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150 ローガン商会(下)

 ――ラーズがヴェントンらと合流を果たした頃。


 ローガンは執務室の奥にある個室に引きこもっていた。

 彼の暗い趣味のための部屋だ。


 ローガンの片腕である部下の男が、その部屋の扉を叩く。


「商会長、ご報告が――」

「うるさいっ、今は取り込み中だっ。後にしろっ」

「それが、緊急の報告でして。それに、ウィード様がお越しです」

「チッ……」


 ローガンは舌打ちして、エルフ幼女から身体を離す。

 幼女は全裸のまま、ベッドに力なく横たわっている。

 目に意識はなく、アザだらけの姿だ。


 ローガンが衣服を整え執務室に戻ると、そこには我がもの顔でソファーに座るウィードがいた。


「お楽しみでしたか?」

「ちっ。それで、用件はなんだ?」


 いいところをジャマされたローガンが不機嫌そうに葉巻を銜えると、部下の男が火をつける。

 大きく煙を吸い込んだところで――。


「ザネスから連絡が途絶えた」

「ゴホッ、ゴホッ」


 ローガンは大きくむせた。

 なんとか、呼吸を整え、問いかける。


「なんだとッ?」


 ザネスはラーズによって無力化され、毒を飲んで自決した【1つ星】の冒険者。

 そして、通信用魔道具を持っていた男だ。


「それに倉庫街の拠点は一網打尽だ」

「くっ…………」


 倉庫街の拠点。

 巧妙な隠蔽によってローガン商会とは別名義の所有になっている。

 ひとつふたつ暴かれたところで、ローガンとの繋がりは辿れない。


 だが、一網打尽となれば、話は別だ。

 官憲が本気で調べようと思えば、裏にローガン商会がからんでいることはすぐに発覚するだろう。


 そうしたら、今までの悪事が発覚してしまう。

 冷や汗を流すローガンにウィードは淡々と告げる。


「例の計画を早めて、今から実行する」

「ああ、大丈夫なのか?」

「予定よりは小規模になるが、それでも問題ないとヤーバーが言っていた」

「頼むぞ……」


 ローガン自身にできることはない。

 後はウィードたちに任せるのみ。

 天に祈ることしかできなかった。


 ウィードは立ち上がると部屋を去る。

 まったく、動じたところがなかった。


 ローガンは今日という日を恐れてきた。

 半年前からずっと恐れていた。


 その恐れていた日が――ついに訪れた。

 こうなれば、毒を喰らわば皿までだ。

 ローガンはウィードたちと運命をともにする覚悟を決める。


「あのペットはいつものように処分しておけ。それと、例の帳簿は焼き払っておけ」

「承知しました」


 ローガンは腹心の男に命令する。

 この男は商会で唯一、この件を知っている男だ。


「誰が来ても、知らぬ存ぜぬで押し通せ。お前はなにも知らない、ただの雇われだ。ヤバくなったら、さっさと逃げ出せ。今までご苦労であった」


 ローガンの言葉に男は深く頭を下げる。

 商会を立ち上げる前から、ローガンに忠義を捧げてきた男だ。

 もとは自分の悪癖から始まったこと。

 今まで尽くしてくれた男を巻き込む気はローガンにはなかった。


 短い別れを済ませると、ローガンは地下倉庫へと向かった――。

次回――『商会強襲』


ラーズ視点に戻ります。

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