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161 サージェントの回想2

 ――仲間の不在が痛い。


 いずれにしろ、俺一人で敵の攻撃をすべてさばかなきゃならない。

 その上で、敵にダメージを与えないと。


 ――厄介な状況だ。


 だが、ピンチは今までに何度もくぐり抜けてきた。

 今さら、臆するものか。


「大丈夫?」

「ああ、問題ない」


 オリハルコンの曲剣を掲げて見せる。

 オリハルコンは特殊な金属。

 オリハルコンは魔法を斬る。


 ――すべて斬り落としてやる。


 後ろからリードリッヒの付与魔法が飛んで来る。

 耐氷の付与だ。


「サンキュー」


 振り返らずに、俺は告げる。

 素直にお礼を言ったのはいつぶりだろうか……。

 だが、自然と言葉が口をついた。


 アイス・マジシャンが杖を振り、氷塊が飛んでくる。

 今度は3つだ。


 俺は前に駆け出しながら、3つを斬り落とす。

 そして、アイス・マジシャンに迫り――。


 曲剣を振りかぶろうとして、敵の杖が動くのを見た。

 嫌な予感に、俺は作戦を変更し、突きに切り替えるッ。


 最速の突きによって、魔法の発動は防げた。

 だが、アイス・マジシャンが仰け反ったせいで、胸を少しかすめただけだった。

 小さな氷が弾けるが、それだけだ。

 たいしたダメージは与えられていない。


 アイス・マジシャンはバックステップで距離を取る。

 意外と素早い身のこなしだ。


 魔法使い相手に距離と時間を与えてはならない。

 俺も相手の胸元に飛び込み、連続で突きを放っていく。


 至近距離での攻防。

 相手は杖で剣撃を防ごうとするが、直接戦闘では俺に分がある。

 少しずつ氷を削っていくが――硬い。


 アイス・マジシャンは接近戦に、攻撃パターンを変えてきた。

 杖で俺の剣を防ぐだけではなく、弱いが発動が速い氷の矢を放ってきた。

 氷塊ほどの威力はなさそうだが、同じように紫の光で覆われているので、不用意に受けるわけにはいかない。


 氷矢に対処しながらなので、俺の攻撃も弱まる。

 それでも、俺は耐える。

 相手が隙を見せるまで、削って削って、粘り強く耐える。


 やがて、その瞬間が訪れた――。


 アイス・マジシャンは身体の前に構えていた杖を横にずらす。

 氷塊を撃つつもりだろう。

 だが、俺の方が疾いッ!


 首を落とす勢いで曲剣を叩きつける。

 俺の一撃と、魔法の発動はほぼ同時だった。

 慌てて剣を引く。


 飛び出したのは3つの氷塊――。


 そのうち2つはなんとか斬り落としたが、残りのひとつが脇腹の横をすり抜けそうだった。

 俺は迷うことなく剣から右手を離し、氷塊を弾き落とす。


「グッ……」


 腕が吹き飛ばされそうな重い衝撃。

 そして――肘から先が凍りついていた。


 これが付与ダメージか。

 氷に覆われた腕。

 指先を動かせない。

 厄介な攻撃だった。


 だが、すぐにリードリッヒから回復魔法が飛んで来る。

 優しく暖かい光に包まれ、腕を覆っていた氷はとけ、足元に水溜りをつくる。

 その水溜まりも凍った床に吸収されるように、すぐに凍りついた。


「サージェント、大丈夫?」

「ああ、問題ない」


 リードリッヒの回復魔法一発で治せる程度のダメージだとわかった。

 これなら、多少の被弾は気にせず戦える。


 アイス・マジシャンの首に刻まれた傷はわずか数センチだったが、それでも勝機を見出した俺の心に少し余裕が生まれた。


「リードリッヒ、サポート頼むぞ」


 リードリッヒの魔力が尽きる前に、倒しきってやる。

次回――『サージェントの回想3』


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