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みんなでギャンブルをしよう

「と言う訳で、予定よりも早くネグルに行こうと思います」


 その日の夜、晩飯の席で王様達から聞いた話を言うとブランが不思議そうに言う。


「クラルテお兄ちゃんってそう言うゲーム好きだったっけ?」

「いや、好きではない。クラルテが絡んでいるって事はないだろうけど、巻き込まれている可能性は高い。だってクラルテだし」

「クラルテならあり得ますね」

「クラルテは詰めが甘いから」

「……ん」

「ありえないとは言い切れないな」


 流石クラルテ、クレール、ルージュ、ヴェルト、ノワールから安定した支持を得ている。

 お調子者で大のゲーム好き、だからこそ調子に乗って危険なゲームなどに参加させられている可能性が非常に高い。

 それにネグルに行く方法は実は超簡単である事が判明している。


 実はこの世界に鉄道が走っているらしい。

 と言っても開発した国とその属国の中限定らしく、全く関係のない国と国を繋げるような物ではない。

 なので最低その中の国に入らないと鉄道に乗れないが、最もカイネから近い鉄道のある国まで本当なら数ヶ月間の旅をしなければならない。

 と言っても俺達にはスレイプニル達がいるから問題ないんだけどね。


「まぁクラルテの逃げ足ならどうにかなりそうって感じもするが、そうじゃなかったと気がヤバいんだよな……」

「……最速のドラゴン」

「文字通り風速で飛んでくるもんね。私の攻撃は光速だけど」

「ブランのビームはなしだろ」


 ブランの言葉に俺はツッコミを入れる。

 実際クラルテはSSSランクの中で最速なのだ。

 あいつが逃げ切れない相手なんて俺は知らない。


「とにかく、子供達にはカイネに残ってもらって俺達はネグルに行く。元々ギャンブル大国で子供達への教育にも悪そうだし、置いて行くつもりだったけど」

「ブランはブランは!?」

「……ライトさんに任せちゃダメ?」

「一緒に行く!!」


 う~ん。正直子供がギャンブルをする場所にそもそも入れるのかどうかという問題があるのだが、その辺り聞いてなかったな。

 子供向けのコインゲームとかがあるとは思えないし、やっぱ子供にはつまらない場所だと思うんだよね。


「でもブランが入れるかどうか分からないし、ブランが楽しいって思える場所とは限らないぞ」

「行ってから決める。だから連れてってよ~」

「…………はぁ。仕方ない。ちゃんと俺とかノワールから離れない事。2000年生きてたってブランの身体はまだまだ子供だ、他の連中に子供扱いされても怒ったりしない事。これらを守れるのなら連れて行ってあげる」

「やった!!」


 ブランは小さくガッツポーズをとって喜ぶ。

 しかしブランの見た目だと本当に入場制限がかかるような気がしたので誰かと一緒に居ないといけないかも知れない。

 あとギャンブルに強いのって誰だろ?ノワールは計算高くやるイメージはあるけど、感とか運も必要だしな。

 ヴェルトは表情がほぼ変わらないからポーカーフェイスで有利?でも運営側も相手の表情を読む訓練とかしてる気がする。

 クレールは意外と対人戦では有利そう?女社長として活動している訳だし、冷静に相手の表情を読みながら勝負に出るか出ないか決めそう。

 ルージュは……どうなんだ?正直直接戦うというのであれば負ける事はないが、ゲーム関連で戦う姿はあまり見た事ないんだよな。

 ブランも参加すると考えると……運頼み?ブランの場合は楽しみながら運で勝負しそうな気がするんだよね。これも俺の勘だけど。


 え、最後に俺?俺は完全に勘だよ。スロットとかなら目押しでどうにかなるかも知れないけど、他のカードとか対人戦もやってみないと分かんないんだよな……トレーディングカードゲームなら色々やってきたけど。


「それでゲームに参加するのはどうする?」

「「「「「もちろんこのメンバーで」」」」」


 ……ですよね~

 こうしてSSSランク全員でゲームに参加する事が決まった。


「若葉はどうする?」

「ギャンブルですか……このゲーム能力のゲームでもおまけ要素でスロットとかありましたけど、力になれますかね?」

「俺自身運試し程度だし、ちょっと遊ぶ感覚でいいんじゃない?」

「でもこれ現実のギャンブルなんですよね。ちょっと怖いです」

「まぁ……意地張って乗り込まなければ大丈夫じゃない?」


 俺だって本格的にギャンブルをしていた訳じゃないからのめり込む感覚が分からない。何となく分かるのは負けたくない、勝ってやると言って沼にはまってしまう感覚だろうか?

 この辺りはゲームでもよくある。ボスモンスター相手にあの手この手で工夫しながら倒せないか考えるのと同じだろう。

 ただ問題はそこに金が直接絡んでくる点だ。だからこそ余計に次は勝とうと意地を張ってしまうのだろう。


 ま、軍資金はかなりあるから余裕はあるんだけどね。

 どうやら最近うちの野菜たちはかなりの評判になっているらしく、商業ギルドからお願いだからもっと売ってくれと言われたので前よりも多くの野菜を卸す様になったのだが、その分金が大量に入ってきたのでかなり余裕がある。

 それにそこまでギャンブルに強いこだわりも、この世界の金にもこだわりはないのでぶっちゃけ大負けしても問題ない。

 自給自足が出来ている最大の強みだな。


「深く考え過ぎずに楽しめばいいんだと思うよ。それにある程度稼がないといけないだろうし」

「どういう事です?」


 若葉が不思議そうに聞いて来るので俺なりに答える。


「まず王様からの情報だが、裏VIPエリアに入るには王族や名の知れた貴族である事が最低条件らしい。この条件だと俺達は決して裏VIPに入る事すら出来ないが、表向きは普通のカジノだ。普通の人間である俺達が裏に入るためにはゲームで荒稼ぎしないといけない。その前にクラルテを見付ける事が出来たら裏とかに入る必要はないけどな」

「カジノで荒稼ぎですか。でもそれってイカサマをするって事ですよね?即興で出来る物なんですか?」

「いや、荒稼ぎ=イカサマってそれはそれで穏やかじゃないな。必勝法とまではいわないが、ある程度勝てるかもしれないって勝負の仕方は知ってるから、その辺を信じてだな」

「は、はぁ」


 と言ってもクラルテが裏に居るとは思えないけどね。

 あいつは自分だけではなく相手も楽しめるゲームを好む。だからある程度の刺激は必要でギャンブル要素は必要だと考えていたとしても、本気で金稼ぎのためにやるとは思えない。

 自分が金が欲しいからという理由でギャンブルをしていたとしても、他人を巻き込むとは思えない。


「クレール。ギャンブルする時もスーツとかドレスとか必要だったりするか?」

「そうですね。カジノは一応大人の社交場と言われていますから、ドレスコートは必要です」

「前クレールの所で着た様な服で問題ないか?」

「問題ありません。少し流行から遅れているかもしれませんが、お父様が来ているスーツなら古くからあるので問題ないでしょう。しかし……」

「しかし?」

「もう少し派手なアクセサリーを1つは身に着けていただきたいと思っておりました。この際そのアクセサリーを決めてしまいましょう。ドワーフ達やコボルト達もいる事ですし、お父様のための装飾品なら喜んで作ってくれるでしょう」

「いや、俺多分そう言うの似合わないから――」

「あ、それ確かに必要かも。前からパパっておめかしもアクセサリーも何もしないからもっと付ければいいのにって思ってたもん」

「元々スーツもこの世界では地味な方だ。少しアクセントがあった方が目立つかもしれない」

「……カッコいいの、見たい」

「お父ちゃんのカッコいいところ見てみたいな~、なんて」


 あ、あれ?もしかして逃げ場なし??

 なんか俺の意思とは関係のない所で俺の魔改造計画が始まってしまった気がする。

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