表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無崎くんは恐すぎる ~~見た目だけヤクザな無能男子高校生の無自覚な無双神話~~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
『【破】 運命論のカフカ』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/72

3話 無崎くんは魔王すぎる。


 3話 無崎くんは魔王すぎる。


「上品……お前、もしかして、例の噂も聞いていないのか? 転入してきたヤクザの噂を」


「ん? ぁあ、そっちに関しては、一応、耳にはしとるで。世界的マフィアの二代目とかいうヤツやろ?」


「少しだけ監視してみたが、寒気が走った。ヤツは完全にロキ側の人間だ」


「ははーん、なるほどなぁ。わかったで。……つまり、あんたは、そのヤクザとロキが組むと思ってビビっとんねんやな?」


「そうだ。正直に言うが、オレはおびえている。オレは正義を愛しているだけで、決して強い男ではないから」


「噂の凶面ヤンキーがホンマにロキ級で、かつロキと手を組んだら、確かに色々と厄介やなぁ。けど、もし、そうなったとしても、まだ、戦力的にはあんたのホーリーナイトと五分って所やろ。みっともないから、あんまりオタオタすんなや」


「お前はあいつを……『無崎朽矢』を知らないから、そんな呑気な事が言えるんだ」


「あんた、ほんまに、ダッサいなぁ。『二か月前まで中学生やった一年坊』に、どんだけビビってんねん。噂の悪人面あくにんづらが、ナンボほど気合の入った不良か知らんけど、所詮は、15のガキやんけ」


「違う。ヤツはただのチンピラじゃない。生まれながらの悪。明確な世界の脅威。平和をおびやかす元凶げんきょう。オレには分かる。あいつはヤバい。そして、その化け物が今――もう一人の『注目株』である『佐々波恋』と共に、オレとお前を監視している」


「ぇ……」


 そこで、上品は感覚を研ぎ澄ませてみた。

 すると、『今までなぜ気付かなかったのか不思議に思うほどの凶悪な気配』を頭上から感じて、ビリっと体が硬直した。


 チラリと視線を第二校舎の屋上に向けると、

 そこには、凶悪なオーラを放つ化け物がいた。


「ぁ……なっ……ぅそ……」


 悪魔がいた。

 絶望を纏う魔人。

 狂気を体現した、暴悪の化身。


 そして、その隣には、入学後すぐに頭角を現し、一年ながら闘手ランク2位まで一気に駆け上がった、謎の超スペック美少女『佐々波恋』がいた。


「さ、佐々波の横におる男……な、なんや、あの狂気のオーラ。凶悪やのに、早朝そうちょう水面みなもよりも静寂な気配……ぅ、ウソやろ……」


 極悪で邪悪で酷悪で猛悪で醜悪な、しかし、同時に、途方もない気品と威厳を感じさせる静かなオーラ。


「あ、あれが無崎朽矢……な、なんやねん、アレ……ほんまに人間か? 異世界の鬼とかやなくて?」


「震えるだろう? あれは生まれながらの魔王だ。闇の底を闊歩かっぽしながら、深淵をのぞく者」


「佐々波のヤツ……もしかして、あの悪魔の部下やったんか?」


「おそらく。邪知深じゃちぶかさが際立つハイスペックなトリックスター、佐々波恋。あの女の底知れない異常性も、魔王の腹心だったのだと考えれば、幾分いくぶんか納得がいく」


「は……はん。確かに佐々波は不気味な女や。敵に回したくないという点ではロキ以上。……その上司である、あの魔王も確かにおぞましい。けど、ウチは上品里桜じょうひんりお。いずれ世界を買う女。無様な姿は決してさらさへん。もし、アレと敵対するような事があったとしても、ウチは――」


「一人で戦うと? あの鬼は……あるいはロキ以上の悪――」


「うっさい! ウチに、正義の味方ごっこなんかしとるヒマは無いんや! あんたのチームでなんとかせぇ! あんたは悪の敵なんやろ! 未来の防衛大臣なんやろ?! ほなら、おどれの力だけで国を守れや! あほんだら!」


「もし、無崎と佐々波がロキと組めば、『悪の華』は、絶望的な巨悪になる。他の超特待連中と連合を組んでも勝てるかどうか分からない程の。……事の重さを理解してくれ。変に意固地にならず、少しは状況をかんがみて――」


「状況なら見えとる! 最悪の時は自衛くらいできる!」


 そこで、上品は、薄く微笑んで、


「隠しとったけどなぁ……実は、もうすぐ『Mマシン』が手に入んねん」


「なんだと?! ……ま、まさか……やったのか? ついに『スカイタワー・メジャー』の攻略糸口を見つけたのか?」


「そういうこと。……ようやく、暗号が解けて、150階より上にいく手段を見つけたんや。幾何不等式きかふとうしきと整数問題を本気で勉強しといてホンマによかった。解体作業が多すぎるせいでクソ大変やったけど……ウチは解いた。やっぱりウチは天才やった。もうすぐ、Mマシンが手に入る。最強兵器の『メジャー級ピッチングマシン』さえあれば、誰が相手でも、逃げるくらいはワケない。あんたもロキも佐々波も、そしてあの魔王も怖ぁない」


「オレにとっても、それは朗報ろうほうだな。お前の目的はあくまでも金で、悪にかたよる事はない」


 夜城院は、『とても絵になるはかなげな態度』でタメ息をついて、


「なあ、上品。正義の使者になれとは言わないし、チームに入れとも言わないから、『ロキや無崎を潰す手助け』だけでもしてくれないか? 報酬なら払う。オレが保有している『プロ級の野究カード』の中から望むモノをいくつか譲渡する。だから――」


「しつこいいなぁ、もう!」


 いい加減、イラついた声でそう叫んでから、


「……もうええわ、くそ……夜城院。本音、言うたるから、耳ほじれ」


「え? ぁ、ああ、なんだ? ぜひ、聞かせてくれ」


「あんたサイドについて、ロキににらまれたぁないねん」


「……」


「ロキは、このウチでも歯が立たん天才の中の天才や。せやから、出来る限り敵には回したぁない。ウチは常に中立な一匹オオカミ。誰の味方でもないけど、そのかわり誰の敵でもない。ウチはこれからも一人でやる。誰の敵にもならず、誰にも足を引っ張られず、誰にも依存せん。多角的に考えてみて、自分一人で行動すんのが最も成功率が高いと判断した。裏切りを心配したり、方向性で決裂したり、分け前でモメたり、そんな面倒を片づけとる暇は……ウチにはないんや」


「オレはお前を裏切ったりなどしない」


「ウチは死んでもあんたを裏切らへん。ゼニも、もういらん。夜城院様、素敵、抱いて!」


「……な、なんだ、急に」


「口だけなら、何とでも言えると実証しただけや。ウチは言葉を信用せん」


「……」


「ウチが、子役・声優として、ガキのころから、ずっと薄汚れた大人と闘ってきたんは知っとるやろ? ウチは他人を信じひん。信じとるんはゼニだけ。つまりは明確な数字だけ。ナンボ出せば何を買えるか。それだけが全部。――数字に弱いヤツは騙される。負け続ける――それだけが、この世界で最初に認識すべき、たった一つの真理なんや」


「ゆがんでいるんだな」


「ゆがんだ世界に生まれてきたからなぁ、しゃーないやろ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] なんかテンプレ多いなw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ