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ドラゴンウォーリアー

「おお……こりゃあ凄いのう」


 動いた仕掛けにシュタイナー氏が関心している。


「こんな仕掛けがあるんですね。チドリさんがいなかったらどうなっていた事か」

「シュタイナー氏がいるので魔法でどうにかなったと思いますよ」

「確かにそうじゃが……ここまで的確には出来なかったじゃろうな」

「とりあえず行きましょう。目当ての部屋はこの先で良いのですか?」

「近づいては来ておる」


 なんて話をしていると壁がせり上がり……そこには斧を持った大きなドラゴンっぽい生き物の石像が鎮座してあった。

 随分と迫力があるな。

 まるで石化しているかのように精巧な像だ。

 羽は小さく、重量級のドラゴン戦士って感じだ。


「まあ……」

「石の像?」


 レナさんが驚きの声を上げ、リーサが小首を傾げて石像と俺に聞いて来る。


「これは随分と迫力がありますね……」

「確かドラゴンウォーリアーと呼ばれる武器を持って戦う竜の戦士じゃな。随分と精巧な……」


 なんてシュタイナー氏が呟いている最中。

 キーンと音がしてドラゴンウォーリアーの像の足元に魔法陣が出現して、石像に色が着いて行く。


「グルルルルルル……」


 色が着いたドラゴンウォーリアーの像だった物が声を出し、息を吸って吐いた。


「せ、石化していただけって事でしょうかね」

「そのようじゃ」

「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」


 ドラゴンウォーリアーが咆哮を上げ、ビリビリと空気が振動する。


「あ、あああ……」

「うう……」


 レナさんとリーサが放心する様にへたりこむ。

 そこを急いで駆け寄り、シュタイナー氏が頬を叩く。


「ドラゴニックボイスじゃ! 使い手よりも大幅にLvの低い生き物はその威圧の声によって恐慌状態に陥ってしまうのじゃ」

「なんだって! シュタイナーさん! リーサとレナさんを安全な所へ! 俺が足止めをします!」

「う、うむ! しばし待っておれ! 二人を安全な場所に移したらすぐに戻ってくるのでな!」


 シュタイナー氏がその外見には相応しくない程の腕力を見せて二人を担いで下がっていく。

 俺はサンダーソードをドラゴンウォーリアーに向ける。


「こっちだ! いつでも掛かってこい!」

「グルルルルル!」


 俺はドラゴンウォーリアーの目を睨みつけた。

 そこには理性の無いけだものの瞳があり、涎を垂らしながら距離を測っている。

 筋肉が張り上がり……とても強靭な化け物である事を理解させてくれる。


 うん……今まで戦った魔物の中でもとびきり理性らしき物が見られない。

 怒りに我を忘れたような……そんな感じだ。

 ドラゴンが放つプレッシャーをヒシヒシと感じる。


 この感覚は……懐かしいな。

 前の世界の最終決戦で町の防衛をした際に、敵の軍勢に混じっていたドラゴンを相手にして以来だ。

 あの時の俺は完全に足手まといで、みんなの戦いのサポートしか出来なかった。

 その時に感じたプレッシャーを放つ相手を今、俺は一人で相手をしなくちゃいけないって事を考えると、幾らサンダーソードがあっても無理なのではないかと思わせられる。


 だが、ここで退く訳にはいかない。

 何せ俺がここで退いたらリーサは元よりレナさんが死んでしまうのは確実だ。

 シュタイナー氏の反応からしてそこまで強い魔物なのか判断出来ないが……それでも俺が足止めせねば始まらない。


「はあああああ!」


 ここで出し惜しみはしない!

 魔石をタコの魔石に変えて出来る限りの手を使う。


「アームドサンダー!」


 雷で出来たタコの足がドラゴンウォーリアーに絡みついて動きを止める。


「グルウウウウウ!?」


 バチバチと雷でドラゴンウォーリアーが仰け反る。

 が、ドラゴンウォーリアーの足元に魔法陣が発生してドシンドシンとこっちに一歩、また一歩と踏み出してきた。

 縛られて怒り猛るドラゴンウォーリアーが斧を振りかぶってタコ足を振り解かんとしている。

 く……タコ足がバチバチと千切れて、一本、また一本と霧散して行く。


「ブラインドライトニング!」


 そう意識するとサンダーソードが放電し、黒い雷の弾を放ってドラゴンウォーリアーに飛んで行く。


「グルウウウウウ!」


 が、ドラゴンウォーリアーはモノともせずに飛んで行った黒い雷の弾に噛みついた。

 バチバチとドラゴンウォーリアーに雷が辺り、若干仰け反りを見せる。

 が、ダメージ等感じていないかのように斧を振りかぶって叩きつけて来る。

 けれどブラインドライトニングの効果なのか俺に攻撃が届いていない。


「ルウウウウウウウウ!」


 攻撃が当たらない事に苛立ったのか大きく息を吸い込むと胸辺りが赤熱し、光が喉を伝って口から放たれる。


 それは竜のブレス。

 炎が俺目掛けて吐き出された。


「く……」


 咄嗟に横っ跳びしたお陰で完全に命中する事は避けられたが、肌が焼ける。

 ヒーリングサンダーを意識すると俺の周囲に雷の弾が発生し、傷が見る見る内に塞がって行く。

 これは助かる。

 が……魔力なのかよくわからないけれど力が目に見えて目減りしたのを感じた。

 何度も使用出来る訳ではないらしい。

 今までほとんどの敵が一撃だったから失念していた。

 幾らサンダーソードが強力であっても俺自身の腕前は大した物では無い。


「グルウウウウウウウウウウウウウウウウウ!」


 魔法陣が光ったかと思うと、バシンバシンとドラゴンウォーリアーは尻尾で地面を叩き付け、辺りの瓦礫を俺に向かって弾き飛ばしてくる。

 もうブラインドライトニングの効果が切れたのか!

 安易に避けたら追撃して来る!

 理性が無い割に頭が良い。武器を持っているだけの事はある!


 サンダーソードで飛んでくる瓦礫を弾いて逸らす。

 一気に畳みかけるしかないか?


 ならば、俺が使えるラルガー流剣術の最後の技を放つ!

 本当はまだまだ上位があるんだけど、俺ではそれ以上の技を使う事が出来なかった。

 この技を昔、ドラゴンに放った時、僅かにダメージを与えるだけでしかなかったのが悔しかった。

 俺が放つと、その名に恥ずべきラルガー流の技だ。

 だが……ここで俺は何度でもその名に劣る技を放とう。


「ラルガー流剣術・第五の型!」


 俺は一旦バックステップをして大きく助走をつけながら跳躍して大きく一回転しながらサンダーソードを振りかぶる。


「破竜!」


 創始者はドラゴンをこの技で一撃の元に仕留めたことから名付けられた大技であるらしい。

 放つタイミング、型……込める力など、様々な要素を凝縮し……出来る限りの力で叩き伏せる必殺の剣技。

 もちろんその大ぶりな攻撃故に目の良い相手には避けられてしまう。

 が、まだアームドサンダーが残っている。

 避けるには程遠い。


「はああああああああああああああああああああああああ!」

「ガアアアアアアアア!」


 ドラゴンウォーリアーが斧を俺目掛けて振り上げて来るのを紙一重で躱し……眉間に狙いを絞って叩きつける。

 ドシュッとサンダーソードがドラゴンウォーリアーの眉間を叩き割る様に切り裂く。

 更に追撃とばかりに雷が俺を中心に発生し、室内を閃光で彩る。


「グルアアアアアアアアアアアア!」


 ドラゴンウォーリアーは俺の一撃を受け、全身を黒こげにしながら白目を向き、地響きを立てて倒れた……。


「勝った……」


 俺は倒れているドラゴンウォーリアーを改めて確認する。

 破竜の決まった手ごたえはある。


「やった! やったぁあああああ!」

「チドリ殿!」


 そこにシュタイナー氏が駆けつけて来る。


「これは……上手くやったという事で良いのじゃな?」

「ええ……まさか俺も勝てるとは思いませんでした」


 時間を稼いだら俺も撤退するか、シュタイナー氏と合流後に連携して倒す予定だった。

 思いの他、上手く行った感じだ。

 破竜が綺麗に決まったとでも言えば良いのか。

 あるいはサンダーソードの切れ味が良かった影響かもしれない。


「そうか……」


 シュタイナー氏がドラゴンウォーリアーの死体を確認する。


「しかし、妙なドラゴンウォーリアーじゃ……本来ドラゴンウォーリアーはドラゴニックボイスは使用せん。何よりチドリ殿が苦戦する程までの力を持っておらんはずじゃ」


 シュタイナー氏は俺の証言を聞くと眉を寄せた。

 どうもドラゴンウォーリアーというのは武器を使うドラゴンで、強さはドラゴンの中でも下の方の魔物であるらしい。

 ただ、それでもドラゴンの一種である事は変わりなく、強いと言えば強いのだが……上級冒険者が勝てない程の魔物では無いと。


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