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それぞれの覚悟  作者: 仙夏


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優 「う、うーん...」

湊 「...ご、ごめん。そうじゃなくて...橘先輩のことが心配でさ。」

優 「橘先輩ね...持病があるってのは聞いていたけど最近悪化してるって噂だよ。」

湊 「持病...そうなんだ...」

優 「...浅沼さんもそれを心配して瀬良さんを連れて来たみたい。」

湊 「そう...」

優 「...橘先輩は元々、長く生きられる身体ではないって話も聞いたことあるよ。」

湊 「...」


すると界君が部屋に戻って来た。

界 「何話してた?」

優 「おかえり。早かったね。今日は泊まるのかと思ったよ。」

界 「ある話を聞いてな。二人は何の話?」

優 「橘先輩の持病のこと。ある話って?」

界 「それ関連。先輩方、ここを抜け出す計画を立ててるらしい。」

優 「えっ?そんな話聞いてないけど。」

界 「本当かは分からないが愁たちが話してた。」

優 「...でも、統括部でもそんな話は出てないよ。どこ発信だろ...」

界 「そんなことより。それが本当なら俺らは外の世界に出られたとしてどこでどうやって暮らすのかって話だろ。」

優 「それより、ここを出るなんて可能なの?今でも監視がうじゃうじゃいるのにさ。」

界 「そこを何とかするのがあの人たちだろ。」

優 「全く。結局、他力本願なんだから。」

界 「まぁ、あの人たちをここから出してあげたいのが本音だけどな。」

優 「...そうだね。一番外の世界を見たいのは先輩方だし。」

界 「あぁ。」

湊 「ちょ、ちょっと待って。外の世界に出るって...何のために?」

界 「えっ、そりゃ...」

優 「...湊はここがどんな場所だか分かってる?僕らの仕事が何に使われているか。」

湊 「う、うん...」

界 「...それが答えだと思ってたけど湊は違うのか?」

湊 「...あまり実感がないから...でも、衣食住揃っていて皆が自分を受け入れてくれるこの場所は外の世界よりも居心地が良い...僕はそう思ってしまう...」

優 「...そっか。確かにね。そういう考えもあるね。」

界 「...」

湊 「...で、でも、皆は外の世界に行きたいんだよね...それがここの普通なんだよね...?」

僕が俯くと二人は顔を見合わせた。

界 「...何が普通かは知らないし、別に普通じゃなくて良い。皆、普通じゃないからここに集まって皆に会えたし。」

優 「考えは人それぞれだよ。湊の考えが間違ってるとか間違ってないとかはない。僕らも外の世界に行きたいって強く思ってるわけじゃないし。」

湊 「...そうなの...?」

界 「...俺らは湊と一緒だよ。ここに来て自分たちが好きだと思う人たちに出会えた。俺らは先輩方や後輩と一緒に居たいだけ。先輩方が仕事について責任を抱えているのは分かってる。それで外の世界に出たいのなら俺らはそれについていきたいと思うだけ。」

優 「...うん。そうだね。」

湊 「...」

優 「ま、まぁ、外の世界に出ることが決まったわけじゃないし。」

界 「そうだな。俺、風呂入ってくる。先、寝てて。」

優 「うん。湊も気にしないでね。」

湊 「う、うん...」


二日後、橘先輩は起き上がれるようになり、部屋で休みつつ仕事を再開することになった。

夕方、食堂で夕食を食べていると坂井先輩が食事を二食分持って食堂を出ていき、僕は坂井先輩の後を追った。

湊 「坂井先輩。」

壮馬 「鳴瀬。どうした?」

湊 「橘先輩のところに行かれるんですか?」

壮馬 「そうだよ。」

湊 「僕も一緒に行っても良いでしょうか?」

壮馬 「えっ、良いけど何か用事?」

湊 「いえ、少し顔を見たいだけです。」

壮馬 「あぁ、心配してたんだってね。一ノ瀬から聞いたよ。」

坂井先輩と橘先輩の部屋に行くと橘先輩は報告書をまとめていた。

壮馬 「失礼します。」

凛 「坂井。鳴瀬も来たのか?」

湊 「は、はい。」

壮馬 「橘先輩を心配していたんですよ。」

坂井先輩が夕飯を机に置くと橘先輩は報告書を閉まった。

壮馬 「食べれるものだけ食べてください。無理しないで。」

凛 「あぁ、ありがとう。」

お二人が食事を食べ始め、僕も傍に座って見ていた。

壮馬 「体調、いかがですか?」

凛 「だいぶ落ち着いたよ。」

壮馬 「それは良かったです。安心しました。」

凛 「心配掛けてすまん。鳴瀬も。」

湊 「い、いえ、僕は...」

壮馬 「瀬良さんが来月から遠征に出掛けるそうですよ。教官の許可が出ました。」

凛 「...そうか。」

壮馬 「良い薬があると良いですね。」

凛 「...」


少し食べると橘先輩は横になって眠ってしまい、坂井先輩が布団を掛けた。

壮馬 「薬の影響。夕飯これしか食べてないのにもつのかな...」

僕は坂井先輩が夕飯を食べているのを待ちながら橘先輩を見ていた。

壮馬 「鳴瀬は兄弟が居たの?」

湊 「えっ?」

壮馬 「橘先輩のこと、よく心配しているようだからさ。」

湊 「...兄弟はいましたけど仲は良くなかったです。橘先輩のことは何となく気になってしまって。」

壮馬 「そうか。僕も仲は良くなかったなぁ。」

湊 「坂井先輩も兄弟が居たんですか?」

壮馬 「姉が居たよ。生まれつき病弱でほとんど家の中で過ごした記憶しかないんだ。橘先輩はときどき、姉と重なる。」

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