澄也は黙ってればイケメン
「よし、取り出すぞ。」
直矢がクッキーをオーブンから取り出す。
「うん、よく出来ているな。」
プレートの上にはいい色に焼きあがったクッキー達が。
美味しそうだ。
「おおー! 美味しそうですね! もう食べていいんですか?」
「焦るな焦るな。食べるのはは粗熱をとって皿に盛り付けてからだ。皿の準備をしてくれ。」
「りょーかいですっ!」
勢いよく敬礼して皿を収納している棚へ向かうエディ。
「えーと……これですかね? えーっと、一枚、二枚……六枚っと。直矢さん、用意できまし、うわわわー!?」
エディが勢いよく皿を持って駆け出し、何かに躓き、派手に転―――
「おっと、大丈夫か、エディ。」
―――びそうになって直矢が受け止めた。器用にも皿まで受け止めて。
「あっ、ありがとうございます、直矢さん。」
「全く、気をつけろよ? 危ないなーと思ってたんだ。」
「すいません……」
「まあ、皿も割れてないしケガもしてないし、あんまり気にするな。さてと、盛り付けるとするか。」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「いっただっきまーす! むぐむぐ……美味しい! とっても美味しいですよ、直矢さん! やっぱり直矢さんは天才ですね!」
「よせ、天才は言い過ぎだ。だがまあ……悪くはないか。」
「うん、美味いなあ! 主な作業は女の子じゃなくて直矢がやったってのが玉に瑕だけど。」
と澄也。
「何もしてないのに貰えるだけありがたく思え。」
「はいはーい。」
「私も食べようかな。」
言ってから皿から一枚取って齧る。
確かに美味い。バターの香りと程よい甘さがとてもいい。
「これ美味しいねー! 直矢君ってすごいんだね!」
と雛ちゃん。
「褒めても何も出ないぞ。」
と直矢。
等と言っていると
「あらあら出来たのー? 美味しそうねー。私も一口いいかしらー?」
と部長さんがやってきた。
「あら美味しいわねー。ごめんね作業中放っといちゃってー。なんだかよくできてたから他の班に行ってたら全然見てあげられなくてねー。で、どう? 気が変わって部に入る気になってたりしない?」
「残念ながら……」
と直矢。
「あらそう、本当に残念だわー。気が向いたらいつでも来てくれていいわよー。うちは学期途中からの入部も大歓迎だからー。」
「分かりました、何か機会があれば考えておきます。」
「じゃあ後は使った道具を片付けておしまいだから、お願いねー。うちの部は片付けを重要視してるから、しっかりやってねー。と言ってもまあ、ほとんど片付いてるみたいだけどね。流石ねー。」
周りを見渡して言う部長さん。
確かに作業しながら並行して片付けていたので後はさっき使った皿を片付けるくらいしか残っていない。
「そうですね、片付けはもうほとんど終わってますね。片付けたらそのまま出て行っていいんですか?」
「ええ、いいわよー。エプロンだけ、返すの忘れずにねー。」
「分かりました。今日はありがとうございました。」
「いえいえー。」
そう言うと部長さんはほかのテーブルへと向かっていった。
「さてと、全部食べたら皿片付けて行くか。」
「そうだね。……それにしてもこのクッキー美味いなぁ。流石直矢って感じだ。」
と澄也。
「俺だけ褒めるんじゃなくて女子も褒めてやってくれ。確かに俺がやった作業は多いが手伝ってくれたのも事実だ。全く何もしてないお前とは大違いなんだぞ。」
「実にその通りだ。エディちゃん、楓ちゃん、雛ちゃん、どうもありがとう。とても美味しいよ。」
大げさに礼をしておまけにバチーンとウィンクまで。
……普通にカッコいいから腹立つな。
「えー、私たちほとんど何もしてないよー! でも、どういたしましてー。」
えへー、と笑いながら答える雛ちゃん。
「どういたしまして、澄也さん! 澄也さんはお料理苦手なんですか?」
「苦手っていうか生まれてこのかたやったことないんだよねー。そもそも僕、可愛い女の子が作ってくれたとかそういう付加価値が無い食べ物は食べれればどれも同じだと思ってるとこあるし、買えばいいかなーって思っちゃうからなー。」
「だからってダメですよ、澄也さん。コンビニのお弁当とかカップ麺ばっかりじゃ。もっと栄養あるもの食べないと!」
「だって楽だからなー。エディちゃんが料理作ってくれるなら話は別だけどさー。」
「じゃあ僕頑張ってお料理練習するので食べてくださいね!」
「それならもう喜んで食べるさ! 楽しみにしてるよ!」
「さてと、皆、皿も片付いたしそろそろ行くぞ。」
「えっ、直矢いつの間に皿片付けたの!?」
「お前らが話してる間にサッとやったよ。」
「早すぎかよ……まあ片付けも終わったことだし行きますか。」
この作品の今後に関わる大事なお知らせがありますので一読いただければと思います。
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