15 初めての夜
あれから一時間弱程将来について語りながらイチャイチャした後、二人は一緒にベッドに入った。
そして流れるように手を握り、そして流れるようにイチャイチャし始めた。
「そういえば、結婚式はどうする?」
「フェリスのウエディングドレスかぁ…綺麗だろうなぁ…」
ノアは頭の中にフェリスのドレス姿を思い浮かべる。
(天使か?)
それはまさしく神の使いであり、ノアはその天使で頭がいっぱいになる。
「ねぇ…聞いてる?」
「ん!?あ、ああ…聞いてるぞ?」
フェリスは少しだけ口を尖らせて質問を投げてくる。
「で、いつにする?今すぐは難しいし、旅の途中で落ち着いた時とかかしら?」
「そうだな…それが妥当だろうな」
フェリスには未だに疑り深い目を向けられているが、それには知らないフリをする。
そして永遠よりも長い沈黙が流れた後、先ほどとは表情が変わっているフェリスが少しモジモジしながら話しかけてきた。
「ねぇ…ノアは子供…何人欲しい…?」
「!?…そうだな…」
突然の衝撃発言にかなり驚くが、ノアは真剣に頭を悩ませる。
その間もフェリスは顔を赤くしながらチラチラとこちらを見てきている。
「私は何人でもいいよ…?♡」
「そ、そうか…」
フェリスは目に♡を浮かべながらノアの目をじっと見つめて答えを待っている。
(ん〜どう答えるのが正解だ…?)
正直に言うと、子供はたくさん欲しいと思っている。
でもそれはあくまでノアのエゴでしかない。
たくさん子供を産むとなると、当然たくさん負担がかかってしまう。
(ここは現実的なことを言っておくべきかな)
一旦本心を包み隠し、彼女にはあくまで現実的な人数を伝えることにする。
「三人ぐらい…かな…?」
「そっか…三人…」
ノアの言葉を聞くとフェリスは下を向いて何かをぶつぶつと言い始めた。
そして数秒後急にこちらを向いて話し始めた。
「本当に三人でいいの?私もっと頑張れるわよ?」
「え?いや…三人ぐらいが現実的だと思うが…」
「ううん。そうじゃなくて、今はノアが何人欲しいから訊いているの」
多分フェリスは出産の苦痛や旅の疲労などを考えず、単純にノアが何人欲しいと思っているのかを知りたいのだろう。
(ま、ここで何人と言おうがそれが現実になることはないか)
とりあえず言うだけ言ってみようと考え、ノアは自分の気持ちを打ち明けた。
「具体的に何人とかはないんだけど…たくさん欲しいな」
「ふ、ふーん…たくさんなんだ…」
途端にフェリスは顔を真っ赤にして目を逸らした。
「俺だって男だ。好きな人との子供がたくさん欲しいのは当たり前だろ?」
「そ、そう…なの…?」
こういったことに疎いフェリスは頭の上に疑問符を浮かべるも、すぐに向き直って上目遣いで誘惑してきた。
「なら…早めに作り始めないとね…?」
「…」
ノアは焦って目を逸らすが、フェリスの意思は固いようで。
「もう結婚したからいいでしょう…?子供、できても問題ないわよね…?」
ノアは頭を回転させる。
(確かに何の問題もないが…だからと言って…)
などと考えていると、フェリスが手をギュッと握ってきた。
「体験してみたいの…結婚初夜」
「っ!?」
フェリスは甘い吐息がかかる距離で誘惑してくる。
そしてもうフェリスにメロメロになっているノアは以前よりも簡単にその言葉を受け入れてしまう。
「わかった。しようか、初夜」
「うんっ」
ノアは寝転がるフェリスの上にまたがり、流れるようにキスをした。
「なんか、ちょっと前もこんなことしたな」
「そうね…。でもあの時は最後までしなかったから…」
「ああ。これが初めてだな」
「少し…緊張するわね…」
フェリスの首筋には少しだけ汗が見え、彼女が本当に緊張していることがよくわかった。
当然ノアも緊張しているが、フェリスの反応を見て少しだけ心に余裕が生まれた。
「大丈夫。優しくするから」
「うん。お願い…」
フェリスがコクリと頷いた後、ノアは冷静さを保ったまま妻に口付けした。




