恒例
「古い魔術の媒体にされていて驚くほどの不死性を持っていたんだよ。大本は破壊したからその後は高い生命力を持つ程度だったんだけどね」
「それでもただのドラゴンウォーリアーより遥かにタフだった。なるほど……」
少なくとも的を破壊したもうこの世に居ない問題児の彼より、サレルは強いと思われる。
だってルーフェを倒せずともボコボコに出来たんだから。
「リーサ、今度ドラゴンウォーリアーってどの程度の強さなのか調べてみる?」
「……戦うの?」
「いや……戦い辛いのはわかるし、やらないよ? ルーフェ、お前は同族内でどれくらい強かった?」
「ルル? みんな! ルーフェの声を聞いて逃げたくらい! 弟や妹達には絶対に危害を受けさせなかった!」
人に捕まる前から強いのかよ。
ちょっと話が変わってきたぞ。
「あー……あんまりルーフェを強さの基準にしないように。なんかおかしいから」
「それはお前が一番言っちゃいけない。お前の周囲の連中のブレイスリザードに挑ませて良いって態度は間違いなくおかしい。そんなに強いのか?」
うっ……最近思ってきたけど言い返せない。
主にシュタイナー氏と教官が悪いんだけどさ。
「俺が強いんじゃなくてサンダーソードが強いだけだから」
だって、サンダーソードが無ければ今までの戦いを乗り越える事は出来なかったもん!
「本当か?」
サレルが激しく疑いの目を向け続ける。
「ルル~ごはんできたー!」
「よし! じゃあ早速頂こう!」
良い感じに話題を逸らすようにルーフェの作ったご飯が出来たので俺は早速受け取りに行く。
「はい。チドリ! 大盛り! 食べて!」
「おう!」
「ルルー!」
疑いの目をサレルは向け続けているがそれ以上の指摘は無かった。
それより俺が気になるのはリーサだ。
過ごしやすい温度に成るように周囲の温度を下げてくれているが、ずっと使っていて疲れないのだろうか?
おや、腕輪の宝石が光っている。
魔法を補助してくれているのはわかるけどさ……。
またも美味しくなったルーフェの料理を食べつつリーサに尋ねる。
「リーサ、魔法の腕前が随分と上がったね」
するとリーサは首を横に振る。
「腕前は上がってない。毎日練習してるだけ……今回は貰った腕輪を使ってる」
「最近は使ってなかったもんね」
「甘えになると思って使わなかった」
やっぱりそうだったか。
つまり腕輪頼りにしていたのをやめてしっかりと訓練していたって事にもなるのではないか?
元々電気マッサージで色々と施しているのもあるのかもしれない。
しかし、これはブレイスリザードまでに諦めて……くれるかなぁ。
極力リーサ達に攻撃が行かないように意識すべきだ。
サレルとルーフェには後で入念な作戦会議をしなくてはいけない。
などと考えながら和やかな食事は過ぎて行った。
尚、時々魔物が出てくるんだが、接近される前にルーフェが気づくのでサクサクと倒せた。
この辺りの魔物ではリーサが勝てないって事は無いみたいだからなぁ。
「ねえチドリさん」
「なんだい?」
「サレルにはアレをしないの?」
……何だろう。
もはや恒例になってしまっているような気がしてきた。
リーサにこう言われると『じゃあやろうか!』みたいな流れがパターン化しているというか。
「なんだ? 俺に何をするつもりだ?」
「大丈夫。痛くないから」
「痛いって……!? 俺にそんな趣味は無い! むしろリーサ! お前はもう!?」
リーサ、その説明は激しく誤解を生むから出来ればもう少し学んでほしい!
その、常識を! 俺の世間体を!
と言う俺の祈りを察したのか、リーサは俺の顔を見てから説明不足を理解した様だ。
「電気マッサージ。やると力がみなぎるよ」
「ルルン!」
「ああ……それね。その元ドラゴンウォーリアーはそれが原因で妙な変異をしたように見えるが……まさかリーサ……」
「イストラの街の人達ならやった事ある人多いよ?」
特に不思議と言う訳でもなく、リーサはしっかりと説明してくれる。
「でも、一番してもらっているのはルーフェかな?」
「ルル~パリパリ、気持ち良い」
その説明だと相変わらず誤解を生むよ。
「ね……サレル……これからの戦いは厳しいから、やってもらおう」
リーサがサレルの腕を掴んで詰め寄る。
「う……」
その瞳と態度はなんとなく何か客引きをしているように見えなくもない。
一体どこでそんな事を学んだんだろう?
孤児院の子達だろうか?
それとも学園の級友かな?
リーサの悪女化を誰か止めてくれ!
「リーサ、サレルが困ってるから催促はやめよう?」
「でも……」
まあ……確かにこれからの戦いを考えるとサレルの能力を確認しておくのは必要かもしれないのは間違いない。
「サレルにやらなくて何かあったらと思うと……」
「うっ……く、わかった! やればいいんだろ! やれば! ほら! どんと来い!」
ヤケクソって感じでサレルが俺の方に来て横になったぞ。
「良いのか?」
「リーサがやれって言うんだからやった方が良いんだろ! ほら!」
「……わかった」
サレル、君も立派な男だね。
誰かが君を馬鹿にしたり笑ったとしても、俺は君をかっこいいと思うよ。
「じゃあ布を噛んで。じゃないと色々と恥ずかしい事になるかもしれないから」
「本当にこれから何が起こるんだ!?」
サレルは恐る恐ると言った様子で持ってきた布を噛んで待つ。
……何だろう。
最近俺は異世界に来て電気マッサージ師になったのではないかと思い始めている。
サンダーソードよ。
お前はこの状況が受け入れられるか?
……サンダーソードは何も答えてくれない。
必要な事だと思っているのだろうか。
やるか……。
俺はサンダーソードをサレルの背に合わせてマッサージを意識する。
パチ、パチパチと電気がサレルの背を通して魔石に干渉し始める。
「ぬ……――」
サレルが電気マッサージの感覚を受けてビクッと僅かに反応する。
けれどそれ以上の動きは無い。
我慢強い子だ。
リーサだってもう少し反応があったと言うのに。
俺はそのまま電気マッサージをし続ける。
割とすぐに魔石まで通った。
リーサ程じゃないけど、魔石への電気の通りは良かったと思う。
ちなみに魔石の通りが一番悪いのはルーフェ、次点でシュタイナー氏だ。
サレル=フィリン Lv71 男 種族 人間 職業 魔物狩りLv49
習得技能 力向上3 体力向上4 早さ向上8 視力向上7 魔力操作2 スタミナ向上4
火魔法修練3 サバイバル技能7 アイテムマスタリー5 品質鑑定5 ソードマスタリー5 ボウマスタリー3 気配察知6 回避技能6 痛み耐性5 スタミナ自動回復アップ
調合技能3 魔道具技能2 隠密5 急所突き4 底力6 野生の勘 魔物知識5
スキルポイント 6
結構Lvが高い。
ただ、潜在的な資質なのか、あるいは本人が強さを求めているのか、無意識に魔石がスキルポイントを割り振っている様で、スキルポイントの残りが心もとない。
職業欄を確認。
あ、忍者とか暗殺者とかある。
いろんな職業がこの世界にはあるんだなぁ。
見た感じだと素早く動いて敵をかく乱しながら倒す構成かな?
スタミナと早さにかなり力を入れている。
一応魔法の素質もある。
魔物狩りって身軽なアイテム使いの暗殺者って感じの職業な印象だ。
予想通り狩人の上位的な職業なんだろう。
とにかく、残されたポイントで何を割り振るのが良いだろうか?
結構完成されていると言ったらそれまでだからなぁ……回避や気配察知も欲しいけど今振っても中途半端になりそうな気がする。
……とりあえず早さ向上を振って……やっぱり9で止まってしまうか。
じゃあ力向上に2、体力向上に1振ってそれぞれ5。
防具が大事だからアーマーマスタリーを2振っておけば良いだろう。
サレル=フィリン Lv71 男 種族 人間 職業 魔物狩りLv49
習得技能 力向上5 体力向上5 早さ向上9 視力向上7 魔力操作2 スタミナ向上4
火魔法修練3 サバイバル技能7 アイテムマスタリー5 品質鑑定5 ソードマスタリー5 ボウマスタリー3 アーマーマスタリー2 気配察知6 回避技能6 痛み耐性5 スタミナ自動回復アップ
調合技能3 魔道具技能2 隠密5 急所突き4 底力6 野生の勘 魔物知識5
スキルポイント 0
うん、こんなもんだろう。
しかし……何だかんだこの子、かなり強いんじゃないかな?
早さだけならこれだけで中々のものだしなぁ。
打たれ強さもそこそこある。
少なくとも攻撃を受けても戦闘を続行できるような技能をしている。
魔物狩り故なのか本人の技能関係なく、精神的な底力か。
ただ、スキルポイントってどう増えるのか法則が掴み切れていないんだよなぁ。
職業Lvが上がったらなのかと思ってはいるけれど数字が合わない場合も多いし……。
なんて考えはこれくらいにしてっと。
「はい終了」




