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ゴブリン帝国に向かう

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします!!

 アビスブルーに旅行してようやく元の大陸に戻ってきた。

 ここでいったんクレール達と分かれる事になるが、アルカディアでまた会えるから寂しいという事はない。

 それにこの先綿密に連絡を取り合う必要があるかも知れない。あまり想像したくないが、地上から海に向かってぶっ放す武器の類がないと楽観視するよりはマシだろう。


「それじゃあな、クレール、エル、エルちゃん、タイタンさん、アレクサンダー。多分必ずお前達の武器などを使う日が来る、下手すればお前たち自身の力を使う日が来るかもしれない。悪いな、こんな事で手を借りる日が来るかもしれない日を作っちまったとは」

「それはお父様だけの問題ではありません。私がこの世界の人間に対して舐めていた事が原因なのですから」

「子供のために頑張るのも親の役目だろ。それじゃ行ってくる」

「すぐに助けて欲しい時は言ってください。お父様は私達の力を借りる事を渋っていますが、私達をここまで強く、大きくしてくれたお父様にご恩をお返しする事も私達の望みですので」


 そう言ってくれるのは嬉しいが……やはりできるだけこういった事で力を借りるというのは違う気がする。子供達を危険な目に合わせたいと思う親はいない。

 でも俺にとって戦う力こそが子供達、それはどうしようもない事実だ。


「……分かった。その時は力を借りる」


 そう言うのが精いっぱいだった。


 そしてアビスブルーに行く時のように船に乗ってホワイトフェザーに到着した。

 大陸に下りて思いっ切り伸びをする若葉。久しぶりにちゃんと地面の上に立ったからか気分が良さそうだ。


「やっぱり海の上とちゃんとした地面の上は違いますね」

「まぁ微妙に揺れてたからな。久しぶりに動かない地面を踏むとなんか足元ふわふわするな」


 若葉の言葉に同意する。

 そしてライトさんが一緒に下りて頭を下げてから言う。


「この度は申し訳ありませんでした。これからホーリーランドの行動を監視して随時ご報告させていただきます」

「ありがとさん。俺達じゃ直ぐに怪しまれるだろうから助かるよ」

「いえ、これは私の失態です。むしろこのような事しか出来ない事に恥じています。何なりと申し上げ下さい」

「ではこれからもよろしくお願いします。俺達には出来ない事ですから」

「そう言っていただけるととても助かります。では連絡はミカエル様に」

「はい。よろしくお願いします」


 こうして俺はライトさんと分かれた。

 そして俺達はそのまま1度グリーンシェルに王様と一緒に戻った。


「さてドラクゥル。報告として特許申請は正式に認められた。なのでこれから先誓いのバラを咲かせる方法を使わせて欲しい」

「分かりました。それからゴブリン帝国に行く方法ですが」

「分かっている。だが危険だぞ」

「その辺りは情けないですが、子供達に手伝ってもらいながら進んでいこうと思います」

「そうだな。貴殿の家族ならゴブリン帝国まで行けるだろう。それからゴブリン帝国までのおおよその地図を渡す、それを使えばある程度は大丈夫だろう」

「おおよそ?」

「詳しい地図を製作しようとしている時に必ずゴブリン達が妨害してくるのだ。死亡者が出る事は少ないが、それまで記録していた物などは必ず破壊される。だからこそ地図もおおよその物しか作れていないのだ」


 なるほど、想像以上に厄介な帝国のようだ。

 ゴブリンという種族はとにかく仲間意識が強い。おそらくそれが作用してさらに強い国を築き上げたんだろう。

 更にゴブリンの力は仲間の種類の多さとその数。

 国と言うだけの規模があるのは確実だろうが、数が多ければ多いほど厄介なのは誰でも分かるだろうが、ゴブリンキングなどの上位種になると仲間の数が多ければ多いほどに戦闘能力が大きくなる。

 ゴブリンの厄介な種類と数に比べて、特に強い個体が居る訳だから非常に強いのである。


「それで我々から道案内を頼める者を用意しようか?」

「いえ、大丈夫です。この地図を頂けたわけですから、これを元に探してみようと思います」

「そうか……それで誰を連れて行くつもりだ?」

「ヨハネに頼もうかと思います。あいつなら獣人なので道中は護衛としてかなり優れていると思います。確か途中に獣人の人達がいるんですよね」

「そうだ。だがこの国に居る獣人達よりも荒いぞ」

「それでも大丈夫だと思えるのがヨハネなので」

「……確かに。ヨハネ様に勝てる獣人が居るとは思えないな」


 王様はそういった。

 だってそのためのSSランクだし、めっちゃ強いし。


「他には誰を連れていく?」

「あとは……連れて行かないですね」

「それは意外だな」

「だってついこの間までバカンスしていたんですから、しばらくちゃんと仕事しないと」

「それを言われると弱いな」

「なので俺は全力で子供達を探します。その結果良い方向に向かうと信じていますので」

「そうか。応援している」


 こうして俺はヴェルトの背中からヨハネだけを連れてゴブリン帝国があると言われる森に向かって歩き出す。

 そしてヨハネからも意外そうに言われる。


「それにしても親父が俺だけを連れてゴブリン帝国に向かうのは意外だったな」

「そうか?最初の頃は1人で行動してた訳だからそこまで変ではないと思うんだが」

「だって親父は俺達に甘いだろ。特に甘えん坊のブラン嬢ちゃんを連れてないのが1番意外だ」

「ブランはブランでライトさんと一緒にホーリーランドの監視してる。特にノワールとヴラド達はパープルスモックに警戒を促して来るって言ってたしな。みんな色々やる事が出来ちゃったんだよ。仕方ないっと言う感じもあるが、それ以上に忙しいんだろうよ」

「俺が忙しくないように言うのは止めてくれよ」

「そっちはそっちで忙しいのは知ってる。だから俺達だけにしておいたんだよ。まだどこにいるのか分からない子供達は俺が探し出す。それが俺の役目だし、やりたい事だからな」

「分かってるよ。俺達はその手伝いをするだけだ。ルージュとかクラルテを見付けるのは全部過程、俺の目的は子供達全員をアルカディアに連れて帰る事。必ずみんなに謝って、お帰りを言う」

「……時間掛かるな」

「そうだな。でもそれが俺の目的だ」


 そう言って俺はヨハネと一緒にゴブリン帝国を目指すのだった。

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