」
「え~っと?」
俺はその場にいなかったので見合い中の会話がどんな物だったのか分からないので一緒に居たメイドさん達に視線を送り、内容を確認する。
「始まりは順調だったのですが……途中意外な方に苦戦したと言いますか」
「苦戦?意外な方?誰の事です??」
「……ドラクゥル様の事です」
「俺?」
俺は場所のセッティングだけで今回はレオと一緒に居なかったはずなんだけど。
一応レオ達の護衛としてアサシンスパイダーを数匹放っておいたが、それ以外は何もしていない。
それなのになぜ俺が邪魔をしたんだ?
「どういう事ですか?」
「ロッゾ様がグリーンシェルの発展についてお褒めになった際に必ずドラクゥル様のお名前が出て来たのです。誓いのバラの発芽条件、試験的にですが始まった果実の販売、最後に次世代のグリーンシェルの守護神の誕生が最後の引き金ですね。ドラクゥル様のご活躍を話される場になってしまいまして」
あ~うん。
ここ最近のグリーンシェルの出来事に関わってる自覚はあったけど、そう聞くと本当に色々関わってたんだな俺。
「でも何であそこまで落ち込むんです?」
「どうやらドラクゥル様と自身を比べてしまい、自信を無くしてしまったようで……」
「俺みたいな平民と比べてどうすんだよ。はぁ、せめて自信を取り戻させないと先に進めなさそうですね」
個人的に王族が平民と比べる時点で間違っている気がするが、とりあえず励ましてみるか。
「ロッゾ王子。そのような姿をレオに見せてはいけませんよ」
「ドラクゥル殿。私は……本当に無力なのだな。レオファリア殿から貴殿の話を聞いているうちに、本当にこの血にしか価値がないと知ってしまった様な気がしてな……」
「他にも価値のある者はあるでしょう。もし仮に本当に血しか価値がないのであれば、何故レオを選んだのですか?大国の姫ではなく、他の貴族や王族でも良かったでしょう」
俺が知りたいと思っていた事をしれっと聞いてみると王子君は体勢を正す。
崩れて机に寄り掛かっていた背を戻し、少し猫背だが俺に話し始める。
「その……俗っぽいと言うか、下品な話が入っても引かれないだろうか?」
「男が女性を求める時に下品な話が入るのは自然な事です。恥ずかしがる必要はありません」
俺がそう言うと王子君はメイド達を下がらせ、代わりに護衛の人と執事っぽい人達が入れ替わる。
女性がいなくなり、屈強な戦士と初老の執事さん達だけの空間になると王子君は話し始めた。
「ご存知の通り我が国は実力が全て、男性も女性も武力を持っている者が偉くなります。私はその、お恥ずかしながらあまり武力は得意ではなく、どちらかと言うと頭を使う事の方が得意です。それはカーディナルフレイムでは異端であり、卑怯者のように扱われる事もあります。なのでその、そう言った偏見のない方と結婚したかったと言う理由もあります」
「なるほど。理想の女性がカーディナルフレイムにはいなかったのですね」
「いえ。全く居なかった訳ではありませんが、それでもやはり武力と共に鍛えるべき。と言う考え方の方が主軸でしたから。それにその……下世話な話は別でして……」
やっぱ王族って色々大変なのかな?
男子中学生みたいにおっぱいだ~巨乳だ~脱童貞だ~みたいな事を話せばいいのに。
紅茶を一口飲みながら俺は思う。
「お若いのですから問題ないですよ」
「…………その、本当に恥ずかしいのですが……」
尻込みする王子君が好きに言えるように俺はとにかく待つ。
顔を真っ赤にしている王子君は意を決したように言った。
「私は!もっと幼い感じの女性が好きなんです!!」
………………それってそんなに下世話な話か?
「こ、個人的な容姿の好みであまり大人っぽくない女性が好きなんです。も、もちろん本当に幼い女の子に対して性的な興奮を覚えるのではなく、少し儚げな、守ってあげる様な女性が好きなんです。自分自身があまり強くないので逆に守ってくれるような女性だと気後れしてしまうと申しますか、好きな女性は自分の手で守りたいと言うか、小さな意地なのですが……周りの女性達、特にカーディナルフレイムの女性達は身長が高くてスタイルの良い女性が多いので、気後れしてしまったと言うか……」
「あの~、王子」
「情けない事は分かっています!ですが、ですがどうしてもカーディナルフレイムの女性達は力強過ぎると言うか、たくましいと言うか!」
「それ普通です」
「そう普通!え、普通なんですか?」
「カーディナルフレイムの外では普通の話ですよ。むしろ女性守られたいと言う方の方が少ないと思います。と言っても私の主観ですが、やはり男性は女性を守りたいって感情を持っている人の方が多いんですよ。特に相手が心から惚れた相手ならなおさらです」
「そう……なのですか?」
「そんなもんです。おそらく王子は保護欲のある女性が好みだったと言うだけです。それは恥ずかしがるような事ではありません」
「……少し安心しました。そのように言ってくれる方は少ないので」
多分王子様だから気軽に話せる相手がいなかっただけの様な気がするが、黙っておこう。
それにカーディナルフレイムの女性達が力強過ぎるのも原因か?
多分強い女のてっぺんがルージュだと思うし。
「でもまぁ……レオも今じゃ強い女か」
「レ、レオ様も
「いえ、そうではなく心が強いと言う方が正しいと思います。出会った頃は見た目通り子供っぽかったんですが、最近は研究者としての面が出てきてからたくましくなったと言うか、頼りになるようになったと言うか」
「そういう意味でしたか。それ程なのですか?」
「知っている者からするとかなりですね。特に自分はたまに会いに来るくらいなので余計に感じます」
「そうなんですか」
「ええ。…………あの時のレオは本当にどこ行っちゃったんだろ」
この世界の子供の精神年齢成長早過ぎるって。
もう少しゆっくり成長すればいいのにな。
「あ、あの!恥ずかしながらお聞きしたい!!レオファリア殿は何がお好きなのでしょうか!!」
王子君がまた恥ずかしそうに言う。
だから、そういうのに恥ずかしがることはないって。
「そうですね……自分が知っている中でレオが好きなのは……果物と動物、それから農業に関する知識ですかね。自分の影響を受けてか自然に育つ植物から無農薬の畑を作る事に力を注いでいるようですから」
「なるほど、無農薬ですか。しかし我が国では植物の生産は非常に低い。彼女の興味を引く物は……」
王子君が考え込む。
確かにカーディナルフレイムで農業に関する知識は非常に少ない。
だが考え方を変えてみるとすれば、カーディナルフレイムにあってグリーンシェルにはない農業に関する物を見付ければいい。
いや、でもこれって結局レオの興味は引いても研究系にまたのめり込むんじゃないか?
でもパッと思いつくのはそれくらいだし……
「そう言えばですが、農業関する物で持ってきたのはマグマスラッグの死体だけですか?」
「その通りです。乾燥させれば重ねて運ぶ事ができますし、コストも少なくて済みますのでマグマスラッグを大量に持ってきました」
「言い方を変えるとマグマスラッグだけって事か。となると……あれが使えるな」
「あれ?」
「レオが研究に没頭するかもしれませんが、気を引く事だけはできます」
「本当ですか!?」
「その代わり輸送が大変ですが」
そう言ってから俺はもってくる物を伝えると王子君はすぐにそれを手配したのだった。




