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無崎くんは恐すぎる ~~見た目だけヤクザな無能男子高校生の無自覚な無双神話~~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
『【急】 ファントムレクイエム』

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13話 完璧なトゥルーエンド。


 13話 完璧なトゥルーエンド。


(こんな結末は認めない。こんな胸糞悪い終わりなんかいらない。こんなんじゃ、誰も救われないじゃないか)


 そんな、無崎の、『駄々っ子な心の叫び』を受けて、

 ――無崎の中にいるイス人は、


(……ここまででも十分すぎると思うが? 矮小な『人』風情が、誰かを『完璧に救おう』だなんて、それは、とてもおこがましいことだと思わないか、無崎)


 イス人の声が聞こえているわけではない。

 無崎は、このに及んで、まだ、『自分の中にいるイス』を認知していない。


 しかし無崎は、


(俺は認めない。俺みたいな無能が、誰かを救いたいだなんて、おこがましいかもしれない。けど、こんな胸糞のまま終わってしまうのは絶対にイヤだ)


 ただワガママを叫んでいるだけ。

 しかし、なぜか、かみ合う会話。


 まるで、真理みたいだ、

 なんて、そんなことを想うイス人。


(……完璧なトゥルーエンド以外は認めないか。大層な思想だ。悪いとは言わない……が、その道は果てしなく困難だ。わかっているのか)


 そんなイスの問いの向こうで、

 無崎は、まっすぐに、世界をにらみつけて、


(もし、俺に、本当に、『幻想を現実に変える力がある』というのなら、その力よ、ここで開け! そのために何か代償が必要だというのであれば背負ってやる! だから――)


 覚悟を叫んだ男を前に、

 イスは、静かに微笑んだ。


 少しだけモノを考えてから、


(――いいだろう。ならば私も背負おう。私に足りなかったものが、あるいは、その道の果てにあるやもしれん)



 ――そこで、イス人は、今一度、無崎と重なり合う。



(フルダイブ・パーフェクトゾーン)



 イス人は、『無崎の精神』の最奥へと潜っていく。


 はてなき集中の果て、『イス人』の精神は、コスモゾーンの中枢へと至る。

 『命の中』に『コスモゾーン』は存在する。

 そして、『コスモゾーンの中』に『命』は存在するのだ。


 すべては円になっている。

 繋がって、重なって、螺旋になって、

 そして――


「即座にみつけたか。さすがだな」


 広大なコスモゾーンの片隅で、

 イスは、『少女』を発見する。


「無崎朽矢。貴様の数奇な運命は、常に大いなる可能性に導かれている。私一人の運命力だけでは、確実に発見できなかった。貴様の運命力ならばあるいは、そう思った私の推察に間違いはなかった。――私たちは二人で一つ。私たちが力を合わせれば、出来ないことなど、ほぼないと言っても過言ではないだろう。……おそらく、貴様は私のために存在し、そして、私は貴様のために存在していたのだ。貴様の中に私がいて、私の中に貴様がいる」


 過剰な自信が膨らんでいく。

 いまだ見ぬ丘の向こうを求めて。


 銀河よりも無限倍広いその空間の中で、

 たった一つのコスモを見つけたイスは、

 荘厳な幸運の中で、己の数奇な運命に感謝をする。


 ――砂漠でコンタクトを探すことを想像してほしい。

 その無限倍難しい作業を、『見つけたいから』というわがままだけで発見してしまった。

 それが、無崎の運命力。

 ――『すべてうまくいく』――

 世界は、『王の望み』を『無視』できない。


 主人公補正なんていう安い概念は置き去りにしている。

 めちゃくちゃな大魔王補正。

 ご都合主義のハイエンド。


 それでいいのだ。

 どんな罵詈雑言も無崎は気にしない。


 胸糞なエンドで終わるぐらいなら、

 無限の批判でも、迷わず背負ってやるよ。



 ――コスモゾーンの片隅で、

 彼女は泣いていた。

 その涙を止めるために、

 できることはなんだ?



「なぜ泣いている?」



 そうイス人が問うと、

 その彼女は、


「お姉ちゃんが苦しそうにしているから」


 と、簡潔に応えた。

 どうやら、それ以外の理由はないらしい。

 不思議な話。


「泣いている理由はそれだけか。おかしな話だ。貴様自身も、十分苦しんでいるはずだが……しかし、その辺のアレコレを追及するのは野暮というものか……」


 イス人は、おかしそうに笑って、


「姉を助けたいか?」


 大事な質問を投げかける。

 その問いに、『彼女』は、


「助けて お願い。なんでもするから……だから、どうか、お姉ちゃんを救って」


「救いを求める声、確かに聞き届けた。私も無崎も、そんなガラではないが 今この時だけは、道化の仮面を被ろう」


 そう言ってから、イス人は、

 己の魂魄を限界まで高めて、




「――ヒーロー見参……」




 覚悟を口にした。


「……」


 急なヒーロー宣言を受けて、何がなんだかわからず、不思議そうな顔をしている彼女に、

 イス人は、


「不思議そうな顔をする必要はない。『ただの言葉』だ。特に意味はない。時たま、気まぐれにカッコつけて叫びたくなる。それだけの話」


「よくわからない」


「だろうな。私もそうだ。賢者を気取ってきたが……実際のところ、私は何も知らない。だからこそ『知りたい』と、強く思うのだろう」


 なんて、空を見ながらそうつぶやく。

 そして、

 深呼吸をはさんでから、


「――『田中ルナ』よ。私自身が、労をして、貴様の姉を助けたりなどしない。そこまでの義理はない。――どうしても助けたければ」


 そこでイス無崎は、彼女の額に手を当てて、



「貴様が助けてやればいい。そのサポートだけはやってやる。それだけでも、十分に、私がつい叫んでしまった『覚悟の責任』……『道化ヒーローとしての役割』は果たせるだろう」



 彼女の中に、

 何かが流れ込んでいく。


 暖かい輝き。

 その輝きに触れたことで、

 彼女――ルナは、自分に何が起こっているかを理解する。


 だから、彼女は慌てて、




「ま、待って! 違う! 私じゃない! 私はいいから! パパとママを助けて!」




 そんな彼女の、最後の最後までブレない愛と献身を前に、

 イス人は、


「貴様の両親が、魂魄の全てをかけて、貴様の位置を教えてくれた。そうでなければ、さすがの『無崎の運命力』でも、お前を発見することはできなかっただろう」


「……」


「貴様は託されたんだ。命のタスキを。その意味がわからないほど愚かではないだろう」


「わかるけど……でも……」


「私にも、聞けるワガママには限度というものが――」


 と、理屈をこねるイスの中から、




「……だから、それじゃあ、ダメだと言っているだろうが」




 顔面凶器が這い出てくる。

 無敵のコズミックホラー。


 他の誰も届かない、恐怖の最果て。


「……全部、どうにかするんだよ。そうじゃなきゃ、何もしていないのと同じなんだ」


「……くくく。『潜在意識コスモゾーンの中枢』に、『無自覚の潜在意識』をぶち込んできたか……さすが、無崎。なんでもありだな。そんなことは、私にも出来ない」



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カクヨム版無崎君、 (……センエースみたいな終わり方じゃないと嫌だ……ワガママに、貪欲に、カッコ悪く……けど、最後には、全員が笑っている……完璧な……最後じゃないと……いやだ……) ここで無崎がセン…
[一言] 命の中に世界があるならそりゃ命の中にもコスモゾーンありますよね。 幻想を現実に変える力、昔感想欄でミリオンさんがセンの力は夢を現実に変えることかもって言ってたのと繋がりますね。 コスモゾ…
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