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第八十四話 小川艦長対アンドロイド その3

「なるほどね」


 小川艦長はアンドロイドを放すと、後ろに跳び跳ねた。


 助走してアンドロイドに向けて突進すると、右手で張り手をしてアンドロイドに胸部に叩きつけた。


「痛っ!」


「アンドロイド、『痛い』と感じるのか!?」


「人間のように『痛覚』があるわけではありません。人間が痛く感じるであろう状況になると、痛い演技をするようにプログラムされています」


「お前の所有者はなかなか細かい所にこだわるな」


 小川艦長は今度はアンドロイドの胸をくすぐった。


「くすぐったいです!」


「アンドロイド、それもプログラムされた演技か?」


「はい、そうです」


「じゃあ、こうすると、どうなる?」


 小川艦長は両手でアンドロイドの胸を揉んだ。


「あっ!あっ!気持ちいい!」


「それも演技なんだな?自分と同じ顔でそうされるのは嫌だな。さて、そろそろ終わりにするか」


 小川艦長はアンドロイドの背後に回った。


 そして、アンドロイドの背中のあちこちを触った。


 いや、触っていると言うより何かを探しているようであった。


「小川艦長、私のリセットボタンを探していますね?」


「その通りだが、見当たらない」


「一般的に人型アンドロイドのリセットボタンは背中にあることが多いですが、私のリセットボタンは背中にはありません。私を裸にしたのはリセットボタンを探すためですね?」


「その通りだ。分かっているなら何故裸になったんだ?アンドロイド」


「小川艦長の裸体の生の画像データが手に入りますから、この勝負の後で画像データを元に私を改造すれば私の身体は完璧にあなたをコピーできます」


「それは嫌だな。勝たせてもらうぞ」


 小川艦長はアンドロイドの右腕を両手でつかんだ。


 そして右腕を折った。


「ぎゅああああ!」


「腕を折られて痛くて叫ぶとは、アンドロイド、本当に芸が細かいな」


「何故だ!?腕を折るなんて!小川艦長の戦闘データには無かった!」


「アンドロイド、お前の所有者が手に入れられた私の戦闘データは低重力レスリングのものだろ?」


「はい、そうです」


「低重力レスリングはあくまでスポーツだ。スポーツで相手の腕を折るようなことはしない。だが、今、お前としているのはスポーツじゃない」


「なるほど、小川艦長に関する新たなデータが手に入りました。これで私はあなたの完璧なコピーに近づけます」


「まだ私と戦うつもりか?やめておいた方がいいぞ。私と能力が同じなら右腕が折れたお前の方が不利だ」


「アンドロイドはアンドロイドの戦い方があるんですよ」


 アンドロイドは左手の手刀で自分の折れた右腕を切断した。


 そして、切断した右腕を左手で棒のように持った。

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[一言] おいおい、いくらなんでもそれは 何がどうなってそうなる
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