33話 こじれていく人間関係。
33話 こじれていく人間関係。
(そこまで見下されているとなれば、交渉は不可能ですわね。残念ですが、予定変更です。この世には、あなたよりも美しい輝きを放つ悪が存在するという事を教えてあげましょう。その高く伸び切った鼻っ柱をヘシ折ってさしあげますわ)
ロキは、ニコっと微笑むと、
「了解しました。では、お見せしましょう。わたくしの……悪の華を」
((悪の華? 確か、昔の小説だっけ? なんで、急に……あ、もしかして、俺のこと、小説好きだと思われた? いやいや、俺は、昔の小説とか興味ないんだよ。センエースとかの、楽しいラノベが好きなだけで、小説をたくさん読むわけでもないし。漱石のぼっちゃんとか、太宰の人間失格なんかも、別に面白いと思わないし。
「センセーの御言葉を伝えるっす。貴様の『悪の華』など、過去の遺物。ゆえに興味なし」
((だから、表現!! その言い方だと、最悪の印象しか与えないから!
(わたくしの存在そのものを……すでに終わった歴史だと……っ)
「人間失格のお坊ちゃんは、さっさと時代から退場しろ。ん……ああ、胸が小さいから気付かなかったけど、女なんでちゅねぇ。お嬢ちゃん、帰り方を忘れちゃったなら、ボクが、ママの所に送ってあげまちょうか? ぶっさいくなメスブタのママの元までさぁ。あはは」
((ぉ、お前、急に、何言ってんの?! どうした?!
佐々波の暴走に困惑している無崎の向こうで、
ロキの顔が、どんどん冷たくなっていく。
(わ、私だけではなく……お、お母様まで……侮辱しやがった…………こ、このクソガキ……)
魂が凍えていく。
怒りでどうにかなりそう。
だが、どうにか抑えつけ、
(ふ、ふふ……ふふふ……終わりですわね。この男との関係は完全に終了。了解いたしました。ここに誓いましょう。全力で、わたくしの悪を叩き込んでさしあげると)
心の中で決意すると、ロキは、
「それでは、失礼いたします」
背を向けて去っていった。
ロキの姿が完全に見えなくなったタイミングで、
無崎は、佐々波を睨み、
((お前なぁ……勘弁してくれよ。確かに、俺が言いたい事をだいたい伝えてくれたけど、なんか、すげー感じ悪い感じになっちゃったじゃん。
そんな無崎の文句に対し、佐々波は、
(感じ悪いなんて次元じゃないけどな。ロキの中のお前はゲロカス以下のクズ野郎だ)
と、心の中でつぶやくが、それを口にだしたりはしない。
ただニタニタと笑っているだけ。
そんな彼女に、無崎は続けて、
((つぅか、最後の毒舌は何だ? 何で、急に、あんな謎の毒を吐きだした? 俺の通訳でも何でもなかったじゃん。どうした? 新たなキャラにでも目覚めたのか?
「厨ニには厨ニで返すのが礼儀じゃないっすか。ボクは空気を読んだだけっすよ」
((えぇ、そういうもん……なの……? 対人経験が少なすぎて分からないんだけど。
「まあ、本音を言えば、彼女の顔面偏差値が高いからイジワルしたってだけっすけどね。ボクはボク以外の美人が死ぬほど嫌いなんで」
((性格のクソっぷりが、相変わらず、すげぇっすね。震えますわ。……つか、冗談でも、相手の母親をメスブタとかブサイク呼ばわりとかすんじゃねぇよ。さすがに、それはシャレにならんぞ。
「ボクや上品センパイに匹敵するスーパー美少女ロキセンパイの母親が不細工な訳ないじゃないっすか。本当に不細工だったら、不細工呼ばわりなんて出来ないっすよ。あれは、いわゆる『お前の母ちゃん出ベソ』ってヤツっすよ」
((悪口には変わりないじゃねぇか。そんな、全方位に毒を撒き散らしていたら、いつか刺されるぞ。
「ボク、忍者なんで、暗殺者の対処もバッチリっす」
((その小ネタ、まだ続いてたの?! ……ったく、お前は、ああ言えば、こう言う。ほんと、メンドいヤツだなぁ。
「そんなボクの事は嫌いっすか?」
((ぇ、い、いや……別に、嫌いじゃないけど。
「そうっすよねぇ、ひひひひひ」
心底から嬉しそうに笑いながら、
(お前は、ボクだけ見ていればいいんだ。永遠にボクだけのオモチャであればいい。誰にもボク達の邪魔はさせない。邪魔するカスは……一匹残らず排除する)




