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無崎くんは恐すぎる ~~見た目だけヤクザな無能男子高校生の無自覚な無双神話~~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
『【破】 運命論のカフカ』

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20話 私はいいけど、MUZAKIがなんていうかな。


 20話 私はいいけど、MUZAKIがなんていうかな。


 小学生の時、佐々波は、ロリコンの体育教師に犯されかけた事がある。

 当時の佐々波は、まだ、素手による殺人術をマスターしていなかった。

 おまけに、そのロリコン教師は、『かつて水泳でオリンピックを目指していたほど』の、『体格だけで言えば、高校生無崎』にも劣らないほどの大柄で屈強なスポーツマン。

 筋力差的に、当然、純粋な腕力勝負で勝てる訳がなかった。


 数奇にも無崎は、その緊急事態を目の当たりにする。

 無崎特有の、奇天烈極まりない偶然の連鎖が産んだ奇跡。


 経緯はともかく、そのとんでもエマージェンシーに遭遇した無崎の頭は一瞬で沸騰した。

 後先考えずに飛び出して、無崎は、ロリコン教師のわき腹に彫刻刀をつきたてた。


 あの時、無崎は、『自暴自棄になったロリコン』にカッターで抵抗され、顔面や腕にいくつもの大きな傷ができた――が、それでも、無崎は、わずかも怯まなかった。


 流血に濡れて怒り猛る無崎に、その教師は、心底から怯えていた。

 小学生の時から、無崎の顔面は終わっていた。

 ――しかし、高校生になって成熟した今と比べれば、まだかわいいものだった。

 それに、体もまだ完成していなかった。

 ギリギリ、ロリコン教師の方が体格では上回っていた。

 ゆえに、ロリコン教師は、無崎に抵抗することができた。

 それも、ただの抵抗ではなかった。

 『極限の恐怖』と『命の危機』を前に、リミッターが外れたのだ。

 火事場の馬鹿力の臨界点。

 ブチブチと、限界を超えてちぎれる毛細血管。

 それでも止まらないカルシウムイオンの流入。

 命を燃やした人外の怪力。

 それでも届かない、小学生無崎のフルパワー。

 最終的に、無崎に頭を掴まれて、そのまま床に顔面を叩きつけられ気絶してしまったロリコン。

 ギリギリ生きていたが、額が割れて、脳に大きな障害を残すことになった。

 キレて暴走した無崎は、相手の頭を割るだけではなく、ロリコンの下半身を、かかとで踏みつぶした。

 二度と性犯罪ができない体になったロリコン。

 社会倫理的な視点では、明らかにやりすぎだったが、

 各方面からの圧力が働いて、無崎は、おとがめなしに終わった。



 ――黙って立っているだけでも恐すぎる無崎の狂った怒号。

 その恐怖は、直視すれば精神が崩壊しかねない修羅の狂走。

 だが、当時の佐々波は、その鬼神と化した無崎に微塵も恐怖心を抱かなかった。



(魚もさばけないどころか、アリ一匹殺せないクソヘタレのくせに……)



 ジャイアントのゲロビが放たれる一瞬――そんな美しい走馬灯の中で、佐々波は、つい、ほほ笑んでしまった。

 と同時に右目からこぼれる涙。

 『悲しくて流す雫』じゃない。


 死ぬ瞬間に思い出せる顔がある。

 それが、なんだか嬉しかった。


 自分の人生には意味があった……なんて、そんな気持ち悪い事を思った。


 殺し、奪い、けがし、腐り、道化どうけてきた。

 コミカルなメモリが佐々波の中で溶ける。

 無崎と重なっていた日々、その残滓ざんしだけがキラキラとまぶしくて。


 ――信じられないよね。でも、生まれて良かったとさえ思ったんだ――

 ――あんなしょうもない男に、ボクは、なぜ、抱きつきたくなるのかな――


 トクンと心臓が跳ねる『温かい疑問』の中で、

 佐々波はニっと笑った。


「じゃあねぇ、無崎……」


 小さく、そう呟いた、

 その一瞬後、




 ――ドガツンッッ




 装甲が砕ける音が空間に響いた。

 神鋼しんこうの陽炎。


 佐々波のイーグルに損傷は見られず。

 切り裂かれた絶望は、絢爛けんらんな六華。


 影向やうが百花繚乱ひゃっかりょうらん

 そこには、ジャイアントの横面よこっつらに拳を叩きこんでいる、幽玄ゆうげんたる銀河の化身が一機。


 言祝ことほがずにはいられない、烈々たる九泉の鬼羅。

 ――空蝉うつせみな瞳を燃やす、狂乱の千本桜。

 ぁあ、いとおかし。


 『彫刻刀を振り回していたヘタレ』の『暴走』と重なった、咲き乱れる暴力の花鳥風月。


「……無崎……」


「――佐々波恋。貴様は死なない」


 無崎の言葉に体が震えた。

 頭が痺れる。

 心の叫びがやかましい。


「私は構わないが、しかし無崎が、それを良しとしない」


「……センセー、いつからYAZAWAになったんすか」


「黙って寝ていろ。ここからは――」


 不敵に笑う無崎。

 どこまでも優美に、


「――私の時間だ」


 宣言すると同時に、無崎が駆るアストロは、空間を跳躍した。

 まるで次元との調和。


 ――イス無崎の時間は終わらない。



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