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凄腕料理人直矢

「はーい、これから料理研究部のお菓子作り体験を始めますー。皆さん5人か6人でグループを作ってグループごと別々の机の周りに集まってくださいー。」


パン、と両手を合わせて部長さんが言う。


「私たちは5人で丁度いいね。」


「しかし……アレだな。」


と直矢。


「ん?」


「エディが行きたいと言うからついてきたが、周りに女子しかいなくて場違い感がすごいな……正直居づらい。」


「あー、確かに。」


周りを見ると、女子のグループしかいなくてここにいてもいいのかと思わされてしまう。


まあ俺の場合は体は女だから外から見た場合違和感はないわけだけれども。


「そうかな、僕は別に気にならないな。むしろ野郎ばっかりの場所より空気が華やいでいいよね。」


と澄也。


「俺はその方が落ち着くな……」


直矢が言った後、


さて、と部長さんが声を出し、


「皆分かれたかなー? 今日はクッキーを作りますー。それではまず最初に材料を合わせましょうー。赤いお皿にバターが、黄色いお皿に卵があるので、まず卵を溶いてからボウルに入れて混ぜてくださいー。」


と言った。


「しかしクッキーか……経験がないわけじゃないが、普通の料理程心得は無いな。」


腕組みをする直矢。


クッキー作るような感じには見えないけど……


「嘘直矢お菓子も作ったことあるの!? 誰用? 自分用?」


「いや、ジジイの道場に通ってた子供用で昔作ったんだ。俺自身はあまり甘い物が好きなわけではないから味つけがうまくいっているか不安だったんだが、みんな喜んでくれたから良かった。」


直矢のお爺さん道場なんてやってたのか……直矢もそこで色々習ってたのかな。


「あ、でも直矢はあまり手伝っちゃダメだよ? 野郎が作ったクッキーなんかこれっぽっちも嬉しくないからねー。やっぱこういうのは女の子からもらうからこそ嬉しいわけで。」


「そういうことなら女子たちに丸投げするが……エディ、大丈夫か?」


心配そうに聞く直矢。


「なんで僕だけに聞くんですか!? 大丈夫ですよ! 直矢さんはそこで座って見ていてください! 美味しいクッキーを作りますから!」


「砂糖と塩を間違えるなよ?」


と直矢がからかうように言う。


「もう間違えませんよ! こないだのはたまたまです!」

     

ぷんぷん、といった感じでエディが怒る。可愛い。


「あまり材料の入った皿を持って歩いたりするなよ? そういう時のお前の転ぶ率はすごいからな。あとオーブンの時間と温度はよく確認するんだぞ? それからオーブンを使うときはよく気を付けること。火傷なんかしたら洒落にならんからな。」


あとは……と、まだ何かを言いかける直矢。


お前はお母さんか。


「もう分かってますよ! 僕に任せて直矢さんは座っててください!」


直矢を押して椅子に座らせるエディ。


「さて皆さん、作業を始めましょう! 頑張って美味しいクッキーを作りますよ!」


「えーと、まずは黄色の皿と赤い皿の中身を混ぜるんだっけ?」


「ボウルに入れて混ぜるって言ってました!」


とエディ。


「えーっと、これとこれ? 私お料理って初めて! ワクワクするね!」


と雛ちゃん。


「私も普段はあまり料理しないかなー。お菓子作りってなると完全に初めて。」


料理と言っても適当に具を放り込んだなんちゃってチャーハンを作るくらい。大体の男子高校生なんてこんなものでしょ。色々作れてクッキーづくりの経験まである直矢がおかしい。


「僕もあまりお料理はしないですけど、お料理自体は好きですよ! お料理の腕も中々に……」


とエディ。


「見栄を張るなエディ。間違ってもお前は料理が得意とは言えないぞ。」


直矢からのツッコミが。


まあ砂糖と塩間違える人を料理上手とは言えないよな。


「うう……直矢さんの意地悪。」


恨むように直矢を見るエディ。


「嘘はいかんからなー。」


エディの目なんかどこ吹く風とでもいうように言う直矢。


「卵、割らなきゃだね。」


と雛ちゃん。


「え? うん、そうだね。」


それがどうかしたのかな?


「私、卵割ったことないから誰かやってくれないかな……なんて。」


えへへ、と雛ちゃんがはにかむ。


可愛いけど卵割るくらい頑張ってください。


「ぼ、僕も卵割るのはあまり得意じゃなくて……三回に一回くらいは成功するんですけど……楓さんできます?」


あはは……と言って卵をこっちに渡してくるエディ。


なんだこのポンコツ女子たちは……


よくそれで料理得意って言おうと思ったな……


「私も別に得意ってわけじゃないけど……」


このくらい……と思って卵を握ると……


でかい。


手が小さくなった分相対的に卵が大きく感じる。


元々たまーに失敗する程度だったけど、こうなるとなんだか半分くらいの確率で失敗しそうな気がする。


この流れで失敗したら格好付かないしなぁ……


なんて悩んでいると、


「全く、見ていられないな……貸してみろ。」


いつの間にか後ろにいた直矢が俺の手から卵をとり、


コンコン、パカッ


と慣れた手つきで片手で卵を開けて見せた。


そのままホイッパーでカチャカチャと混ぜ始める直矢。


なんだこいつ超スマートじゃん。


いや、俺も元の手の大きさだったらこれくらい……厳しいな。


元々結構イケメンなのもあってかなりデキる男って感じだ。カッコいい。


うーん、なんだこの敗北感。

どうも!

思っていたより早く更新できました!


皆さんが送ってくださった感想のお陰です!


それはそうと最近小説を書いていて思ったのですが、書けば書く程この内容でいいのだろうか、求められている内容なのだろうか、と思うことが多くなって、皆さんが何を求めてこの小説を読んでいるのか気になります。


どこかで創作は自分の作りたいものを作ればいいと聞いたこともあるのであまり気にしても仕方ないのかなと思いつつそれでも気になります。


良ければ皆さん教えてください。好きなキャラとか言ってもらえればそのキャラの出番も増えるかも?

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