『ギゼン』首領と幹部たち
薄暗い洞窟のような地下施設を不気味な青いLEDライトが照らす。つまりは所によりめっちゃ明るい空間の、一番暗い影の部分に大統領椅子がしつらえてあった。
そこに腰を掛ける人物の姿は黒すぎて見えない。
この人物こそ、悪の秘密組織『ギゼン』の首領、『ケガレ・プレジデント』である。
「クックック……。なかなかだ」
首領は愉快そうに言った。
「相当パワーアップしているな、以前のセクハラジョージとは段違いの強さだ」
「ウフフ……。巨乳どもにはじつに相性の悪い改造を施しましたので」
そう言いながら、白衣を纏った巨乳の女性が前に歩み出る。
緑色の長い髪を揺らし、縁の赤いメガネの奥にセクシーな切れ長の目を光らせる彼女はどう見てもキョニューグリーンこと牛野陽奈その人だ。
しかし今、幹部達が見つめるモニターの中には、怪人超セクハラジョージに倒されたキョニュレンジャーのメンバーの中に、確かにキョニューグリーンの姿も映されていた。
「超セクハラジョージは私の改造により、戦う相手がセクシーであればあるほど、その力をブーストさせます。キョニュレンジャーがそのセクシーな胸を揺らして強力な技を放てば放つほど、それに比例してどんどん強くなるのです。つまり、巨乳どもにあのセクハラ野郎は倒せない」
「おまえは頼もしいな、ウシノ」
首領が目の前に立つ彼女を褒めた。
「今後とも是非、我々の野望のためにその力を使うのだ。よいな?」
「もちろんですわ。ケガレ・プレジデント様」
そう言ってチラリとモニターの中で無様に倒れているキョニューグリーンを見る。
「にっっくき巨乳どもを葬ったあとは、『ギゼン』の世界征服のために、この力を捧げる所存です」
「では、今日よりおまえを幹部に昇進させよう」
首領がマントを翻し、立ち上がる。
「ブラック・キギョー! フハイ・ダイギシ! ガッポリ・インチョー! それにおまえを加えて『社会悪四天王』とこれから呼ぶことにする!」
ノリノリだ。
「喜んでお受けいたしますわ」
「期待しているぞ」
首領はウシノの怪人名を、フルネームと合わせて呼んだ。
「ドクター・デカパイことウシノ・チブサ」
女のセクシーな口元がニヤリと笑った。
その時だった。モニターの中で、勇ましく元気ピンピンな女の声が響いた。
『怪人超セクハラジョージ! 次は私達、貧乳戦隊が相手よ!』
「おっ?」
首領が不安そうな声を出す。
「おいおい……。今度は色気がないのが相手だぞ? 超セクハラジョージは相手の色気を吸って強くなるのだろう? 大丈夫か、これ? 相手のマイナスの色気を吸ってしまって、逆に弱くなるとかないだろうな……?」
ウシノ・チブサは自信たっぷりに答えた。
「ウフフ……。心配はございません」




