るぅるぅとおさんぽ3
「なにやってるっすか?」
「しんごーきラビリンスを抜けたかんどーに打ち震えていたのだ! 目指すはしょーてんがいなのだ!!」
言い切ってから声をかけてきた女性に向き直る。
黒髪のポニーテール橙色の瞳は焔をイメージさせる。そんなおねーちゃん。
「ちょっとぶりなのだ! りずねぇ!」
「ちょっとぶりッスね」
琉伊にとっては高い位置、リズねぇにとっては低い位置でハイタッチ。
「何してるっスか?」
「本格家出決行なのだ! だから河童のところにも挨拶にいくのだ! リズねぇに会えて良かったのだ! よろしく。なのだ! このカッコの時はるぅるぅじゃなくて一守琉伊なのだ!」
ぐるりまわって上手に人に化けているところを見せびらかす。
「おお。上手に化けたッスね!」
合格をもらってご満悦なのだ!
しょーてんがいまで一緒に歩きながら雑談。
「琉伊のバランス能力じゃ、昼間はこの年齢タイがせいぜいなのだぁ~。もうちょっとおっきい方がいいのだぁ~」
飲み物の箱にも届かない~っと告げるとリズねぇに笑われる。
「ゆっくりでいいッスよ」
くしゃりと頭を撫でられる。
「でも歩幅が小さいから時間がかかるのだぁああああ。本体ならぴゅっ! なのだ! ぴゅ!」
本体より大きいのに本体より自由が利かないのだ!
「しかたないッスねぇ」
ひょいっと小脇に抱えられる。
「るっ?」
「走るッスよ!!」
長虫の動きより早いような速度。というか、揺れが慣れないタイプで不思議なのだ!
しんごーきが過ぎていく。
黒く長い髪が夏の風にゆるい軌跡を残す。
「歩くより早いのだぁああ!」
人ごみでは少しスピードが落としての速度、ちらりと背後を見るリズねぇ。
「リズねぇ?」
「敵意はなかったっスけどねぇ」
「琉伊が一人で歩いてるのは心配だったらしいのだ! 時々親切な人が声をかけたそうにするのだ!」
「それは、わかるッスね」
「琉伊は、大丈夫なのだ!」
「説得力がないッスよ~」
朗らかな笑い。
琉伊も笑う。
でも、
「琉伊は、本当には子供じゃないのだぁああ」
「子供ッスねぇ~」
るぅるぅは子供じゃないのだぁああ。
『悪魔で、天使ですから。inうろな町』
http://book1.adouzi.eu.org/n6199bt/
よりリズちゃん
『うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話』
http://book1.adouzi.eu.org/n2532br/
目的地は魚沼夫妻のもと♪
商店街近辺に到着☆




