43話 『無崎』VS『5人の天才たち』
43話 『無崎』VS『5人の天才たち』
「ポーカーとか。しなくていい。こっちの方が。数は上。全員で。タコ殴りすれば。それで終了」
「諸手をあげて賛成してぇ所なんだが、あの野郎は一応メジャーリーガーだからなぁ。しかも、確か、所持マシンは、火力最強って噂のアストロ・ソッキュウクローザーだろ? ……『ロキを最前線に出した上で総力を結集して包囲網をかける』ってんならともかく、ここにいる戦力だけの五対三は流石に……ん、なんて?」
「実は。もしもの時のために。他の。超特待の人。事前に。七人ほど。呼んどいた。近くで。待機させてる」
「マジか。やるじゃねぇか、ミリア。よし、流石に十二人いるならいけるぜ。あのヤクザ、囲ってフルボッコにしちまおう」
「いや、待て。それは最終手段だ。チーム『輝く狂乱』は、無崎以外にも、戦闘力最強クラスの上品と、マキュウ型のPマシンを持つ佐々波もいる。戦闘は極力避けるべき……というより、僕は、向うの提案を受けるべきだと思う」
「わたしも、その方がいいと思うわ。勝率は高いし、何より勝てばMマシンを奪える。ブラックジャックの長期戦とかなら、『頭脳派の天才がそろっている向こう側』の方が有利だけど、ポーカーの一回勝負なら、完全に運だから、わたしたちが勝てる可能性は十二分にある」
「……あー、んー、まあ、そうだな。要のMマシンさえ奪っちまえば、無崎なんざ、ただのイカれた顔面凶器。俺ら超特待生連合チームが負ける理由はなくなる」
「やりましょう。Mマシンを奪い取って、囲んで叩き潰せば、それでおしまいです。……それに、最悪、負けたとしても、『あの手』でいけば、ウヤムヤに出来るんじゃ……」
「あの手? それって、超特待生伝統の、新人にカマす例の『嫌がらせ』の事かい? うーん、あんなクソ屁理屈……本気の勝負では用いたくないけれど、もしもの時は仕方ないか。幸い、佐々波にはまだやっていないし、上品も、ここを利用した事がないから知らない。もしもの時は幸田……頼めるかい?」
「任せろや、沢村。後輩をイビらせたら俺の右に出るヤツはいねぇ。最悪の時は、思いっきりカマしてやるぜ」
「僕の時も、嬉々としてやってきましたもんね。ほんと性悪ですよね、幸田さんって」
「黙ってろ、工藤! この黄金の右で、その細いアゴを割ってやろうか?! あぁん?!」
「わー、本当にお上手ですねぇ。後輩イビリ」
「……では、そろそろ始めようか」
沢村の言葉に全員が頷く。
そして、そのまま、テーブルへと戻る。
「無崎……くん。その勝負、受けてたつ」
「そうっすか。じゃあ、赤羽センパイ。さっそく、勝負を始めようじゃないっすか」
「あ? んーだよ、ふつーに赤羽が配っていいのか? 赤羽もプレーヤーなんだろ?」
「ぶっちゃけ、何でもいいっす。そういうの、関係ないんで」
「……あん? どういう意味だ?」
「センセーの運命力の前では、誰も何もできないと言っているんすよ。マジシャンらしくイカサマしたいのなら、どうぞお好きに。何をした所で、どうせ、センセーが勝つんで」
「随分な自信ね。言っておくけれど、イカサマを推奨したのはあなたなんだから、こっちがイカサマをしてそっちが負けても文句は言わないでよ?」
「当然っす。ただ、これも当り前の話っすけど、そっちのイカサマをきちんと見切った時は、当然、そっちの負けっすよ? ギャンブルってのは、そういうもんっす。その前提だけは覆らないっすから」
ピリピリとした空気が流れる。
沢村は、視線だけで、『イカサマはやめておけ。こちらサイドの方が遥かに勝率は高い。普通にやって普通に勝とう』と伝えた。
赤羽は頷くと、カードを切りだす。
その様子をジっと見つめている佐々波と無崎と上品。
無言の数秒。
まっすぐに赤羽のシャッフルの様子を見ている三人の様子を、
沢村達は凝視していた。
(やっぱり、イカサマを期待していたみてぇだな……どんな不正も絶対に見逃さないって顔をしているぜ。くく、バカがぁ)
(ふふ……残念ですけど、こっちはイカサマなんてしませんよ)
(普通に倒す。無崎。嫌い。佐々波も嫌い。上品も嫌い。3人とも。まとめて。死ねばいい)
そして、シャッフルの時間が終わる。
無崎から、イカサマを指摘する声は上がらなかった。
この段階では、まだ何もしていないから、当然。
「無崎……くん。最後の確認をするわ。これは、ポーカーのルールに則った、一発勝負。賭けの対象は無崎くんのMマシンと、こちらのPマシン五機。それで問題はないわね?」
「……ちっ……………えぇ、センセーは、『了解』と仰っているっす」
(くく。落胆してやがるぜぇ、ボケがぁ)
(マジシャンの赤羽さんなら必ずイカサマをしてくると踏んでいたようですが……ふふ、残念ですね。さあ、後は、こちらの手次第です。……くっ、ボクはワンペア。これでは弱い。誰か強い手が入った人はいませんか?)
カードが配られ、各人が手を確認する。
この勝負において、特に複雑なルールはない。
オーソドックスなクローズドポーカー。
配られた五枚のカードの強さだけが全て。
無崎に配られた手。
それを見た佐々波と上品が、
「「――っっっ??!!」」
共に、驚愕した表情を見せた。
上品は目を見開き、両手で口元を隠し、プルプルと震えながら、
「信じられへん……ぅ、ウソやろ……」
佐々波も、一瞬、上品のように、両手で口元を隠しかけたが、
すぐに、いつもの、
ハチミツみたいにドロっとしたニタニタ笑顔に戻し、
「さ、さすが、センセー。ヤバいっすねぇ。ロイヤルストレートフラッシュじゃないっすか。こりゃあ、間違いなく勝ったっすね」
そう言いながら、チラチラと、超特待生たちをチラ見する佐々波。
その様子を見ていた沢村が、
「佐々波、どうせなら、もう少し、リアリティのあるハッタリをしてくれ」
「う、う、ウソじゃないっすよ?」




