お助けキャラがダブルで
「ななななな何者!?」
怪人ジェラス・レディーがどもりまくる。
「ここここはあたしの異空間なんだけど? 精神と時の部屋に外から入って来るようなもんなんだけど!? どどどどどうやって入って来た!?」
それには答えず、キハ仮面が言った。
「轢き殺せ、キハ110系気動車」
ゴアーー!! プオーン!! と音を立てて白と緑のツートンカラーの電車が怪人に突進する。
「危ないじゃないのっ!」
怪人はなんとか横に転んでかわした。
「電車に人身事故を起こさせようとするなんて車掌失格よっ!」
いつの間にか怪人の背後に回り込んでいたヒンニューブラック&ホワイトが声を出す。
「君を倒せばこの異空間を出られるのかな?」
慌てて振り向いた怪人は、見た。
黒いストッキングで顔を隠した、ピッチピチのしまうま模様のスーツにスカート姿の、変態のような男を。
「何、コイツ!? 嫉妬のしようがないわ!」
怪人ジェラス・レディーは嫉妬すればするほど強くなる!
今、嫉妬のしようがないものを目の前にして、その力は急速に弱まり、ただのか弱い女性となった!
「フフフフフ」
変態男は巨乳の怪人を後ろから羽交い締めにすると、耳元に息を吹きかける。
「僕は君のような巨乳さんには興味がないんだ」
「だったら離してよ!」
「でも、君を、倒す」
ゴアーー!! と、そこへまた電車が突進して来る。ヒンニューブラック&ホワイトごと怪人を轢き殺すつもりだ。
「危ないっ!」
ヒンニューブラック&ホワイトは咄嗟に猿のように跳躍すると、電車の上を蹴り、くるくると空中で怪人ごと6回転し、着地した。
ぽかーんとしてただ見守るだけの両レッド。
ようやくキョニューレッドこと獏羽生玲子が口を開いた。
「な、なんですの!? ……じゃなくて、助けに来てくださったの、ヒンニューブラック&ホワイトさん、そしてキハ仮面さま!?」
キハ仮面はまるで執事のようにかしこまった挨拶をすると、玲子に言った。
「私はあなたの危機には必ず駆けつけます。たとえ異空間でも、たとえ火炎地獄でも」
「か……、カッコいい……」
ヒンニューレッドこと千々梨優美優美のキハ仮面を見る目がとろんとし、瞳の中にハートマークが浮かんでいる。
「この世にはこんなカッコいい男の人がいたんだね!」
「ああっ……! もう、これ、邪魔くさい!」
そう言いながらヒンニューブラック&ホワイトが、かぶっていたストッキングを脱ぎ捨てた。
「息がしにくい! 今度ちゃんとしたマスクを作ってもらおう」
その顔は男で、女の声を作るのもやめていた。
篠宮マサシの正体が明らかになり、それが玲子の目の中にどーん!と入って来た。
忘れもしない、あの豪華客船の沈没事故で自分を救い、死んだと思っていた想い人の顔が、そこにあった。
「篠宮さま……?」
玲子の頬を涙がつたい、その唇が笑った。
「篠宮マサシさま! 生きてらっしゃったのね!?」




