表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/101

28 初めての夜


「じゃあ今度挨拶行かねぇとなぁ…」


アメリアが風呂から上がった後、一同は自分たちの今後について話し合っていた。


「そうね…流石に無許可で結婚するわけにはいかないものね…」


今回の結婚はかなり異例な為、両親に認められるかはかなり微妙だ。


そういった懸念が二人の表情を濁らせるが、当のアメリアは全く心配していない様子で話し始めた。


「きっと大丈夫だよ。お父さんもお母さんもとっても優しい人だから」

「そうなのか?」

「うん。だから私の留学も許してくれたの。普通他国への留学を認める貴族なんていないよ」


確かに言われてみればそうである。


どれだけ治安の良い国でも他国の貴族と分かれば集中攻撃を受ける可能性がある。


というかそもそも、貴族は子供を自分の育てたいように育てるものである。


なので普通は留学など望んでも許されないのだが、どうやらアメリアは違ったらしい。


(留学を許す親、か…それは優しいのか危機管理能力が低いのか、どっちかね…)


まあアメリアが言う通り前者ではあるのだろうが、嫁の親が後者であった場合は少々しんどいものがある。


(いや、ここはアメリアの言葉を信じ…)


れるのだろうか?


正直言って彼女自身はかなり天然系の人間である。


子が子なら親も親だろうと、ノアの頭にはそんな憶測が浮かんだ。


「ねぇ、今失礼なこと考えてるでしょ」

「!?か、考えてないぞ…?」


どうやら自然と失礼な目を向けてしまっていたらしく、アメリアからツンとした目を向けられた。


「ホントかな?」


アメリアはぷっくりと頬を膨らませてこちらを見てくる。


流石にこのままではまずい為、ノアは話を切り上げることを決意した。


「よし!そろそろ寝るか!」

「むぅ…まだ話は終わってないのに…」

「ほら、早くベッドに入ろうぜ!」


アメリアからは不満そうな顔を向けられるが、強引に押し切ってベッドに入った。


「いやぁ〜こんな美人二人と一夜を過ごせるとはなぁ。俺は世界一の幸せモンだぁ」


ベッドの真ん中でわざとらしくそう呟き、両手の花を抱き寄せた。


「ホントに思ってる?」

「それはもちろん。こんなに幸せでいいのかって思ってるよ」


アメリアは疑り深そうな目でこちらを見つめるが、ノアは本心でそう思っている。


それをどう伝えるべきかと考え、パッと思いついたことを試してみた。


「っ!?どどどどうして急に!?」


アメリアの頬にキスをしてみると、彼女は顔を真っ赤にしてオドオドと視線を彷徨わせた。


「ほ、ほっぺにチューなんて、えぇぇぇ!?」

「ははっ、面白い反応するな」

「だ、だってー!!」


アメリアが可愛い反応を見せるせいでノアのいたずら心は大いに刺激されてしまい、ついに暴走が始まってしまう。


「なあ、今度は唇にしていいか?」

「ええっ!?そ、それって…」

「ああ。ホントのキスだな」

「〜〜っ!!」


ノアが唇を求めると、アメリアは耳まで真っ赤にして目を下に向けた。


そしてそんな顔をされるとノアはさらにイタズラしたくなって。


「もう結婚したんだし、いいよな?俺もう我慢できないんだけど」

「う…うぅ…」


追い詰められてしまったアメリアはとうとう首を縦に振り、ノアはノリノリで顔を近づけた。


「目、瞑って」

「うん…」


アメリアが目を瞑り、顔を上に向けてこちらの行動を待っている。


その姿がそれはもう可愛くて、ノアの心は撃たれてしまった。


(グッ!!可愛いっ!!)


ノアは心の中でアメリアに称賛の言葉を送りつつ、そのまま唇を奪った。


そこで感じたのは、フェリスとは違う柔らかさと妙なほどに甘い唇だった。


(何だこれ…止まらねぇ…)


すでに暴走しているノアは我を忘れてアメリアの唇を堪能する。


そして30秒ほど時間が経った時、息が苦しくなって顔を離した。


するとアメリアは少し怒ったような、けれども嬉しそうな目を向けてきた。


「はぁ…はぁ…もう…強引すぎだよ…」

「あはは…ごめん。ちょっと調子に乗りすぎた」


二人は互いの目を見つめ合い、完全に二人の空間でイチャイチャし始めた。


だがしかしこのベッドにはもう一人いるわけで、フェリスは軽く口を尖らせてノアの肩をツンツンと突いた。


「ねぇ…アメリアばかり構いすぎ…私にもして…?」

「っ!!…ああ」


フェリスのことを完全に放置していたことに気づいたノアは焦りつつもフェリスと唇を交えた。


「ふふっ、ありがとう」


先程までは拗ねていたようだったが、キスをするだけでご機嫌になってしまった。


フッ、チョロいな。


なんて言ったらもう口を聞いてくれなくなりそうなので流石に口を閉じておく。


そして一旦落ち着くためにベッドに仰向けになって虚空を眺めていると、アメリアがとんでもないことに気づいてしまった。


「そういえば、私とフェリスちゃんは間接キスだねっ」

「!?…確かに、言われてみれば…」

「まあ私は全然気にしないけどねっ」

「わ、私も大丈夫です」


これからは二人が間接キスになるような場面も出てくるだろうし、こういったところで慣れておいてくれるのは非常に助かる。


…………間接じゃなくて直接も見てみたいな。


(って何考えてんだ俺!!流石にそれは…)


アリだな。


ええ、非常にアリだとも。


絶世の美少女二人によるキスシーン。劇で使えば滅茶苦茶売れそうである。


(…いや流石にさせないけどな!?)


二人ともノアに従順な為、言ってみればやってくれそうである。


だがしかし、そうすれば何か新しい扉が開いてしまいそうなのでやめておいて、とりあえず話を逸らして寝る流れに持っていく。


「ま、まあとりあえず明日も早いし寝ようぜ。夜更かしして寝れなかったらこれからに響くし」


ノアはもっともらしい理由をつけて寝ようとするが、それを二人は許さなかった。


「確かにそれはそうだけれど、今日ぐらいは別にいいんじゃないかしら?せっかくのアメリアとの初夜なのに」

「っ!!!???」

「そ、そうだよ…は、初めてだからその、ゆっくりしてくれるとありがたいんだけど…」


二人はなぜかやる気であり、ノアに身体を押し付けて甘い声で誘惑してくる。


だがしかし、ノアは強い意志を持って否定する。


「いや、流石に親御さんに結婚を認めてもらってからにしよう。そういうのは俺たちの一存でしていいことじゃないからな」


あくまで貴族の一員として冷静に考えを伝えるが、これでも二人は納得してくれなかった。


「確かにノアの言ってることは正しいと思う…。でもね、それがわかってても抑えきれないの。君と愛を確かめ合いたいっていう気持ちが暴走しちゃうの」

「そ、そうなのか…?」

「女の子にはそういう時もあるの。ちなみに、今の私もそうね」

「え」


どうやら二対一のようで、ノアは完全にロックオンされてしまった。


(ヤバいヤバいヤバいどうすりゃいいんだ???)


ベッドで仰向けになったままそう考えていると、二人が身体を起こしてノアに顔を近づけた。


「あなたはそのまま寝転がってて。私たちがするわ」

「えぇ!?私上手くできるかなぁ…」

「大丈夫。私がちゃんと教えるわ」

「なら大丈夫かな…」


ノアが首を横に振っているのにも気づかず二人は勝手に話を進め、とうとうフェリスが強引に顔を近づけてきた。


「私がお手本を見せるから、アメリアは真似してやってみて」

「う、うん…!」


そう声をかけた後、フェリスはこちらの許可も取らずに深いキスを仕掛けてきた。


そのキスはいつもより少し激しく、まるで泥棒猫に見せつけているかのような雰囲気であった。


これは恐らくフェリスの独占欲が無自覚に溢れ出たということである。


それに対しては嬉しさ半分喧嘩しないでほしい半分であるが、この二人なら後者は心配不要だろう。


まあそんな感じでキスを存分に堪能し、次にアメリアがやってきた。


「まさかこんなに早く進展しちゃうなんて…」


アメリアはまだ少し混乱している様子で、ノアの近くで音を上げた。


「別に焦らなくてもいいんだぞ?これは強制じゃないんだから」


不安そうにこちらを見つめるアメリアにそうやって優しい言葉をかけると、アメリアは何かを刺激されたようにムッとした表情になった。


「ううん、大丈夫。ちょっと気持ちの整理が追いついてなかっただけだから。じゃあ、してもいい?」

「どうぞ」


ノアは目を瞑ってアメリアの行動を待った。


そしてアメリアは勢いに身を任せて口を合わせ、そして舌を忍ばせた。


(ん…結構積極的だな…)


アメリアは止まることを知らず、長い時間口を合わせていた。


互いの口が離れたのは一分ほど後で、その時にはもうアメリアの目には♡が浮かんでいて。


「ふふっ♡きもちよかったねっ♡」

「そ、そうだな…」

「ごめんね。私もう止まらないかも♡」

「っ!!そ、そうか…」


まるで獲物を見るような目で見つめられ、ノアは少し危機感を抱くが、アメリアに限ってその心配はないだろうと彼女に身を委ねた。


そしてそれがわかったアメリアはゆっくりと服に手を伸ばした。


あとついでにフェリスは放置されて少し拗ねていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ