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無崎くんは恐すぎる ~~見た目だけヤクザな無能男子高校生の無自覚な無双神話~~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
『【破】 運命論のカフカ』

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12話 金は命より重い……っ!


 12話 金は命より重い……っ!


(くっ、最悪や……『無人Mマシン』を召喚してしまうやなんて……しかも、第一級のワナの発動で、唯一の逃げ道であるエレベーターが塞がれてもうた! こいつを倒さな、逃げる事もできん! くっそぉ!)


 ――仕方なく、迎撃しようと黒刀を構えるが、


「コァ!!!」


 ジャイアントの『圧倒的な暴力』の前では、

 上品の抵抗など意味をもたない。


 右肩に搭載されている『スプリットレールガン』と、左肩に搭載されている『スラーブガトリング』を掴むと、両手の中でジョイントさせる。

 長い一本となった殺戮の権化から、

 超誘導かつ超高速のビームガトリングが放たれる。


 世界の終末を彷彿とさせる、弾幕の嵐。


「くぅっ……くそっ!」


 必死に回避しているが、当然、全ての弾を避ける事など不可能。


 足に一発かすった所で体勢が崩れる。無効化できない衝撃による怯み。盾化させていた黒刀の『ギガロ・バリア耐久値』がゼロになる。

 刀身がパリンと音をたてて砕けたかと思うと、その直後、黒刀は野究カード状態に戻り、上品の腰に巻かれているカードホルダーに帰っていった。


 武器を失い、無防備になる上品。

 まだ、他に所持している野究カード分のギガロ・バリアは残っているが、ジャイアントの火力を考えると、あまりにも心もとない。


 無人Mマシンに慈悲はない。

 ブーストをかせて、一気に上品との間をつめる。

 恐ろしい速度。

 弾丸はギガロ粒子を多大に消費するが、

 ブレード系なら消費量は安い。


 ジャイアントは、背中から200ギロという超高出力のジャイロブレードを抜き取ると、強く固く握りしめ、上品を切り捨てようと振り上げた。


(……死ぬ……)


 脳裏に浮かぶ走馬灯。

 遠い絶望がフラッシュバック。


 ――幼かった頃、上品は、子役として、一日と休まず必死に働いて、稼いだ金の大半を、ありとあらゆる慈善団体に寄付しまくっていた。

 とある教育番組で、五百円を寄付するだけでも、15人もの子供を救えると聞いたのがキッカケだった。


『500円で15人も救えんの? ほな、【500万】円くらい出せば、世界中の人を救えるんとちゃう? だって【500万】円って、すごい数やで? おっきなクイズ番組で5回ぐらい優勝せんともらえん大金やで!』


 無邪気で、そして、愚かだった。

 だが、いつまでもガキのままじゃいられない。

 身長の成長と共に、彼女は気づく。


『……【500万】程度じゃ……世界は何も変わらない……』


 『掛け算』だけではなく、『世の不条理』や『焼け石に水』という概念も理解できる年齢になった時、彼女は寄付をやめた。


 ――バラまいてもしゃーない――


 本気で、この歪んだ世界を矯正しようとするなら、寄付は無意味。


 世界を理解した上品里桜。

 そこから、彼女の異常性は暴走を始める。


 上品は、『苦しんでいる人が、もれなく全員救われる世界』を買うためには、一体いくら必要かを計算した。

 そして、算出された天文学的な額を、どうすれば稼げるかを本気で演算し始める。


『たった一人の小さな偽善では、一時いっときをしのぐことすら出来ん。世界を丸ごと買うくらいの、狂った偽善やないと、無意味な自己満足で終わってまう』


 上品は考えた。

 答えはすぐに出る。

 この世界で、現実的に、莫大な金を稼ごうと思えば、

 必須となる技能や知識は言わずもがな。


『最も利益率が高いんは、もちろん、IT系。稼ぎまくるシステム構成には、未だかつてないアルゴリズムが必要不可欠! ……そんで、当然、発想を具現化できる下地がなかったら話にならん! つまり、ウチが、まず磨くべき力は――数学や!』


 天才的な閃きも、

 数Ⅰ・数Aで止まっていては実現不可能。


 他人にやらせるにしても、

 最低限の『枠』『器』がなければ、

 着想を伝える事も出来ない。


『やったる。数のことわりを味方にして、この世界を買ったるんや!』


 狂気を原動力として、死ぬほど勉強し、気付いた事は一つ。

 上品は天才だったが超人ではなかった。


『あかん! ウチという人間には、あらゆる意味で決定的に、創造性っちゅうもんが欠落しとる! せやのに、創造系の天才をてのひらで転がせるカリスマがない!』


 上品里桜は間違いなく超美人の超天才だが、

 『創造性』と『人の上に立つ才能』はなかった。


 『利益度外視のバカな買物をしようとしている阿呆』についてくる殉教者などそうそういない。

 彼女を疾走させてきた『(たぎ)る熱意』が、ここにきて、彼女の足を大いに引っ張る。

 血反吐にれながら多くを学び、世界と己を理解して、だからこそ、深く絶望した。


 ――ゆえに、上品は、この学園の秘密を知った時、心の底から歓喜した。


『ITも株式もカリスマ性もいらん! 野究カードさえあれば、余裕で世界を買える!!』



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