189 戦いの翌日
お待たせしました、第5章スタートです!
こちらもお待たせしましたが、書籍第1巻発売になります。
詳細は後書きで。
本日は3話更新。明日から第5章完結まで、20時に毎日投稿です。
目を覚ますと、隣にはシンシアがいて、俺をジッと見つめていた。
「おはよう」
「ああ、おはよう。起きてたの?」
「寝顔を見てた」
「起こしてくれれば良かったのに」
「へへっ」
シンシアにほっぺをツンツンされる。
彼女の柔らかい笑みで、日常が戻って来たことに安堵する。
「今、何時?」
「もうお昼過ぎよ」
その言葉に俺の腹がぐぅと鳴る。
「ふふっ。ご飯にする?」
「ああ、起きよう」
いつもは裸で目覚めるのだが、昨日はそれどころではなかった。
二人でパジャマに着替え、倒れ込むようにして眠りに落ちた。
「こっち見ないでね」
今さら裸を隠すような仲ではないが、着替えを見られる方が恥ずかしいらしい。
乙女心は複雑だ。
彼女に背を向けて、俺も着替える。
「休日で良かったわね」
「そうでなくても、とてもダンジョンに潜る気にはなれないな」
衣擦れの音に、彼女の声が混じる。
それが俺を反応させた。
上半身裸のまま、静かに歩み寄り、後ろから抱きしめる。
「きゃっ!」
シンシアは驚いてみせるが、彼女も予想していたようだ。
「もう、ダメよ」
振り向く彼女の唇を奪う。
「んんんっ」
くぐもった声がさらに俺を昂ぶらせる。
俺は彼女の胸に両手を伸ばした――。
◇◆◇◆◇◆◇
命を賭けた戦いの後。
本能がそうさせるのか、欲求が激しく高まる。
疲れ果てていた身体が、時間をおいて爆発した。
それは俺もシンシアも同じだった。
昨日を忘れるように、お互いを求め合った。
いつもより激しく。いつもよりも深く。
満たされた頃には、日が傾いていた。
シンシアとキスをする。
軽いキスだ。
唇がチュッと鳴る。
「先に浴びなよ」
「ええ、お先に」
順番でシャワーを浴びる。
一緒に浴びると再開してしまいそうだから。
シャワーを済ませ、着替えてさっぱりした。
「夕食にしようか」
「ガッツリ食べたいわね」
「賛成」
料理を並べていくと、玄関のチャイムが鳴る。
「こんばんは~」
ロッテさんがやって来た。
「お二人とも、しっかりと休めたようですね」
「昼まで寝てたよ」
「よく休んだわ」
「ふふふ。良かったですね」
見透かすような視線を向けられる。
「ロッテさんも食べていきます?」
「ええ。そのつもりで来ました」
「あはは。正直ですね」
「ええ、気をつかって、この時間にしたのですから、それくらいの役得はないと」
シンシアと二人で苦笑いする。
俺たちのことはお見通しのようだ。
「うわあ、肉、肉、肉って感じですね」
「冒険者だからね」
「ロッテさんも好きでしたよね?」
「ええ、肉ならいくらでもいけます」
多めに用意したけど、足りるかな……。
「大変だったようですね」
「ロッテさんも忙しかったんじゃない?」
「いえ、今回のはボウタイと治安部隊の案件なので、私たちはまったく関与していないんですよ。なにが起こったのかも、なんとなくしか聞いてません」
確かにロッテさんの顔に疲れはない。
目の隈もないし、やつれてもいない。
元気満タンで、肉にかぶりついてる。
「それで、お二人に出頭願いが出ています」
「昨日の件?」
それ以外に思い浮かばない。
「はい。強制ではありませんが、できれば事情聴取にご協力いただければと」
「もちろん。断る理由がないよ」
俺としても、事件の全貌を知っておきたい。
とくに、パズズ――魔王の僕と言っていた魔族。
邪教徒は魔王の復活を企んでいた。
魔王封印が俺に課された役目。
この先どうなるのか、知り得ることはすべて知っておきたい。
「では、明日。一〇時に迎えに参ります」
「了解」
それだけ言い残して、ロッテさんは帰っていった。
食事の後片付けを済ませ、コーヒーでひと段落いれる。
「明日も休み?」
「そうだね。何時に終わるか分からないし。ステフとメンザに連絡しておこう」
「任せたわ」
「あの件について、すり合わせしておこう――」
昨晩は一緒に行動していたとはいえ、体験したこと感じたことは異なる。
情報を交換し、明日の聴取でどう応じるかを決めていく。
「――まあ、こんなところかな」
「ええ、そうね」
話が終わり、俺はシンシアに問いかける。
「足りた?」
「どっちのこと?」
「夕飯じゃない方」
「もうちょっと食べたいかな」
「明日、寝坊しないようにしないとね」
俺とシンシアは腕を組んで、寝室に向かった。
【6月30日発売】
書籍第1巻、雨傘ゆん先生の素晴らしいイラストで発売されます。
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次回――『事情聴取(上)』




