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世間体

「それじゃあ……おやすみなさい」


 リーサは割り振った個室へと行ってしまった。

 この後勉強をするつもりなのだろう。

 うん……内緒で合格祝いを準備しようかな。

 エアクリフォからもらったうろこもいい加減使った方が良いだろう。

 お金も十分にあるし、リーサにこそ良い物を買い与えないとね。


「ルルーン」


 ルーフェの声がリーサのいる部屋の方から聞こえてくる。

 がんばれって応援しているのだろう。

 ただ、今のリーサからすると邪魔になるかもしれない。


 ……しょうがない。

 ルーフェの事を確認するって意味でやるか。


「ルーフェ、その……リーサが勉強に集中しているから、今はあんまり構わないで上げてほしいな」

「ルルン! ワカった!」


 声を掛けるとルーフェは素直に応じて俺の方を向いて寝転ぶ。

 さて……どう説明してルーフェに電気マッサージを施すべきか……。

 まあ、別にばれても問題ないか。


「ルーフェ」

「なニ?」

「俺とリーサ以外には知らない秘密で口外しないでほしい事があるんだが聞いてくれないか」

「ルル?」


 俺はサンダーソードを鞘に入れたまま持ってルーフェに見せる。


「これは俺の武器であるサンダーソードなのはわかっているな? 俺の命よりも大切な代物だ」

「ルルン!」


 ルーフェが何度も頭を下げて頷く。


「チドリ、そのけんをフるった。ツヨくてルーフェ、あのトキ、ナンドしんだかワカラナイ」


 致命傷は何度も与えていたってのはルーフェ自身の弁だ。

 それだけボコボコにされて俺に対して好意を持つってのはある意味凄いと思う。

 今更になって何度も倒した事に罪悪感みたいな物が湧いてきた。


「でだ。このサンダーソードの力は何も戦うだけが全てじゃない。任意の相手に流すことでより魔石に干渉し、望んだ力を与えられるかもしれないんだ」


 これは全てエロッチの加護のお陰だ。


「スゴい!」


 おお! お前もわかるか!


「それでなんだが、ルーフェで実験をしても良いか?」

「パリパリ、からだのなかをとおる」


 ああ、そういやルーフェは何度もサンダーソードの雷撃を受けたんだから電気に対して理解は早いか。

 けれど、あの時とは違って攻撃をしようという訳じゃない。


「ジッケン、だいじ! ナニゴトモ、けいけん。そとでもカワラナイ」


 シュタイナー氏みたいな事を言い出した。

 これは野生でも経験は重要って言いたいのかな?

 特に教えられもせずに定められた行動をするのは昆虫に多いが、鳥類やほ乳類の肉食動物の場合、親からしっかりと教わらないと狩りの仕方がわからないようになるって話を昔、日本人仲間の登山家から聞いた覚えがある。

 ドラゴンウォーリアーという種族もその辺りの認識が強いのかもしれない。


 経験をする事でより良く行動する事が出来るようになる。

 実験とはそういった意味もあるのを理解しているって事だろう。

 ちなみにシュタイナー氏に概要だけ聞いたのだが、魔物を使役する職業の者は自身が使役している魔物のLvをなんとなく把握出来るんだとか。


「ケド、ルーフェ、ジッケンされてタイヘンだった」

「ああ……そうだったな」


 考えてみればルーフェは人間に生け捕りにされて改造されてあんな場所で石化させられていたのは元より、魔法の媒体にされてもいたんだったか。

 実験は禁句だったかもしれない。


「ルーフェの事を考えているつもりで失礼な事を聞いちゃったな……じゃあやめておこう」


 ウンザリするほど酷い目にあったんだ。

 さすがに嫌だろう。

 そう言ってルーフェで実験するのをやめようとすると、ルーフェは頭をぶんぶんと横に振る。


「チドリなら、ジッケンされてもイイ」

「だが……」

「ルルン。ルーフェ、チドリになんどもたおされた。ツヨイあいてにしたがう、とうぜん。ルルン」

「あんまり強さ至上主義な考えは賛同したくないんだけどなぁ……」


 思い通りにならなかったら暴力で解決しようとした連中とか昔出会った事がある。

 理不尽に憤るのは悪くないと思うけど、強ければ何をしても良いと言うのは好ましく思わない。

 雄々しいのは良いけれど、相応に誠実さや正しさも大事だ。

 何せ俺はエロッチの加護を持つサンダーソードの持ち主なんだから。


「チドリ、ルーフェのこと、きをツカッテル。だから、ダイジョウブ」

「そう言ってくれるのはありがたいけど……本当に良いのか?」

「うん! ドウシたらイイ?」


 健気なドラゴンだなぁ。

 愛嬌もあるし……。


「じゃあそこで伏せてくれ。俺が背中に乗って試すから」

「ワカッタ」


 ルーフェは俺の指示した通りに庭で伏せる。

 それから俺はルーフェの背中に乗って……電気マッサージを施すようにサンダーソードを大きなルーフェの背中に合わせて意識をする。

 パチパチとサンダーソードの鍔辺りから電気が流れる。


「ル、グルル……ルル」


 ルーフェが徐々に唸り始める。

 のだが、電圧が低い所為なのか反応が鈍い。

 だが……徐々に電圧が上がっていき、パチパチと音が大きくなっていく。


 リーサの時とは大分違う。

 やはり個人差とかがあるのだろうか?

 俺の事を信頼したら早く出現しているという推測は外れか。

 もしくはサンダーソードは魔物には適応しないとか?


「グ……グルルルルルアアアアアアア……アアアン」


 ……ルーフェもなんか気持ち良さそうな声を上げ始める。


「チ、チドリ、アアア……モット、モットォオオオ」

「世間体が悪くなるからもう少し声を低めに!」


 ご近所が気になってこっちを見てそうで怖い!

 やっぱりこれが俺にとっては恐ろしい事なんだ。

 シュタイナー氏は黙っていたんだけどさ。

 一旦止めるか?

 そう思った所で、ルーフェはリーサが布を噛んで声を殺したように、肉を食べた後の骨に噛みついて堪え始める。


「グル、ルルル……アノときのカミナリ! ルルル!」


 おー……一応、素直に従ってくれているだけましなのか?

 なんて思っているとピコッと俺の方にステータス項目が飛び出してきた。

 この辺りは魔物でも使用可能ではあるようだ。

 ともかく、ルーフェのステータスを確認する。



 ルーフェネット Lv62 メス 種族 改造ドラゴンウォーリアー ■■■◇

 習得技能 力向上7 魔力向上2 知識向上4 生命力向上9 早さ向上5 視力向上5

 ドラゴンパワー4 アックスマスタリー4 サバイバル技能5 品質鑑定5 竜の鱗

 火耐性4 水耐性3 野生の力5 回避技能3 ファイアマスタリー4 ブレスマスタリー3 ライドドラゴン3

 生体改造 呪詛の残滓× 呪詛治療× 人語理解2 再生力増加3 四竜の想い 原初の力

 スキルポイント 15



 思ったよりもLvが高い!

 それと習得している技能的には近接重量級そのまんまだ。

 ただ……職業とかはないみたいだな。

 それと、生物改造、呪詛の残滓と呪詛治療は弄る事が出来ないっぽい。


 なんかこれがルーフェに取って激しい重しになっているような感じがする。

 これはルーフェが言っていた改造された跡に該当するマイナス技能ってことかな?

 人語理解が2あるお陰で会話ができているんだろうってのは想像に容易い。

 数値的な所を確認しても体力の化け物って感じで、うん。

 見た目相応だな。


 うーん……やはり俺自身と比べるとリーサと同じく能力が高く見えてしまう。

 気になるのは種族項目とその隣の四角の部分か。

 これはサンダーソードなりの魔物の格的な分析か?

 嵌める魔石と似た感じだし……。


 ここから分析するとルーフェは魔物として□が三個、ないし四個相当の魔物だって言いたい……って事なんだろう。

 □の角度違いは何の要素なのかはよくわからない。


 さて、問題はルーフェがどのように強さを求めているかだろう。


「ルーフェ? 聞こえるか?」

「グルル……ルルン」


 ルーフェは俺の問いに歯を食いしばって頷く。

 うん、しっかりと意識は保てているようだ。

 良い顔をして聞いていない訳ではない。


「そうか。じゃあルーフェはどんな力を望む? 出来る限り要望を叶えるように努める」

「ル……ルル……ルーフェは……りょうりがじょうず、なりたい」


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