13
次の日も同じように動ける人で手当てをして夜中に部屋に戻った。
界君はまだ手当てで部屋に戻っていなくて優君は部屋の隅で蹲っていた。
湊 「ゆ、優君。大丈夫?」
優 「...湊、おかえり。」
湊 「う、うん。大丈夫?体調悪い?」
優 「...ううん。何でもないよ。少しほっといて。」
湊 「えっ...う、うん...」
三人分の布団を敷いて少しすると界君が戻ってきた。
界 「あっ、起きてたんだ。お疲れ。」
湊 「う、うん。お疲れさま。」
界君は優君を見た。
界 「優。昨日から寝てないだろ。体壊すぞ。」
優 「...」
界 「たく...ちゃんと寝ろよ?」
界君はそう言って布団に入った。
界 「湊も寝ろよ。おやすみ。」
湊 「えっ、お、おやすみ...」
界君が灯りを消すと僕も布団に入った。
隣の布団に寝ていた界君の布団の方に寄って僕は界君の耳もとに小声で話した。
湊 「か、界君。優君のこと、寝かせないと...」
界 「気にせず俺らは寝るよ。おやすみ。」
湊 「え、えぇ...」
界 「良いから良いから。」
仕方なく目を閉じると溜まっていた疲れが出てすぐに眠ってしまった。
次の日、朝起きると界君も優君も居なくて僕も飛び起きて近衛先輩の元に向かった。
湊 「こ、近衛先輩...すみません、遅くなってしまって...」
近衛先輩は部屋で髪を結っていた。
柚月 「鳴瀬?おはよう。」
湊 「お、おはようございます。」
柚月 「遅くないよ。少し早いくらい。」
湊 「えっ、そ、そうですか。界君も優君も居なかったので寝坊したかと...」
柚月 「そうなんだ。二人で何か話してるのかな。でも、ちょうど良かった。薬草取るの手伝ってくれる?」
湊 「あっ、はい。」
近衛先輩と一緒に薬草園に入ると近衛先輩は手際良く薬草を集め始めた。
湊 「赤木先輩、まだ目を覚ましませんか?」
柚月 「ううん、昨日目を覚ましたよ。でも、火傷を負ってるから治すのには時間が掛かるかな。」
湊 「そうですか...でも、目を覚ましてくれたのは安心しました。」
柚月 「うん。唯も目を覚ましたし、後は凛が無事だったら良いんだけど...」
湊 「そうですね...」
柚月 「後は...この薬草だね。」
部屋に戻って早坂先輩たちの包帯を替えていると近衛先輩が薬を作って戻ってきた。
莉央 「柚月。凛は?」
柚月 「怪我の方は順調に治ってるよ。」
莉央 「まだ目は覚まさないか?」
柚月 「うん...吹き飛ばされたときに頭も打った可能性もあるみたいで...」
蘭 「えっ、それはもっと心配だな...」
柚月 「...」
藍 「...凛だぞ。凛なら大丈夫だ。」
莉央 「...根拠もないのに勝手に言うなよ。」
藍 「...俺らが信じないでどうする。」
莉央 「...」
すると浅沼さんが走ってきて部屋に飛び込んできた。
浅沼 「柚月!凛が目を覚ましたよ!」
柚月 「えっ...!」
僕らが走って医務室に行くと橘先輩は少し目を開けていて瀬良さんが診ていた。
瀬良 「...他に痛むところは?」
凛 「...平気です。他の皆は?」
瀬良 「...あなたが一番の重症。他の子は大丈夫。」
凛 「良かった...」
瀬良 「...少し待ってて。他の子を呼んでくる...って、皆、来てたのね。」
瀬良さんは振り返って僕らに気づいた。
僕らが医務室に入ると橘先輩は僕らを見た。
莉央 「大丈夫か?」
凛 「...あぁ。皆は?」
藍 「大丈夫だ。」
柚月 「良かった...無事で...」
凛 「...心配掛けた。」
浅沼 「...良し、皆、安心したね。部屋に戻って全員休んで身体を治すことに専念して。」
浅沼さんの声で早坂先輩たちが部屋に戻り、僕と近衛先輩と瀬良さんだけが残った。
瀬良 「...飛ばされたとき、身体を強くぶつけたと聞いたわ。今はどう?」
凛 「...動けます。痛みもそこまで...」
瀬良 「痛み止めが効いているようで良かった。」
凛 「...分かりましたか?私たちが医療知識を持っていないといけない理由。」
瀬良 「...えぇ。皆を守るために必要なのね。」
凛 「はい。今回は私自身が怪我をしてしまいましたけど...」
瀬良 「...あなただけは死なすなって言われた。どの子が死んでもあなただけは必ず救わなくてはいけない。あなたが居なくなったら終わりだって。」
凛 「...えぇ。」
瀬良 「...私がここにいる意味が分かった。あなたが何を言おうと私はここであなたを診る。」
凛 「...どうして...」
瀬良 「...誰か一人にでも守ってもらわないとあなたは潰れてしまう。私が守り切れる自信はないけど手当てや治療はできる。」
凛 「...あなたは誰の手当てをしてくれたんですか?」
瀬良 「...あなたも含めて全員の怪我を見た。」
凛 「...ふっ、教官に逆らったんですか?」
瀬良 「...えぇ。」
凛 「...許します。ここにいること。」
瀬良 「えっ?」
凛 「...有事の場合、同じ判断をしてください。」
瀬良 「...同じような有事は二度と起こらないことを願うわ。」
凛 「...」
瀬良 「でも、よく爆弾が落ちてきたって分かったわね。皆、あなたのおかげで無事だったと聞いたわ。」
凛 「...耳や目が良いんです。それと勘も。大きさや距離から茜坂を破壊するほどの威力は無いと思いました。」
瀬良 「そ、そうなのね...」
凛 「...感覚の鋭い普通の人間です。そんな目で見ないでください。」
瀬良 「...違う。あなたは本当に皆を守ろうとしているのが伝わったの。私も頑張る。」
凛 「...頼りにしています。」
瀬良 「えぇ。」




