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それぞれの覚悟  作者: 仙夏


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林 「...これまで黙っていてすまない。」

凛 「...嘘...私を金で売ったという話は...」

林 「...嘘だ。凛のご両親は大切な娘を最期まで必死に守ろうとしていた。」

凛 「...えっ...」

林 「...茜坂が計画段階だったときから、橘夫妻の子どものことはずっと見張っていた。生まれる前からずっと。そして、生まれてすぐに凛を茜坂に引き渡すよう大金を用意して何度も交渉しようとしたが、毎回、きっぱりと断られていた。」

凛 「...断った...?」

林 「ああ。だが、凛が生まれて二ヶ月が経った頃のことだった。」


ー回想ー十五年前

林 「橘夫妻は、娘の引き渡しをずっと断っています。小さな子どもを親元から話すのは...」

上官 「煩い。黙ってついて来い。」

夜、二人の上官と一緒に橘家に向かうと父親が出てきた。

父 「またですか...何度来られても答えは変わりません。お引き取りください。」

すると、上官は突然銃を構えて父親を撃った。

林 「っ...」

目の前で父親が倒れて唖然としていると、上官たちは躊躇なく家の中に入っていった。

林 「...」

目の前に倒れた父親を見ると意識が朦朧としながらも床を這ってまで奥にいた妻子を守ろうとしていたがすぐに力尽きてしまった。

そして、少ししてまた銃声が聞こえ、その後にハッとすると上官たちは赤ん坊を抱いて二階から降りてきた。

上官 「ほれ。」

林 「...こ、殺したんですか?」

上官 「大金を積んでいるのだから、大人しくさっさと渡せば良かったんだ。」

林 「...」

私の腕の中では大声で泣いていた赤ん坊が居た。

上官 「橘凛だ。今日からお前が育てろ。」

林 「ま、待ってください。私は子を持った経験もありません。」

上官 「黙れ。この国の勝利のためにはこの子が必要なんだ。」

林 「...」

急に家から出され、赤ん坊を泣き止ませようとしていると上官たちは橘家に火を放った。

林 「っ...」

燃え広がる家を見ながら何をすることもできず、抱いていた赤ん坊をただただ見つめていた。


そして、慣れない子育てを必死に行い、数ヶ月後に新しく移動してきた浅沼と一緒に何とか育てていた。

仕事をしながら凛を育て、疲れ切って凛よりも先に眠ってしまうことも何度もあった。

その度に浅沼が助けてくれて凛も無事に育ってくれた。

林 「っ...」

浅沼 「ねんねしような。ねんね〜。」

俺が目を覚まして隣を見ると浅沼が凛を寝かしつけようとしていた。

林 「...」

浅沼 「あっ、林さん。起きました?」

林 「ああ、すまん。眠ってしまった。」

浅沼 「全然です。凛がなかなか寝ないんですよ。」

林 「すまん。代わる。」

私が凛のお腹を摩ると凛は安心したように眠りについた。

浅沼 「えっ、さっきまであんなに眠らなかったのに。」

林 「ふっ。」

浅沼 「随分慣れましたね。親代わり。」

林 「えっ?」

浅沼 「えっ、親代わりですよ。」

林 「親...そうか、親代わりか。」

浅沼 「...そうですよ。俺らはこの子から親を奪ってしまった。全力で親代わりしましょう。」

林 「...ああ、そうだな。でも、凛の両親は立派な人だからな...」

浅沼 「...だからこそ、俺らはこの子を立派に育てないといけません。俺はそう思います。」

林 「...そうだな。」


そして、凛の知識面を私が鍛え、体力面を浅沼が鍛え始めて少ししてから水瀬蘭を迎え入れることになり、凛はその頃から自分の親について気にするようになっていた。

上官の命令で兵士たちは凛を見掛ける度に凛に聞こえるように、凛の両親は金を積まれて凛を売ったと吹き込ませていた。

凛が悲しい思いをしているのが分かっていても私も浅沼も何も言えず見ていることしかできなかった。


凛と蘭を鍛え始め、二人は剣術も出来るようになってきた。

浅沼 「よし、凛と蘭。振ってみろ。」

凛 「えいっ!」

蘭 「え、えいっ!」

浅沼 「良いぞ。二人とも。」

凛と蘭をはじめ、子どもたちにはいろいろな術を身につけさせた。

何かあっても自分の身を守れるように。


数年が経ち、近衛柚月の召集が決まり、浅沼と迎えに行くと柚月の村は戦火に見舞われ、家族を失って泣いていたところを茜坂に連れて来た。


そして、早坂莉央、赤木藍、青井唯も揃い、手を焼きながらも六人の世話と指導を行いながら日々を過ごした。

凛たちが仕事を開始し、仕事の本当の意味も分かっていない凛たちにその意味を悟られないように、そして間違いを起こして上官たちに指導を受けないように細心の注意を払って六人を見ていた。


そして、仕事を開始してから数ヶ月後、突然凛が居なくなり浅沼や早坂たちと凛を探した。

浅沼 「あっ...林さん。」

床下に居ないかしゃがんで凛を探していると浅沼に声を掛けられて浅沼を見ると浅沼は中庭にあった大きな木の上を指差した。

立ち上がってそちらを見ると凛が木の上に登って空を見ていた。

林 「あんな高いところに...」

浅沼 「危険ですね。降ろしてきます。」

凛の方に早坂たちが行こうとしているのが見えて、私は浅沼を止めて身を隠した。

早坂たちは何も言わずに木の上から凛を降ろし、優しく抱きしめていた。

浅沼 「...あの子たちなら凛を任せられそうですね。」

林 「...ああ。」

一応、形式上叱りはしたものの、この出来事をきっかけに凛たちは仲良くなっているのが分かって心から嬉しかった。


数年後、第二級人員の坂井壮馬をはじめ、子どもが増え始めると上官からの命令で橘たちが核となる仕事を担い始めた。

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