3.この世界の事を教えて
今回も見て頂きありがとうございます。
短くまとめようとしたのですが大事な部分だったので長くなってしまいましたが、読んで下さると嬉しいです!
文章の誤字脱字等指摘から、感想のコメントなどお待ちしております!!
サイウスと別れた二人はニヴヘルムに向かい歩き出した。
取り敢えず一息つけるタイミングがやってきた事に肩の力が抜け始めるアツシ。
「サイネリア?」
「何だ?急にかしこまって」
「わかんないけど久々に誰かの名前をちゃんと呼ぶなって思ってさ」
「ほぉーん、アツシはあっちの世界でそんなに一人ぼっちだったのか??」
「えっ!!えっ、いや、そんな事は、そんな事は、あーーっと」
「動揺しすぎじゃ!」
軽く平手をもらうアツシ。
「まぁまぁ、過去のことなど今更気にしてもどうにもならん、今は前を見て自分自身で新しい人生と思ってやり直すいい機会じゃないか」
さりげなく優しい言葉を放つ。
“確かに一瞬で色んな事が起きた。今まで生きてきた人生なんかこれっぽっちも思い出に残ることなんて無かったのに、さっきまでの出来事ははっきり鮮明と覚えている。それを得て今俺は生まれて初めてこんな可愛い美少女と歩いている“
夢のような体験と現実と少しの妄想とが重なり、ニヤニヤしているアツシ。
“あちらの世界では味わえなかったひと時だ…噛み締めよう“
バチンッ!!
「おい、アツシ!話を聞いてあるのか!何をニヤニヤしている!」
蕩けた顔をしているアツシにいきなりビンタを喰らわすサイネリア。
「イッッッタァッッ!」
クスッとした顔でアツシ見ているサイネリア。
「何が起きてる事やら自分でも全く頭が追いついてないが、ただ一つ言えることがある………」
あまりにも長い間を開けるアツシ。
「ものすごく楽しい!!今!」
ビンタの痛みなど気にならず誇らしげに語るアツシ。
アツシを見て呆れたサイネリアが手をパチンッと叩き語り出す。
「改めて今の状況を整理すると共に、アツシに置かれた状況、この世界に何が起きているのかを説明するから聞いて欲しいんだ」
重苦しい空気を漂わせながら、話し出すサイネリア。
「今、私とアツシがいるこの世界は分かっているとは思うが、アツシがいた世界ではない」
「と言うと?」
「ズバリ!現在この世には世界は三つある、アツシが住んでた人間が住み繁栄している人間界、私たちが転生をしてきたこの異世界」
「なんだかよく分からないが、俺たちは人間界から異世界に飛んできたって事なんだよな?」
「そうだ、そしてもう一つこれだけは特殊な神たちの住む神ノ世界。この三つの世界が存在している」
「本来、この三世界は交わる事は無いし、交わらない様に均衡を守る神が守っていたはずなのだが、少し前にその神は突然姿を消し、そのバランスは崩れ始めた。それによって《ワールド ブレイク》が起きてしまったのだ。」
困った顔で聞くアツシ。
「その、ワールドブレイク?ってのが起きるとどうなるんだ?」
食い気味に聞く。
「ワールドブレイクとは簡潔に言うと三つの世界の境界線がなくなった事により、世界と世界が混ざり合ってしまう事だ」
「ほうほう、それが起きて何が問題なんだ?俺からしたらこの世界の人と、俺らが空想で信じてきた神様達と会える様になるわけなんだろ、別に悪いこともなさそうじゃないか」
「そんなに優しい話ならいいのだが」
サイネリアは寂しそうに口を開く。
「遥か昔にはこの三つの世界は混ざり合った一つの世界だったんだ、ただ多種族の平穏は長くは続かず気づけば戦争が起きてしまい、互いの種族が多くの犠牲を払う事で戦争は終結した」
「どんな時代でも、どんな世界でも戦争は起きるんだな...」
アツシは生きていた世界でも絶えず世界中で戦争が起きていたことを思い出す。
「そんな戦争の末に、神の代表、人間の代表、異種族の代表達が話し合いをした結果、世界を分ける事になったそうなのだ」
「そうなのだって事はサイネリアもよく知ってるようで知らないんだな?」
「ま、まぁそんな所だ…」
少し動揺をするサイネリア。
「その時、力無く弱い生物である人間達、それ以外の種族と残りたい人間達、そして絶対的強さを有し、事実上戦争を終結させた神達の三つに分けられ、二度と同じ過ちを繰り返さぬ様誓いを立てて世界を三つに分けたのだ」
「なら俺の住んできた世界はその果てに生まれた人間界という事になるんだな」
「その通りだ」
頷くサイネリア
「それでそのワールドブレイクでまた世界が混じるのがまずいって事か」
「そうだ、そしてわたしはこのワールドブレイクを止めたい…もう誰も争わないで欲しいんだ」
『何か』を思い詰めるように話すサイネリア。
「だから私がワールドブレイクを止める力を貸して欲しいんだ」
そうこっちを見つめて伝えてくるサイネリア。
「そう言ってくれるのは嬉しいがサイネリア、俺に
アニメや漫画の様な能力なんて何もないぞ?そんなただの凡人の俺に出来ることなんてあるのか?」
アツシはそう言われても何もないことを伝える。
「人に頼られるなんていつぶりの事かも忘れるぐらい前のことだし、本当に嬉しいのに皮肉だよな、こんな不思議な世界に来て変な鎧の奴らに囲まれたり変わった事は起きても、別に俺に変化は無いんだ...すまん」
「何を言っている、もう得たではないか、その変化とやらを」
「何のことだ?見た目も何も変わってないぞ俺は」
自分を今一度見渡し話すアツシ。
「アツシ、気づいてない様だがこの世界に来てお前は力を宿している、いや宿っていると言うより本来ある力に掛かっていた制限が取れたとゆうのが正解になるのか。」
「力の制限?そんなこと言われても俺には何も変わったことなんてないぞ?」
「ほれ!見てみろ」
アツシの右手を持ち上げ、手の甲を見せてくる。
「えっ!なんだよこれ...」
アツシの右手には見え覚えの無い紋章が刻まれていた




