GORILLA
ゴリラの集団がやってきた。いや、正確にはゴリラに似た人間の集団がやってきた。壇上まで距離があるが、それでも熱気を感じるような気がする。要するにとてもむさ苦しい。
「オッス、ラグビー部キャプテンの寺西 昂輝だ! よろしく!」
中でもゴリラ度の高い奴が出てきて話し出す。何故かマイクは持たず地声で話している。それでもしっかり聞こえる辺りかなり声がでかいんだと思う。
「さて、皆はラグビーがどんなものか知っているかな? ラグビーは世界で一番熱いスポーツだ! 今日はこれからそれを実感してもらうためにいくつかのデモンストレーションを行おうと思う! まずはスクラムだ! これは熱いぞ!」
キャプテンがそう言うと男達が肩を組んだりしてなにやら二つのグループになって変な格好で固まり始める。
「いくぞ! クラウチ、バインド、セット!」
セットの掛け声と同時に二つに別れたグループがぶつかり合う。
離れていてもすごい迫力だ。熱気が三割増しになった気がする。
「よし、ブレイク!」
しばらくしてキャプテンの掛け声で固まりがほどけていく。
「これがスクラムだ! どうだ、熱いだろう!」
キャプテンが生徒達に向かって胸を張る。
「次はタックルを見せよう! これも熱い! スクラムとタックルとモールがラグビーは熱い! これらをやりたくなったらラグビー部に来い! では行くぞ!」
そういってキャプテンは楕円形のボールを持った部員に向かって突進する。そしてその勢いのまま押し倒す。
「うわぁ……めっちゃ痛そう……」
体育館の壇上だから固いし……てかアレグラウンドでやったら絶対擦りむくよね……
「でもまあ楽しそうだな。あまりスポーツはやったことないが、ラグビーは今見た感じだと楽しそうだ。」
と直矢。
アレが楽しそうってマジか。
「え、直矢さんラグビー部入るんですか!?」
「マジで!? もう既にゴリラだしいいでしょ別に!」
とエディと澄也。
「誰がゴリラだこの野郎。」
と澄也を小突く直矢。
いやまあ直矢には悪いけど正直あの中にいても違和感無い程度にはゴリラ感あるよね。てか体がでかい上に制服を着ていて尚分かる筋肉が
ゴリラ感を出している。
「ーーーラグビー部の皆さん、ありがとうございました。次は剣道部の方、お願いします!」
話していたらラグビー部の部活紹介は終わってしまった。次は剣道部か……
「部長の轟 飛燕です。よろしくお願いします。今回は剣道の型を披露しようと思います。」
出てきたのは昨日色々厳しく教えてくれた飛燕さん。頭以外の防具をつけわ頭の防具を小脇に抱えて舞台袖から同じく防具を着けた人と一緒に出てきた。
剣道部の部長だったんだ。
「では早速始めます。」
そういって頭の防具をつけると飛燕さんともう一人の部員らしき人はお互いに礼をする。そして竹刀を構え、
「セイッ!!」
飛燕さんが打ち込み、もう一人の人が受ける。
素人目に見てもすごい迫力だ。
「……すごいな。」
直矢が思わず言葉を漏らす。
「直矢もやってたんでしょ? アレってそんなにすごいの?」
確かにすごいんだけど直矢ならできちゃいそうな気がする。
「俺がやったのは実戦重視の剣道だしな……それに、竹刀で戦えるようになるため、というより竹刀を持った相手に負けないために竹刀での戦いを体験する、みたいな趣旨だったからな、俺にはアレはできない。動き全てが洗練されていて、惚れ惚れする動きだ。実戦でもさぞ強いんだろうな、と思わされる。」
「勝てる?」
直矢は強いみたいだし、その強さを誇りに持ってるみたいだけど、ここまで誉める相手だとどうなんだろう。
「正直自信がないな。並みの剣道家相手なら真剣を持っていても勝つ自信があるが、あの人相手となると木刀でもどうだか。竹刀ならなんとかってところか。少なくとも、少々剣道をかじった程度の俺じゃ剣道の試合という形の勝負じゃまず勝てないな。剣道三倍段なんて言葉もあるしな、俺が剣を持たなくても勝てるかどうか分からん。」
「え、直矢勝てないのマジで!? それってつまり誰も勝てないってことじゃん!」
と澄也。
「いやそんなことは無いだろ。俺より強いやつなんてそこら中に……とは言わないが、いないわけじゃない。うちのジジイなら勝てると思うぞ。ジジイに比べたら俺なんてまだまだだよ。」
「いやそれはお前の爺ちゃんがおかしいだけでさ、お前大抵の相手に負けないじゃん。第一、武器を持った男10人くらいに囲まれて余裕で帰ってくる奴がまだまだなわけないでしょ。」
「あの時は相手が数だけのへなちょこだったからでだな……それにジジイなら俺の半分の時間でしかも無傷で勝てる。」
「だからそれはお前の爺ちゃんがおかしいんだって。」
直矢の爺ちゃん何者だよ……
最近、過去の自分の文章が余りにも拙くてこんなものをネットに公開しているのが恥ずかしすぎると思い、大幅改稿に向けて一話から書き直しているのですが、話の大筋は変わらなくても細かな部分が結構変わりそうなので、新しい小説として公開するか改稿という形にするかで迷っています。
細かな部分の違いがこの先の話にも影響してくると思うので、できれば改稿した後、最新話を読む前に一通り目を通していただけると嬉しいのですが、何せ量が多いので面倒に感じる方も多いかなと思います。
長らく更新してなかったのもあって読んでくれている方も減っているのかな、と思うと全部書き直した後に新しい小説として毎日更新した方が、読み直しも楽かなと思いますし、新しい読者さんを取り入れられるかなと思います。一方で、前から読んでいただいている人には悪いかなーなんても思います。折角感想などももらっているのでそのまま続けたい気持ちもありますし。
まだ一話の書き直しをしている段階なので先の話になるとは思うのですが、どちらがいいか意見を頂けると嬉しいです。感想でもメッセージでもいいのでご意見お待ちしております。




