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35 勘違い


「…きて…起きて…おーきーてー!」

「???」


可愛くて癒される声によって目を覚まし、そして目の前の裸の美少女に見惚れる。


「どうしたの?そんなに見つめて」

「ああ…いや、なんでもないよ。おはよう、アメリア」

「うん、おはよっ♡」


アメリアはニコリと笑い、そして頬を赤らめた。


「どうかしたか?」

「ううん?♡別に〜?♡」

「絶対なんかあんだろ…て、頭いてぇ…」


アメリアの表情に不信感を抱きつつ身体を起こすと、頭に何かが刺さったような痛みに襲われた。


すると二人は同時に身体を寄せてきて心配をしてくる。


「大丈夫?」

「もしかして二日酔い?」

「ああ…そうだろうな…」


昨晩はかなりの量を飲んでしまったためか、今までにないほどの二日酔いになっていた。


それもかなりの問題であるが、それよりも大きな問題があった。


それが何かというと…


「てか、全然昨晩の記憶がねぇんだけど…」


そう、ノアは飲みすぎたせいで昨晩の記憶が吹っ飛んでいるのだ!


当然昨日のイチャイチャも覚えていないため、フェリスとアメリアは事実の捏造をし放題なわけで…。


「ふ〜ん…あれだけのことをしておいて覚えてないんだぁ…」

「あれだけのこと…!?」

「私、もうお嫁に行けないわ…」

「いや俺の嫁なんだよ」


ノアは冷静に対処しようと考えるが、記憶がないものはどうしようもない。


それをいい事に二人はわざとらしく事実を捏造しにかかる。


「無理やりやらされて私はたくさん疲れてるのに…ノアは無責任だねっ…」

「え、まじ?」

「まだ子供はいいってあれだけ言ったのに…あなたは無理やりっ…!」


二人は迫真の演技で涙を流す。


流石にそこまでされてしまうと本当かどうかわからないのでとりあえず深刻そうな表情で謝っておく。


「ご、ごめん…。酔ってたとはいえ、流石に無責任すぎるよな…」


そう言って頭を下げると、二人はクスクスと笑みをこぼして。


「冗談だよっ。そこまでされてないよっ」

「ごめんなさいっ。つい面白くなって」

「はぁ…心臓止まるかと思ったよ…」


二人の言葉を聞いてノアは安心し、ハッと息を吐いて心を落ち着けた。


「酔ってたからって二人にそんな事するわけないか。そこは弁えてるつもりだし」

「「え?」」

「え」


あれ、もしかして普通にやらかしちゃってるやつ?


二人がそのような反応を見せてくるのでノアの心には焦りが生まれてきた。


「ちょっと待て。なんだその反応。冗談だよな?ははっ、二人ともふざけすぎだっt__」

「き、昨日はすごく激しかったよ…?♡それこそもう本能のままに動いてたみたいなかんじで…♡」


あれ、おかしいな。


そんなはずない。


「またまた、冗談だろ?」

「冗談じゃないよ…?ね?」

「う、うん…♡」


フェリスの真っ赤な顔を見てこれが嘘ではないことがわかり、ノアは引き攣った笑みを浮かべた。


「あはは…普通にやらかしてんのか…。ごめんなさぁーい!!」


そして思い切り頭を下げ、二人に謝罪の気持ちを伝えた。


だがその声は届いていないようで、二人は昨晩のことについて語り始めた。


「ホントに昨日はすごかったよね…あんな感じのノア見たことあった?」

「前に少しだけ酔った状態でしたことがあるのだけれど、流石にあれほどじゃなかったわね…」


(一体俺は何をしでかしたんだ!?)


記憶が無いため昨晩の自分の行動に不安を抱き、心臓をバクバクと跳ねさせながらベッドから降りようとした。


だが当然の如く二人に腕を掴まれてしまい、そのままベッドに押し倒されてしまった。


「え、なに…」

「ノアは昨日のこと覚えてないんだよね?」

「ああ、まあな…。で、それがどうかしたか?」

「ふふっ♡ねぇフェリスちゃん」

「ええ。これは仕返しが必要ね」


二人は目に♡を浮かべながらこちらに迫ってくる。


それを必死に止めようとするが、二人はそれを押し切って顔を近づけてきて。


「ま、待て…落ち着け…!まだ話し合える…!!」

「もう遅いわ。あなたが悪いのよ。これだけ興奮させたのはあなたなのだから♡」

「大丈夫♡ノアも疲れてると思うから程々にするから♡」


いやそんなつもり絶対ないだろ!!!


二人の目を見てノアは本能的にそう思った。


というかそもそも朝からしようとするな!


などといった心の叫びなど届くはずもなく、二人は下半身に手を伸ば__


「おはようございます御三方。朝食の用意が…」

「「「あ」」」

「失礼致しました!そ、そこまでお盛んだとは知らず…!朝食はまた後で準備いたしますのでどうかごゆっくり〜!!」


朝食の知らせに来たメイドは慌ててドアを閉め、大声を上げながら去って行った。


その後ろ姿に対してノアは最大限の敬意を払った。


(ナイスメイドさん!これで二人から逃れ__)


「じゃあ続きしよっか♡」

「いや待て!?あれ絶対報告されるって!!今すぐ行かないと絶対誤解されるって!!」

「誤解?私たちは結婚してるんだから何もおかしいことなんてないでしょ?」

「いやそうじゃなくて!!」

「メイドさんも気を遣ってくれたのだから、せっかくなら楽しみましょう?♡」

「いやそういう問題じゃねぇぇぇ!!!!」


昨晩で既に限界を迎えていたはずのノアはなぜか限界突破を遂げるのだった。



「あら♡おはよう♡」

「お、おはようございます…」


あらから一時間後、ようやく解放されたノアはヘロヘロになりながらも朝食を摂るべく食堂に顔を出した。


するとヒストリアからニヤニヤとした笑みを向けられるが、気付かないふりをして席についた。


「あれ、ヒストリアさんだけですか?」

「そうなの♡みんなとお話ししたいからお父さんには出て行ってもらったの♡」


フェリスの言葉を聞いて周りを見渡すとこの部屋にはヒストリアしかいないことに気づき、それと同時に危機感を抱いた。


(なんか、嫌な予感がする…)


ヒストリアの謎の微笑みも相まってとても不審な雰囲気が出ており、ノアはこの場から立ち去ろうとした。


「ちょ、ちょっとお手洗いに…」


一度立ち上がって早歩きで部屋から出て行こうとするが、後ろからとんでもない勢いで腕を掴まれて。


「ダメよ?♡朝ごはんが冷めちゃうからね♡」

「い、いやぁ…もう漏れそうなので…」

「もうたっぷり出したんじゃないの?♡」

「ブッ!?」


突然のヒストリアの爆弾発言に流石に驚き、それと同時にやはり今朝の出来事がバレていることに気がついた。


そうであるのならこちらも逃げ出したいのだが、ここで嫁二人が目の前に立ってきて頬を赤らめてきた。


「あ、あんなに出したのにもうしたくなっちゃったの…?」

「すごく元気なのね…。これがお酒の力なのかしら…」

「いや待て!何かがおかしいぞ!」


勘違いの仕方がわざとらしすぎないか?


いやこの純粋な二人ならこういった勘違いもあり得るのか。


そんな風に思った矢先、ヒストリアがニコッと笑いながらこちらに迫ってきた。


「何もおかしくないわよ?♡元気なのはいいことじゃない♡さあ、私のことは気にせず始めていいわよ?♡」

「よくないだろぉぉぉ!!!」


ノアの言葉などこの場にいる人間に届くはずもなく、嫁二人はしゃがんで目線を目の前に向けた。


「さぁ!私のアドバイス通りに出来てるか見せてちょうだい♡」

「が、頑張るねっ!」

「頑張ります」

「え?」


アドバイス…?


一体どういうことだ…?


(もしかしてヒストリアさんは俺が酔っている間に何か吹き込んだのか…?)


確かに今朝の二人の技術は素晴らしいものだった。


今思えばあの技術は独学では辿り着けない領域だった。


ならつまり、二人はヒストリアに悪知恵を仕込まれたのか…?


ここでノアは全てを理解し、そして二人から距離をとった。


「ヒストリアさん…」

「どうしたの?♡やだ、私にしてほしいの…?♡もう、それはダメよ?♡」

「いや違いますから」

「ずっと見ていてあげるから、それで我慢して?♡ね?♡」

「だから違うってぇぇぇ!!!」


そしてそのタイミングでメイドが扉を開けて朝食を運んできたため、もう一度勘違いされてしまうことになるのだった。


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