《騎士の誓い》
思考が動きだし、これからの全てを考慮する。
確かに神殿には魔法に長けてはいるが戦力という戦力にはならない巫女たちが多い。
なぜか紫の髪を持つ子供は女子が多いからである、3:7ぐらいの割合の中少しでも男手がほしいのは確かな現状なのだ。
騎士とはすなわち裏切らない駒、しかも第7皇子の騎士は11人いると聞いている。そしてその全員が魔法を多少なれど使えると自慢していたあのマヌケ顔を思い出し即決した。
「我の剣となるものよ、ここにその正義を示し我が道を造る礎となれ」
この世界に来てあまりにファンタジーな儀式は読み知っていたりする、だって興味が湧かない現代人なんていないでしょうと言い訳しておこう。
読んだ書物通りに儀式のセリフを言うと彼らは、挿絵通りにその腰から剣を抜き私に差し出してくる。
受け取る時に主は騎士に望むことを告げそれに応えることで儀式は成される。
シオンとラビスの二人の剣を受け取るとあまりの重さに体が揺れたがそれでも意地で持ちあげる。多分1本10㎏はあるだろう、震える手を二人が一方は心配そうに一方は笑いを堪えて見ていた。
「・・・―――――」
必死に声をかけようとするが重過ぎて歯を食いしばらないと落としそうになりやっと言っても声が小さくなってしまう。
「「?」」
二人の反応から聞こえてない事が分かった。
もう限界と一度剣を床に着ける。床にキズがついてしまったし恰好がつかないがしょうがないと諦める。
「頂戴・・・あなたの全て」
「「はあ?」」
同じ顔で驚く彼らにやっと言葉の選択を間違った事に気づいたが流石に言い直しは聞かない・・・・、いやだってね、いきなりだったしそれにあまりに重いこの剣のせいで、思いついた言葉をそのまま言ってしまうのは仕方がなかったけど、よりにもよって・・・・頂戴って、子供か。
「・・・・」
自分へのツッコミを激しくしながら彼らの返答を待つ。しばらくの沈黙のあと二人は静かに立ち上がった。
断られても困るが断って欲しい。それかせめてツッコンでくれると内心安心するけど、世間はそんなに甘くない。
「私の全てを捧げましょう」
「今生、いえ来世まであなたに差し上げますよ、強欲な女神よ」
嗚呼、拝啓 お母さん。
夜這いされてテンパった、娘は言葉の選択をしっかりと間違えてとんでもない言葉で騎士11人を手に入れました。
二つの剣を返す。
「よろしく」
それでもこれで武力を手に入れたのだ、革命は、始まったばかりだ。
私の物語の終わりは近い、最後くらい好きなように生きてやる。
だって私は災厄の(・)女神なのだから。
厄災の女神らしい思考に自分でも笑うしかない。だがこの数日後このあまりにも短絡的な思考を後悔する事になると私は、この時考えもつかなかったのだ。




