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34 楽しい夜


「いやぁノアくんに嫁げてよかったな!アメリア!」


日が落ち始めて暗さがやってきた頃、アメリアの結婚に対する祝杯が行われていたのだが、アブストはワインを三口ほど飲んだ頃にベロベロに酔っ払っていた。


「もう、お父さん酔いすぎだよっ」

「ん?だいじょおぶだってぇ。まだまだこれからだぞー?」


数時間前までとても温厚だった人が今はまるで別人のように大きな声をあげた。


そしてノアはその姿を隣からジト目で見つめる。


(人って、酒でこんなに変わるもんなんだな…)


あまりにもとんでもない人の変わりっぷりにノアはアルコールの恐ろしさを再認識した。


まあ、それでもワインは飲み進めるのだが。


「それにしても美味いですねこれ。どこのワインですか?」

「ああ、これはえっとぉ…忘れた!ごめん!」

「あ、そうですか…」


にしてもかなりの酔いっぷりだなこの人。


顔は真っ赤だし、さっきから身体がフラフラ揺れてるし。


何よりテンションが高すぎる!


だがそれが酒の場としては正解なのだろうが。


ならこちらもハイテンションになって対抗しなければ!


そう考えたノアはワインを一気に飲み進めた。


「え、ちょ__そんなに一気に飲んで大丈夫?」

「おお!いい飲みっぷりだね!」

「ぷはぁっ…すいません、おかわりお願いします!」


ノアはグラスのワインを一気に飲み干し、上気分で使用人におかわりを要求する。


「そんなにハイペースで大丈夫なの?」

「ああ。今日は祝いの席なんだから思い切り酔って思い切り楽しまないとな!」

「まあ…それもそうだけど…♡」


向かいの席に座るフェリスがなぜか頬を染めてどこかを眺めながら何かを考え始めた。


(?…何かを期待してる…?)


ノアの勘がフェリスの行動の理由にそう言った結論を出し、頭の中が疑問符でいっぱいになる。


(…ま、なんでもいっか!何かあるなら後で話して貰えばいいか!)


少しずつ酔いが回ってノアは考えるのを諦め、目の前にある料理を思い切り頬張る。


(ん〜!どれもこれも美味いなぁ〜!きっと料理上手い人がいるんだな〜!羨ましい!)


そんなことを考えながら料理を堪能していると、まだワインをほとんど飲んでいない義理の母が質問を投げてきた。


「ねえノアくん。一つだけ訊いていい?」

「ええ、どうぞ」

「ノアくんはさ、アメリアと子供を作る予定はある?」

「っ!?お母さん!?」


ヒストリアがあまりに突拍子もない質問をしたため、アメリアは机を叩いて目を見開いた。


「な、何訊いてるの!?そんなのまだ考えてるわけ__」

「俺は作りたいと思ってます。アメリアがどうかは知りませんがっ」

「え、えぇ〜!?♡」


頭が回っていないノアはサラッと本音を言ってしまい、アメリアの頬を真っ赤にさせてしまった。


そしてその赤さは母親にも伝染してしまう。


「まあ…♡ノアくんは結構積極的なのね♡」

「〜〜!♡」


あまりの恥ずかしさにアメリアは頬を抑えて声にならない声をあげていると、ヒストリアが身を乗り出してアメリアを説得し始めた。


「ほら、アメリア!今がチャンスよ!ちゃんとお願いして!」

「無理だよぉ…」

「違うわよアメリア!今ノアくんは酔っ払って冷静な判断ができないわ。だからそのうちに既成事実を作ってしまうの。そうしたらきっと誠実なノアくんなら責任をとってくれるはずよ!」

「〜〜!♡」


男二人が酔っ払ってるのをいい事にヒストリアはとんでもないことを口走る。


そしてその発言に頬を赤く染めさせられた人物が二人。


(この人、一体アメリアに何をさせるつもり…?)

(でもうまくいけばノアと子供を…今晩はちょっと頑張らないとっ)


ノアの妻である二人は今晩のベッドでの出来事について思考を巡らせる。


その姿を先輩婦人であるヒストリは微笑ましい表情で眺める。


「二人とも頑張ってね♡あ、もし何か訊きたいことがあったら言ってね?例えば彼の悦ばせ方とか♡」

「「……」」


ヒストリアの言葉に二人は黙り込み、そして同時にこう考えた。


((後で訊こ…))


二人は熱い夜を過ごすべくヒストリアに教えを乞うのだった。



そして夜、客室にて。


当然のように三人でベッドに入り、酔って頭が回っていない状態でイチャイチャしていた。


「え〜?♡絶対私の方がノアのこと好きだよ?♡」

「いーや、俺の方がアメリアのこと好きだって」

「じゃあお互いの好きなところたくさん言い合って先に言葉に詰まった方が負けね?」

「望むところだ!」


酔った勢いで二人の世界に入り込み、互いのいいところをとにかく言いまくっていると、もう一人が物欲しそうに身体に触れてきた。


「ねえ、二人ばっかりずるいわ。私も混ぜて?♡」


当然フェリスも酔っているためいつもよりも大胆に身体を押し当ててくる。


そしていつものような冷静な判断ができないノアはあっけなく誘惑に乗ってしまう。


「ねえ、それ、誘ってんの?」

「それは、もちろん…♡」

「ふーん…なら、遠慮なくさせてもらうなっ」


自分の本能に身を任せ、フェリスに口付けをした。


「あ!ずるいよ!私にもして?♡」

「もー、しゃーねぇーな」


ぷっくりと頬を膨らませたアメリアの唇を奪うと、彼女は舌を入れてきて濃厚なキスをし始めた。


「っ!?」

「♡」


酔っているアメリアはいつもよりも積極的で、目を♡にしながら舌を絡めてくる。


(このままやられっぱなしじゃいられねぇ!)


そしていつもより思考力がアレなノアは対抗心が刺激され、今度はこちらから舌を入れ込んだ。


するとアメリアはとろけた表情となり、完全にこちらに身を委ねてきた。


そうなってしまってはノアも歯止めが効かなくなり、アメリアを力強く抱きしめてキスを続けた。


それから三十秒ほど経った頃、痺れを切らしたフェリスが顔を近づけてきて強引にノアの唇を奪った。


「えっ、フェリスちゃん!?」


アメリアは驚いて声を上げるが、フェリスは構わず舌を入れてくる。


いつもと違うフェリスの行動にいろんなところが刺激され、ノアはもう止められない状態になった。


「きゃっ__!」

「もう我慢できねぇ。服、脱がすな」

「え、あ…うん…♡」


フェリスは全身を赤くして目線を逸らした。


その姿にまた興奮を覚えつつノアはフェリスの服に触れた。


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