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第百四話 ニュー・フロンティアでの暴動 その11

 惑星調査員と監査局は、対立関係になった。


 意外なようだが、惑星調査員の全員が「仮想現実賛成派」ではない。


 普通に調査をして得た地表データを正直に星系政府に提出している人物の方が多いぐらいであったのだ。


 そんな人物でも「地表データについて虚偽の報告をしているのではないか?」と監査局に疑われる。


 むしろ、何も問題の無い地表データを提出した人物ほど「巧妙にデータを偽装しているのではないか?」と疑われるのだ。


 監査局は、惑星調査員から提出された地表データについて真偽を調査する権限はあるが、惑星調査員個人について捜査する権限はない。


 地表データ偽装の証拠を見つけたら星系政府の警察に連絡し、対象の惑星調査員は警察に身柄を拘束される。


 仮想現実反対派の長老議員たちは監査局に警察としての権限は与えなかった。


 監査局の人員は他星系でのデジタルタトゥーの経歴持ちなので、長老議員たちは権力の乱用をおそれて警察権は与えなかったのだ。


 監査局の局員たちは、この待遇には不満だった。


「我々にも警察権を!」


 と何度も上層部に訴えたが、認められることはなかった。


 そして、一部の局員が暴走し始めた。


 局員の中には、地球では資産家であり、スキャンダルを起こして地球にはいられなくなり、ニュー・フロンティア星系に移民した人物もいた。


 彼らは個人資産を元手に探偵事務所を設立した。


 ニュー・フロンティア星系は、アメリカ合衆国の一部であるため、日本の興信所とは違い、銃火器の携帯などが認められていた。


 さらに、未調査地域では猛獣に対するため、猟銃や軽機関銃まで認められていた。


 未調査地域への惑星調査員以外の立ち入りは禁止はされてはいない。


 一般人が立ち入っても法的には何も問題はないが、普通は一般人で立ち入る者はいない。


 何度も言うが、惑星フロンティア・ナンバー・ワンの惑星上では電波が謎の自然現象により妨害される。


 有線通信が整備されていない地域に立ち入ることは、自殺行為だと見なされている。


 惑星フロンティア・ナンバー・ワンでは、キャンプや登山などは一般人がする趣味だとはされていない。


 キャンプ場や登山道では、百メートルごとに有線電話の設置が法律により義務付けられているため、民間企業では採算に合わず。


 星系政府が支援する学校教育用のキャンプ場があるだけである。


 探偵たちは未調査地域で活動可能な訓練をして、装備をして惑星調査員の活動を現行犯で取り押さえようとした。


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