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実技試験

「これは……ふむ……面白い反応が起こっておるのう。まさかこんな事が起こるとはのう」

「す、すみません」


 静電気を感じたのでサンダーソードの所為で壊してしまったかと思い謝罪する。

 弁償するのは嫌だな。

 あ、レナさんがおかしな反応をしたゲートへと片足を通す。

 青く光った。


 ぐっとレナさんが勝利の合図をシュタイナー氏と俺に向けている。

 ……見た目の割に子供っぽい反応ですよ?

 ちなみにシュタイナー氏は同じポーズで孫に応えた。

 仲の良い家族だよな。


「故障じゃないみたいですよ」

「レナ、今そのゲートを通ったら故障と思われてしまうぞ」

「そうですか?」


 別のゲートにレナさんは平然と通って青い反応を見せる。

 俺の時だけ変な反応をしたって言いたいのか?


「紫電の剣士ですもの。きっとその所為ですよ」

「そうじゃのう……紫なのはそうかもしれんな」


 いや、そんな片づけ方で良いの?

 確かに職員も故障が無くて一安心って胸を撫で下ろした後、俺の事をなんとなく獲物を見る様な眼をしていた気がする。

 今までにないサンプルを見つけたみたいな顔をしないでほしい。

 やはり魔法使いというのはイメージ通り研究者的な側面もあるんだろうか。

 なんて俺達が若干コントっぽい事をしている間にも入学試験は続く。





 次は……杖か弓矢で離れた所にある的を射抜く試験か。

 丸い的があり、中心に近付くにつれて丸が小さくなっていく……まあ極々普通の的だ。

 むしろ的としてはちょっと小さい位か。

 魔術学院の試験だし、魔法であれに当てる試験なんだろう。

 しかし、どっちかと言うと狩人向きの事もやるんだな。


「では、これから実技試験を行う。この場にある物を使い、魔法等を使用してあの的に当てなさい。チャンスは三回までとします」


 試験官がどうやら試験内容の説明をしたっぽい。

 んー……第二の型・鎌鼬の練習をした時を思い出すなぁ。

 遠距離攻撃って慣れるまで当てるのが中々上手く行かなくて大変なんだ。


 そう思いながら見守っているとリーサの番になり、杖を手に取り魔法の詠唱を始める。

 魔法自体はすぐに完成したのか、杖が淡く光っている。

 けど、すぐに発射しないのは狙いを絞っているのかな?


「アクアショット」


 やがてリーサは狙い終えたのか魔法を放つ。

 ドバッと杖から水弾が放たれて、遠くの的の真ん中に命中する。

 おお……しっかりと命中した。

 着弾点が点の字になって表示されている。


 ど真ん中だ。

 ああいうのって一発で当てるのは難しいんだよなぁ。

 練習を重ねてやっと出来るようになるっていうか。

 一発目は当れば良いで調整、二発目で更に調整、三発目で中心、みたいな。


 それを一発とは、リーサは凄いなぁ。

 孤児院の子供達と一緒に沢山練習していた成果が出た様だ。

 とは思うけど……馬車の旅をしている間にシュタイナー氏に教わっていた様な覚えもある。


 どちらにしても凄く順調なようだ。

 同様にリーサは魔法を唱えて命中を三度ほど行い、どれも的の中心に当てて第二の試験を終えた。


「ほっほっほ」


 シュタイナー氏が微笑ましいって様子で笑っている。

 うん、凄く良い調子なんじゃないかな?

 なんて思っていると爆音が響き渡った。

 音の方角を見ると、今まさに的が消し炭となって爆散する瞬間だった。


「ま、こんな所かな? ん……? どうした?」


 唖然としている試験官をよそに、そう呟く受験生の少年が一人。

 周囲の視線に気づいて頭を掻いて移動し始める。


 これは将来有望って事で良いのだろうか?

 んー……個性を出したって感じに見えなくもないが……。


 我に返った試験官が無言でカリカリと資料に何かを書き込んでいる。

 やがて的は即時に交換され、試験は再開された。


 で、少年の後に続けと後続の受験生達が威力重視の魔法を放ち始めたのだが、少年程の威力のある魔法は出せなかったのか、的を破壊するには至っていない。

 一応壊せた受験生が何名か居たみたいだけど、その受験生は先ほどの少年とハイタッチしている。友人だろうか?

 ……ん?


「フッ……」


 俺はそんな光景を眺めながら鼻で笑った生徒に気付いた。

 なんだ? ちょっと感じが悪いんだが。

 その笑った生徒はリーサと同じ様に的の中心に命中させて試験を終えた。

 どうして笑ったのかはわからないが、何かあるんだろうか?


「……」


 そっとシュタイナー氏とレナさんに視線を向けると、二人は黙って成り行きを見守っている。

 シュタイナー氏の方はなんとも言えない表情だ。

 次の試験は室内で筆記試験に入るようだ。


「そろそろ面接試験の準備をせねばな」


 シュタイナー氏が次の試験の準備に先回りする様だ。


「その前に……チドリ殿、第二の試験をやってみる気はないかの?」

「ですから、俺は入学しませんよ?」

「ほっほっほ」


 いや、笑って誤魔化さないでほしいんですけどね。

 さすがに文字はまだ軽い文法を読む事は出来ても書けないし。


 とにかく、受験生がほとんどいなくなった第二試験会場の片づけをする前にって感じでシュタイナー氏達と立ち寄る。

 で、シュタイナー氏とレナさんに露骨に誘導されるんだけど……。


 まあ、一回くらいなら良いか。

 何事も経験だし。

 なんて思いつつ的に目を向ける。


 ……意外と距離があるな。

 リーサはこれの真ん中に当てたのか。

 鎌鼬を使えば当てられなくもないし、意識したらサンダーソードの落雷も当てられるだろう。

 けど、角度的な問題があるしなぁ……壊したら悪いし……。


 俺は止む無く支給される弓矢を持って構える。

 小金稼ぎに猟師をしていた経験がここで役に立つとは。


 ちなみに冒険者仲間には動く複数の魔物の眉間や心臓に一度の発射で当てる達人が居たっけ。

 ラルガー流弓技・皆殺しの矢、なんて技だとか……あれは凄かった。

 成功率は低いって言ってたけど成功した際はすさまじい。

 俺は真似できない。


 ただ、剣以外では弓も多少は使える。

 技能的にいえばサバイバル技能のお陰なんだろう。

 俺の技能にラルガー流弓術は無かったしな。

 意識をすると的が若干大きく、近く見える気がする。


「よっと」


 矢を放って的に飛ばす。


「あー……ちょっと真ん中からずれちゃったか」


 僅かばかり真ん中からずれてしまった。

 やっぱり久しぶりにやると狙いがズレてしまうか。


「ほっほっほ、それでもなかなか良い腕前じゃと思うぞ」

「私も入学時にやりました。あの頃は魔法が上手く使えなかったので、チドリさんみたいに弓矢で当てましたよ」

「レナはしっかりと真ん中に当てたのう」


 それは孫自慢ですか?

 でも、悔しくはない。

 俺にはサンダーソードがあるから!

 リーサやレナさん、シュタイナー氏の様に出来なくたって、サンダーソードの使い手……紫電の剣士として成長していけば良いさ。


「さて、では次に行くかのう。チドリ殿は自由にしていてほしい。それではな」


 なんて言ってシュタイナー氏は行ってしまった。

 自由にって言われてもなぁ……建物の中まで入る程じゃないし。


「じゃあ私と一緒に学園の菜園を見ますか? チドリさんの家でも使えそうな薬草を株分けしておすそ分けしますよ」

「それは助かります」


 世話する暇があるかな?

 なんて思ってたんだけど、俺達が留守の時は孤児達が面倒を見てくれると話が着いているらしい。

 その代わりとして孤児達に世話した分の分け前を渡さないといけないんだが、了承した。

 孤児達もこの前の件でお礼がしたいって事で協力的だし、関係は問題ない。


「その前に片付けの手伝いをしますよ」


 と言う訳で……レナさんの案内で俺は学園の菜園へと案内された。

 ……マンドラゴラとか怪しげな薬草なんかも栽培しているっぽい。

 薬草辞典の挿絵で見たから一目でわかる。

 引き抜くと失神する声を上げる魔物の一種らしいけど……使い道は多そうだ。

 さすがに家での世話は避けたい。


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