表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

129/205

129 風流洞攻略8日目1:上層部攻略再開

 翌朝、ダンジョン入口前で予定の時刻に集合する。

 言葉の通り、ステフは時間通りにやって来た。


「どうだった?」


 俺の問いかけに、ステフは首を横に振る。


 ステフは昨日、【精霊の宿り木】に加入し、【2つ星】になった。

 「ジョブランクが上がるかも」と期待していたが、そう簡単にはいかないようだ。

 まだ、精霊王様に正式な仲間と認められていないのだろうか……。


 まあ、それほど期待していたわけではない。

 ジョブランク2のままでも、ステフは戦力として申し分ない。

 それを活かすも殺すもリーダーである俺次第だ。


「じゃあ、今日も頑張ろう」


 俺たちは第41階層に転移し、今日の冒険を始める。


「あるじどのー! ままー!」


 転移するなり現れたサラが俺とシンシアに飛びついて来る。


「元気にしてたか?」

「いい子にしてた?」

「うんっ!!」


 いつも通りに元気いっぱいだ。

 そんなサラに――。


「サラちゃん、おはよう」


 ステフが爽やかな笑顔を飛ばす。

 昨日はいけ好かないイケメンスマイルだと思っていたが、女性だと分かると美しく感じてしまう。

 心移りしたりはしないが、俺も男だな……。

 男のこういう部分にステフは嫌悪感を抱くのだろう。

 俺も注意しないとな。


 一方、笑顔を向けられたサラはといえば――。


 顔をステフに向け、しばらくじっと観察していたが、そっと俺から離れるとステフに歩み寄った。


「気を入れかえたなー。じゃあ、なかよくしてやるー」


 謎の上から目線だけど、一応はステフを認めたようだ。

 その返事に気を良くしたのか、ステフが更に手を伸ばすが――。


『――【炎朧えんろう】』


 俺とシンシアの背後に隠れて、顔を出す。


「サラにさわるにはー、まだはやいー!」


 もっと好感度を上げないと、スキンシップは許されないようだ。


「ははっ、じゃあ、これから私の素晴らしさを見てもらわないとな」


 だが、ステフはまるでめげた様子はない。

 メンタルの強さは一級品だ。


「さあ、そろそろ行くぞ」


 今日は第42階層を探索する予定だ。

 第42階層に転移するための場所は先日発見済み。

 まずはそこを目指して、ガーディアンを蹴散らしながら進んでいく。


 メンザから貰ったバフォメット・バングルのおかげでシンシアの魔力消費は3分の1。

 俺がサラに魔力を注ぐ際も3分の1で済んだ。


 そのせいもあって、シンシアもサラも惜しみなくスキルを使っていく。

 二人がノリノリで撃破していくので、俺は暇だった。

 昨日は連携を取る練習だったので、二人とも本気を出していなかった。

 本気を出した二人にステフは衝撃を受けていた。

 そんなステフに気になっていたことを尋ねてみる。


「この前ソロで22層まで到達済みって言っていたよな?」

「ああ、その通りだ」

「じゃあ、モノアイ・ボールダーも?」

「ああ、もちろんだ」


 モノアイ・ボールダー。

 一つ目を有する直径2メートルほどの大岩。

 風流洞第20階層のボスだ。


 攻撃手段は地面を転がって突進してくるだけ。

 その攻撃力は脅威だが、動きは単調で回避はそれほど難しくない。


 本当の脅威はその硬さだ。

 コイツはひたすら硬く、生半可な攻撃ではダメージを与えられない。

 唯一の弱点である単眼を狙うのが一番なのだが、モノアイ・ボールダーは転がり続けて止まらないので、なかなか困難。

 時間をかけて少しずつ削っていくのが正攻法だ。


 必然、戦闘は長期化する。

 単調な突進攻撃でも、疲労して集中力が落ちてくると、直撃を喰らいかねない。

 交代で休憩を取りながら、長時間集中力を保ち続ける持久力が要求される。


「どうやって倒したんだ?」


 モノアイ・ボールダーを倒すには、高い火力が必要。

 タンクであるステフにはそれがない。

 ソロで倒せたというのが信じられないのだ。


「簡単だ。ヤツの突進をずっと盾で弾き続けただけだ」

「はっ?」


 自信満々に語るステフに、俺は間抜けな返事をすることしか出来なかった。


 確かにそれでダメージは入るだろう。

 だが、それは極めて微量。

 どれだけ繰り返せば倒せるだろうか。


「一日半かかったな。弾き続けていたら、勝手に砕けたよ」

「…………」


 説明を聞いても信じられない。

 あの突進を一人で一日半も凌ぎ切る。

 そんな倒し方があるとは思わなかった。


 理論上は考えられるが、実行不能だと判断するのが当然だ。

 まともな冒険者だったら、そんな作戦は切り捨てる。

 コイツも良い意味で頭がおかしいな。

 俺の中で、ステフの評価がひとつ上がった。


 そうこうしているうちに、目的の部屋へ到達。

 メンザもステフも問題なく、チェック・ポイント登録できた。


「ここから先は未知の領域だ。慎重に行こう」


 いきなりモンスターに囲まれるという事態もありうるのだ。

 俺は皆に精霊エンチャントをかけていく。


「念の為に私も『――【硬質化ハーデニング】』」


 メンザも防御力が上がるバフを皆にかける。

 その効力は俺の土精霊加護による防御力上昇を上回っていた。

 さすがは【3つ星】だ。

 これなら、よほどのことがない限り安心だ。

次回――『風流洞攻略8日目2:第42階層』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ