第百七話 ニュー・フロンティアでの暴動 その14
惑星調査員グループ・武装探偵グループの双方から議決を拒否される形になった州議会は、州警察・州軍を動かして取り締まろうとした。
しかし、州警察・州軍は議会からの要請を拒否した。
未調査地域での活動にまったく経験がなかったからだ。
ニュー・フロンティア星系の唯一の人類可住惑星である惑星フロンティア・ナンバー・ワンは、何度も言うが、大気圏内での無線通信が困難である。
他の星系の植民惑星であれば、ドローンを使って、短期間で地表の調査ができるのだが、無線操縦型ドローンは使用不能であり、人工知能搭載の自立型ドローンも無線によるバックアップができないので効率が悪い。
それで、人間が直接調査に行くのが最も効率が良いということで、惑星調査員というこの惑星独特の職業が誕生したのだ。
未調査地域で惑星調査員が調査した結果、開拓地に適していると判断された地域は、未調査地域から「開拓地」へと、ニュー・フロンティア星系政府により土地の評価が変わる。
開拓地になると、有線通信設備がまず設置され、村や町がつくられる。
州警察も州軍も有線通信インフラがある場所でしか活動したことがないのだ。
未調査地域では、外と連絡を取るには、伝書鳩か人間が直接連絡のために移動するしか方法がない。
即時通信が不可能な場所では、州警察も州軍も活動に不安があるのだ。
西暦の二十一世紀、携帯電話の普及により、いつでもどこでも即時通信が可能になって以来、地球人類は即時通信が不可能な環境では不安になるケースが見られるようになった。
未調査地域では、遭難しても無線通信で救助を求めるのは不可能なため、実際に危険は大きい。
そのような理由で、州警察・州軍は未調査地域での活動を拒否したのだ。
それに対して州議会は何もできなかった。
州警察・州軍に対して「命令拒否」を理由に処罰することはできるが、上層部の人間が数人辞職するぐらいまでのことしかできない。
それどろこか、州警察・州軍はアメリカらしく州議会に対して訴訟を起こす準備までしていた。
その理由は「未調査地域での活動は州警察・州軍の業務ではないのに命令するのは違反している」である。
泥沼の裁判闘争になるのを恐れた州議会は、口出ししなくなった。
惑星調査員グループと武装探偵グループは、大手を振って未調査地域で活動できるようになった。
惑星調査員グループと武装探偵グループ、双方とも新たな業務に乗り出した。
それは不動産業であった。
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