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<17万PV達成>おっさん冒険者+レベル5  作者: 四季山 紅葉
第九章:エルフの国ユグドラシル
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冒険者+5:おっさん、また魔剣を貰う

 あぁ疲れた。本当に疲れたよ。

 私は思わず、その場で腰を下ろしていた。


 敵が固いと、反動で身体に響くから辛いんだよなぁ。

 腰とか肩とか、足の古傷が痛くて仕方ないよ。

 

 早くお風呂に入りたいな。

 私はそんな事を思いながら、未だに大樹に磔にされて人型に戻ったドーワを見上げた。


「……憎かったんだろうね」

  

 どうも私は彼を憎めなかった。

 

 子供の姿だから? 

 それとも、ハーフエルフ達が辛い目にあっていたのを知っていたからか?


 どちらにしろドーワにトドメを刺す気はない。 

 彼の処罰は被害のあったエルフ族に一任しよう。


 それが一番、問題にならない筈だ。


「師匠!」


「センセイ!」


「師匠~! お腹へったぁ~」


「ルイス殿!」


 疲れ切った私の下に弟子達とルナリアがやって来た。

 皆、元気だね。おじさん、走る元気はもうないよ。


「師匠、大丈夫ですか!?」


「肩をお貸しします!」


「あぁ、ありがとう……」


 私はクロノとルナリアに、肩を借りながら立ち上がった。

 やっぱりレベルが<70>以上になると、終わった後の反動がキツイな。


「はい師匠……あげる」


 やぁレイ、何をくれるんだい? 

――おぉ、翠色の綺麗な剣だね。ありがとう……って、ドーワの持ってた魔剣じゃないか!?


「いやいらないよ!? っていうか、それもエルフ族関係じゃないのかい!?」


「い、いえ……その魔剣はドーワが最初から持っていたもので、エルフに縁はありません」


「だからって貰えないよ! こういう時はまず、エルフの女王様の許可とか必要だ――」


「その必要はありませんよ」


 私がそう言った瞬間、透き通った綺麗な声が周囲に響き渡った。

 この声、私は聞き覚えがあった。


 8年前、世界樹の迷宮に入る許可を貰った時に。


「エルフの女王様?」


「女王様!? 何故、ここに!」


 そこにいたのは大きな杖を持つ、まだ少女とも呼べる女性だった。

 だが神々しいドレスと威厳。周囲の護衛の態度から、彼女を侮る者はいないだろう。


「ご無沙汰しております、女王様……そして、すみません。この格好で」


 今の私はボロボロで、クロノとルナリアに肩を貸してもらっている状態だ。

 あまりにみっともない姿だから、私は心配していた。


 けど、女王様は首を優しく振ってくれた。


「いえ、構いません。世界樹が教えてくれました……この度は、世界樹と我らエルフを救い頂き、感謝します。ダンジョンマスターよ」


 そう言って彼女は頭を下げた。

 

 私達は目を疑ったよ。

 あの誇りあるエルフ族――最低でも500年以上生きている長が、たかが人に頭を下げたんだ。


 私は驚いたが、すぐに止めようとした。


「い、いやいや!? やめてください女王様! エルフ族の長がそんな簡単に――」


「良いのです。エルフ族は滅亡の危機だったのでしょう。それを救って下さった英雄に、頭を下げるのは当然のこと。――しかし」


 そう言って女王様は周囲を見渡し、怪我をしたエルフ族を悲しそうに顔をで見ていた。


「被害が被害です……今の私達には、貴方に報酬を渡す事ができません」


 なんだそんな事か。少し真剣な表情もしていたから心配したよ。

 けど別に報酬目当てじゃないし、別に大丈夫だ。


「いえ、別に要りません。ただ、少し休む場所を貸して貰えれば……」


「えぇ構いません。ですが、それだけでは我らの気が収まりません。――ですので、代わりではありませんが、その魔剣を貰って頂けませんか?」


 そう言って彼女はレイに近付くと、レイから魔剣を預かった。

 レイは賢いから、こういう時どうするか、ちゃんと分かってるんだよ。


 そして女王様が私に魔剣・ガイアを差し出してきた。

 そうなれば、私も肩を借りてる場合じゃないな。


「二人共、ありがとう……」


 私はそう言って二人から離れると、フラフラしながらも彼女の前で膝を付いた。


「受け取って下さい。ダンジョンマスター」


「謹んで、お受け取り致します」


 私はそう言って両手を前に出し、彼女から魔剣・ガイアを受け取った。

 そして受け取ると同時に、ガントレットブレードと合成する。


 あぁ、綺麗なマナを持つ魔剣だな。

 まるで大自然で森林浴をしているかのようだ。


 こうして私は再び魔剣を手に入れてしまった。

 まぁ良いか今回は。女王様の頼みでもあるし。


 私はそう思っていると、女王様は私を見て優しく頬んでくれた。

 だがそこから少し見上げてドーワを見ると、やや厳しい顔を見せる。


「彼の身は我らエルフが預かります」


「分かっております。――ですが、彼はハーフエルフです。きっと根っこに悲しみがあります。行いは許されない事をしました。しかし、どうか理解だけはしてあげてください」


「勿論です。これはきっと……今までの罪。その罰だったのでしょう。――ですが、これは破壊します」


「えっ?」


 私は何のことか分からなかったが、女王様が近くの地面へ杖を向けた。

 すると、そこから魔法陣が現れた。


――なんだ、あの魔法陣は。あれは古代文字か?


「古代文字の魔法陣……まさか始高天の――」


「始高天……それが彼等の組織の名ですか。――マナの流れで分かります。どうやら、ここだけではなく色々なダンジョンで刻んでいる様ですね」


「なんだって……! それは……うぅ」


 私は限界が来て膝を付いてしまった。


「センセイ!?」


「師匠!」


 ミアとクロノ達の声が聞こえるが駄目だ。もう眠い。流石に疲れた。

 私は倒れそうになるのを、再びクロノとルナリアに助けてもらった。


「いけませんね。まずは休ませましょう……ルナリア、ダンジョンマスター達を案内してあげて」


「はい!――こちらへ」


 私が最後に聞こえたのは、ルナリアのその言葉だった。

 もう瞼が限界だ。色々とあって限界が来た。


――もう寝る。

 

 そこで、私の意識は完全に途切れてしまった。


♦♦♦♦♦♦♦♦


 ルイスが手に入れた魔剣一覧。


・魔剣グラビウス(重力魔法)

・魔剣悪食(魔法吸収)

・魔剣ニブルヘイム(超氷魔法)

・魔剣ガイア(大地・植物魔法)←new

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