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14 愛の言葉を


父、母、ノア、そして婚約者が席につくと早速話が始まった。


「単刀直入に訊く。フェリスちゃんはどうしたい?」

早速本題に入り、フェリスは頭を悩ませ__

「私はノアと一緒に行きたいです」

「フェリス…」


どうやらフェリスに迷いはないらしく、強い意志を持った目でレノスを見つめている。


「そうか。なら、俺から言うことは何もない。フェリスちゃん。ノアのこと頼んだ」

「はい。ノアの身の回りのお世話は任せてください」


てな感じでフェリスの意思確認は一瞬にして終了した。


まさかここまであっけなく終わるとは思っていなかったが、フェリスが本気で好きでいてくれていることがわかって心から嬉しく思えた。


そんな感じでノアは幸福感を味わっていたわけだが、問題はまだ残っていて。


「じゃあ後は、フェイズを説得しないとだな」


フェリスだってヴィクトリア公爵家の長女だ。


流石に無許可で家出できるような立場ではないので、当主に許可を取らなければならない。


「まあアイツならどうせ認めてくれると思うけど」


レノスは昔からフェイズと仲が良いので彼のこともよく知っている。


当然フェイズが娘とノアに滅茶苦茶甘いことも知っているのでレノスは特に心配している様子もなく。


「今日はもう遅いし、明日にでもみんなで行くか。はい、今日は解散!」


レノスは手をパチンと叩き、話し合いの終わりを告げた。


その合図で全員立ち上がり、各自の部屋に戻って行った。


そしてノアはフェリスを自室に招待し、少し緊張しながら部屋に入った。


「なあ、ちょっと話があるんだけど」


ノアの緊張の理由はこの将来に関わる重要な話のせいで、バレない程度に足を震えさせながら椅子に座った。


「どうしたの?そんなに緊張して」


どうやら緊張は見抜かれてしまっているらしく、フェリスは軽く笑みを浮かべながら椅子に腰をかけた。


それを確認してからノアは重い口を開いて話し始めた。


「大事な話があるんだ。真剣に聞いてほしい」

「う、うん…」


急に表情が険しくなったノアを見てどうやら真剣さが伝わったらしく、フェリスは固唾を飲み込んでノアの言葉を待った。


「これからの旅は決して安全じゃない。俺は命に変えてでもフェリスを守るけど、それでも守りきれないかもしれない」


ノアは自分の不甲斐なさに嫌悪感を抱きつつも、自信を持ってフェリスに語りかける。


「でも、それでもしついてきてくれると言うのなら…俺は責任を取る必要がある」

「責任…?」


ノアはフェリスの目を強く見つめて勇気を振り絞る。


「ああ。俺は一生フェリスの隣にいる必要がある。いいや、俺は一生君の隣にいたい」

「っ!?それって…」


フェリスは次の言葉を察したかのように目を見開き、口を抑えながら身体を後ろに倒した。


だが緊張しているノアの目にそんなものは入らず、何も気にせず話を続ける。


「もしフェリスがついてきてくれるのなら…俺は君と結婚したいと思ってる」


そしてノアはポケットから箱を取り出し、フェリスの前で跪いてその箱を開けた。


そこには青く輝くサファイアの指輪があり、ノアはそれをフェリスに差し出すように手を伸ばした。


「フェリス・ヴィクトリアさん。俺と、結婚してください。一生俺の側にいてください」


フェリスはポロポロと涙を流す。


だがそれは悲しい涙ではなく、間違いなく嬉し涙であった。


フェリスはハンカチを取って涙を拭いた後、満面の笑顔でノアの言葉に応えた。


「はい。私を、一生あなたの側にいさせてください」


フェリスがそう言った直後にノアは彼女の左手薬指に指輪をはめ、そのまま思い切り抱きしめた。


「ありがとうフェリス…。愛してる」

「私も、愛してる…」


ノアは熱い涙を何とか抑えつつ、フェリスの全身を包み込むように抱きしめ、そのまま唇を重ねた。


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