第七試合 千々梨優美 vs 社階灰汁タケル
さて、そろそろ第一回戦も終わりに近づいて参りました。
結構ここまでムチャクチャでしたね。
次こそは手に汗握る熱戦が繰り広げられることを期待いたしましょう!
期待しましょう。
第七試合! 赤コーナーは千々梨優美選手! 見事にお胸がぺったんこの女子大生です!
これは見事ですね。
対する青コーナーは社階灰汁タケル選手!
これはどういう人なんですか?
見たところ、何の変哲もないただのオッサンです。40歳代半ばくらい? くたびれたムードを全身から漂わせております。
大丈夫なんですかね。
「おじさん、悪いことは言わない」
おっと千々梨選手が社階灰汁選手に話しかけます。
「わたしは強い。あなたに怪我させたくない。棄権してほしい」
「ククククク……」
社階灰汁選手、これを無礼な提言ととったか、苦笑しております。
「もし君がこの私に傷のひとつでも負わせることが出来たら、労災を申請した上で君から慰謝料もガッポリもらうから心配することはない」
「その言い方……どこかで……」
「クククッ……」
「フフフ。あのお方が小娘なんぞに負けるわけがないわ」
おっと! 主催者の松戸バーカー博士が再び放送席に乱入して参りました。
『あのお方』と言いましたが、社階灰汁選手のことをご存知なのですか?
「フフフ。あのお方こそ悪の秘密組織『ギゼン』の最高幹部、ケガレプレジデント様……」
「シャラーップ!」
あっ! 赤いメガネの綺麗なお姉さんも再び登場するや否や、松戸バーカー博士を赤いハイヒールで蹴っ飛ばしました!
私も蹴られてみたいですね。
「なっ……! 何をするのかね、ウシノくん!?」
「このバカ博士! 組織の最高機密をこんなところで全国ネットでバラすんじゃないわよ!」
なんか寸劇みたいなものをお二人で始めましたね。
ツッコミ漫才じゃないんですか?
カーン!
あっ。ゴングが鳴りました。とりあえず試合のほうを見て行きましょう。
そうですね。
「ごめんね、おじさん」
千々梨選手、いきなり仕掛けたーっ!
おっぱいがないぶん素速いですね。
「清貧パンチ!」
おおーっと! その華奢な腕から凄まじい威力のストレートパンチを繰り出しました!
動くのに邪魔なものがついてないのって、いいですよね。
社階灰汁選手、パンチをモロに顔面に受けたーっ!
痛そうな音がしましたね。
「クククク……」
おーっと! 立っております! 社階灰汁選手、効いていないのかーっ!?
何の変哲もないおじさんなのにじつは強いとかですかね?
「ク……ぐはあっ!」
流血だ! 社階灰汁選手、鼻から激しく流血しました!
鼻を押さえてうずくまりましたね。
「だから言ったのに」
千々梨選手、攻撃の手を休めて対戦相手を見下ろします。
「これ以上傷つけたくない。お願い、おじさん。棄権して」
「ク……クク……」
悔しそうに社階灰汁選手、相手を見上げます。
「クククククーッ!! この私を舐めるなーっ!」
「舐めてないよ。おじさんに対して、わたしが強すぎるだけ」
「クククククククーーーッ!!!」
社階灰汁選手、激しく笑いながら立ち上がりました!
Mなんですかね。
「言っておくが……私はまだ本気を出していない。この姿は大きすぎる力を抑えるための仮の姿!」
フリーザのようなことを言い出しましたよ?
あるいはセルですかね。
「そんなのいいから。早く棄権して。お願い」
「クククククー!!! 私の真の姿を見せてやろう!!」
あーっと!? 社階灰汁選手の身体を光が包む! 変身しました! 27歳ぐらいのイケメンに変身しました!
なぜ何の変哲もないおじさんなんかに変装していたんでしょうね。
「フフフ。あの姿ですら、まだケガレプレジデント様の真の姿ではない」
主催者の松戸博士が何やら解説してくれています。
「ケガレプレジデント様はまだ1回変身を残しておられる!」
たった1回なんですか。
「身の程を知れ、小娘!」
うわあーっ!? 社階灰汁選手が前に突き出した左手からビームだ! 真っ黒なビームが飛び出しました!
人間じゃないですね。
これを千々梨選手、まともに受けたーっ!
かわさなかったですね。
「フフフ……。ケガレプレジデント様の必殺技『黒龍波』。これをまともに受けて立っていられた者はない」
主催者の松戸博士がなんだか嬉しそうです。
解説モブみたいになってますね。
「こんなものなの?」
おおーっと! 黒煙が晴れ、千々梨選手の姿が現れました! 立っています! 無傷です!
この人も人間じゃないですね。
「クク……キーーーッ!?」
社階灰汁選手、激昂しました。
悔しそうですね。
「こんなものが本気なら、やっぱりあなたはわたしの敵じゃない」
「ク……グググググ……ッ!」
「わたしはまだヒンニュー・レッドに変身すらしていない。変身する必要さえないと思ってた。でも、あなたからは何やら悪の匂いがする」
あーっ!? 千々梨選手が変身しました! 彼女はなんと、貧乳戦隊おっぱいナインジャーZのヒンニュー・レッドだった!
みんなよく正体を明かしてくれますね。
「貧乳聖撃波!」
その清らかなおっぱいから聖なる光が飛び出しました!
小さな胸からあれほどの量の光が飛び出すとは驚きですね。
「ぎゃぴーっ!」
社階灰汁選手、バイキンマンのように空へ飛んで行きました!
最期の叫びがみっともないですね。
とりあえず第八試合、終了です。勝者、千々梨選手!
あっさりと決まりましたね。
「ウシノくん……」
「松戸博士……」
私どもの後ろで松戸博士と赤いメガネの綺麗なお姉さんが何やらうろたえております。
「大変なことになった……」
「こ、このことは誰にも……極秘に……!」




