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第四十七話 カグヤ・シティ その2

 地球の衛星である月にある月面都市カグヤ・シティは、都市のほとんどが地下にある。


 カグヤ・シティは日本国の管轄する月面都市であり、行政区分は東京都の一部である。


 カグヤ・シティで犯罪が起きれば東京警視庁の管轄ということになっている。


 カグヤ・シティの道路を警視庁と車体に書かれたパトカー数台がサイレンを鳴らしながら走っている。


 カグヤ・シティの自動車はすべて電気自動車である。


 雨が降らないのでオープンカーが多い。


 パトカーも数台がオープンカーで一台には人間の警察官一人と警察用ロボット一機が乗っている。


 カグヤ・シティの天井には普段は地球の晴天の空の映像が映されているのだが、今は日本語や多数の外国語で臨時ニュースのテロップが映されている。


 テロップの内容は「観光バスがテロリストにより襲撃されて乗客が人質になっている」というものであった。


 パトカーの向かう先には観光バスがあった。


 観光バスに向かってパトカーから数機の警察用ロボットが飛び出た。


 だが、観光バスから発砲された銃器により警察用ロボットは破壊されてしまった。


 観光バスの中にはどこかの軍隊から横流しされた装甲機動服を装着したテロリスト五人が乗客を人質にしている。


 その人質となっている乗客の中にはノリオたちもいた。


「ごめんなさい。ノリオお兄ちゃん。あたしが観光バスに乗りたいなんて言ったからこんなことに……」


 ハナは泣き出しそうな声になっていた。


「ハナちゃんのせいじゃないよ」


「不幸中の幸いはノブヨさんとサクラコお姉ちゃんは乗っていないことですね。バスのチケットが二枚しか残っていませんでしたから」


「そうだね」


「ノリオお兄ちゃんお願いがあります」


「ん?なんだい?」


「心細いので慰めるために、あたしのことをぎゅっと抱き締めてください」


「えええっ!?」


「嫌ですか?」


「嫌じゃないけど、僕がハナちゃんぐらいの小さな女の子を抱き締めているのを見られたら犯罪に思われない?」


「この状況だと妹を慰めている兄にしか思われませんよ。さあ、抱き締めてください。さあ、さあ」


 ハナはノリオにぐいぐい迫って来る。


「やめろ!そこまでだ!」


 バスの外から声がした。


 いつの間にかバスは停車している。


 バスの窓から外を見ると、ビルの屋上に五人の人影があった。


「おまえたちは何者だ?」


 テロリストの質問に五人のリーダーが答えた。


「我々は月面戦隊カグヤレンジャー!月の平和は俺たちが守る!」





「月面戦隊カグヤレンジャーショーはこれで終了となります。次回は午後一時からになります。チケットにはまだ余裕があります」


 ショーの係員の声を聞きながらノリオとハナはバスから降りた。

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