41:眠り姫を目覚めさせる方法
※同日2話更新をしています。読み飛ばしにご注意下さい。
柔らかいものが触れている。
何だろうか温かい。……いや、熱い気がする。
「…ん、ぅ」
「メリル、まだだ」
耳元をかすめる吐息混じりの声は、私の大好きな彼のものだ。
けれど、いつもよりもずっと色っぽくて、彼と触れているところが、全部逆立つぐらいにぞくぞくする。
思わず逃げようとしたら、彼の大きな手にがっちり掴まれて、また熱いのにふさがれる。
触れては離れて、また少し違う位置に。
わずかな間を挟みながら、執拗なまでに追って触れてくるそれは、何だか少し怖くて。
でも、同じぐらい気持ち良くもあって。
何だろうこれ、本当に、体が溶けちゃいそうな……
「せん、ぱい…」
「メリル、名前で」
「んっ……ギル」
ただ名前を呼ぶだけなのに。その間にも何度も遮られる。
あつい、こわい、きもちいい
「…メリル」
ああ…鳥肌が止まらない。
なんでこの人が呼ぶ私の名前は、こんなに特別な音をしているんだろう。
大切に、大切に。それはまるで、宝石のように。
「…すき」
「俺もだ」
不思議。さっきまであんなに体が重かったのに。
今はこんなに温かくて、幸せな気持ちでいっぱいだ。
ギル、もっと抱き締めて。触れて。私の名前を、呼んで。
…………そっか。この、とてもきもちいい感触は。
私、彼とキスをしているのか。
なんて、いい夢。
蕩けるほどに優しい腕の中。
遠くで、ガラスの割れる音が聞こえた気がした。




