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17 騒がしい家庭


その後ノアとその両親、そしてフェリスと共にヴィクトリア家を訪れた。


すでにアポはとっている為、家に入って速攻でリビングに案内された。


そこに待ち構えていたのはフェリスの両親、フェイズとアイリスだった。


「よく来てくれたな。さ、座ってくれ」


フェイズとアイリスの対面に四人が座り、早速レノスが話を切り出した。


「良い話と悪い話がある。どっちから聞きたい?」

「そうきたか…」


フェイズは顎に拳を当てて頭を悩ませ、数秒後に良い話の方を選んだ。


「ノア。報告しなさい」

「わかった」


これは自分の口から報告すべきことなのでレノスはノアに話を振った。


そしてノアは深呼吸をした後、少し緊張しながら口を開いた。


「この度、フェリスと結婚することになりました」

「えっ__」

「ほ、本当か…?」

「うん、本当だよ」


フェリスは事実だということを両親に伝え、そして自身の左手を見せつけた。


「はは…マジかよ…」


フェリスの左手薬指に嵌められているサファイアの指輪を見て両親はこの話が事実であることを認識した。


「フェリス…。良かったわねっ!」

「うん。ありがとう、お母さん」

「いやぁ…とうとうフェリスが結婚かぁ…。あの小さかったフェリスが…こんなに大きくなって…っ!」


フェイズは昔の娘の姿を思い出しつつ涙を流し始めた。


「もう、お客さんの前なんだからやめてよ」

「いいじゃないか。俺たちは客でもなく友でもなく、親戚になるんだからさ」


かなりの勢いで涙を流すフェイズを止めようとするアイリスに対し、レノスは事実を伝える。


「それに、父親ってのはどうしてもこういう時泣いてしまうもんなんだよ。だから、許してやってくれ」


アイリスはレノスの言葉に心を打たれたかのようであるが、その言葉に納得のいかない人物が近くにいる。


「父さん、俺の報告聞いた時全然泣いてなかったじゃねぇか」


そう、レノスはノアの結婚報告を聞いても全く涙を流していなかったのである。


なのでノアは今の話との矛盾に疑問を呈するが、それにはアリアが答えてくれた。


「ううん。お父さんはちゃんと泣いてたわよ?」

「ちょ、その話はしないでく__」

「そうなのか?」

「ええ。話が終わって二人がリビングから出て行った後に、ね」


意外だった。


レノスは感情表現が豊かであるが、なぜか涙だけは見たことがなかったのだ。


いや、ノアが見えないところできっと沢山泣いていたのだろう。


この人は、きっとそういう人なのだ。


実際ノアもそういう人間なのだから。


(親子だねぇ)


ノアは思いがけない部分での遺伝に対して少し感慨に浸っていると、少し顔を赤くしていたレノスが表情を一転させて真剣な眼差しでフェイズとアイリスを見つめた。


「そういう話はいいとして。二人とも、結婚を認めてくれるか?」


当然両親の了承も得ずに結婚などできるはずもない。


なのでレノスは二人に確認を取ったのだが、そんなの必要ないと言わんばかりに二人は首を縦に振った。


「ああ」

「勿論よ」

「っ!!ありがとうございます」


ノアは咄嗟に頭を下げ、そしてフェリスに笑いかけた。


「これで、親公認だな」

「そうね。やっと、あなたと結婚できる」

「よかったわね〜。あなた昔からノアくんと結婚するー!って言ってたものね」

「ちょっ!?お母さん!!それは言わない約束!!」

「あら?そうだったかしら…?」


フェリスは急いで身を乗り出してアイリスの口を押さえる。


そんな親子に対してみんなで笑いつつ、この幸せを噛み締めた。


「絶対、幸せになれよ」

「ああ、勿論。まあもう既に幸せだけどな」

「間違いねぇ!」


レノスは肩を強く叩いてくる。


そんな幸せな空気に包まれる中、フェイズは思い出したかのように質問を投げかけた。


「そういえば、悪い話ってなんだ?」

「あ、そうだったな。まあ悪い話って言っても、お前にとっては良い話なのかもしれないが」

「なら大丈夫だな。何せ今は気分がいいからな!どんな話だろうとポジティブに捉えられるとも!」

「なら遠慮なく。ノア」

「ああ」


笑みを崩したノアは一旦深呼吸をして自分たちのこれからについて話し始めた。


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