女子は大変だぜ……
「幸、試着するぞ!」
「う、うん!」
とりあえず、その場を誤魔化すために着ることにした。
ブラウスを着て、スカートをはく。
……スカートをはくのにも少し慣れてきたな。悲しい。
「うー……いいなー……」
「ん? どした?」
「お姉ちゃん、スタイルいいなー、って。ズルいよー。」
「んな事言われてもなぁ……」
俺も好きでこの体になったワケじゃないし……
「それに、別に幸もスタイル悪いワケじゃないだろ。俺は好きだけどな。」
だがロリコンではない。シスコンではないとは断言できないかもしれないが……
「ふぇっ!? ほ、ホント……?」
「……別に嘘言っても仕方ないだろ?」
「まあ、そう……だね。でも、そのー……胸とか、無いし……あった方がいいんでしょ? 男の人は……」
「……胸ありゃいいってもんでもないだろ。逆に無い方がいいって人もいるらしいしよ。人それぞれだよ。気にしなくてもいいんじゃねえの? 別に。」
「そう、かぁ……お姉ちゃんは、どっちかな?」
「え? ……どっちでも、いい。てか、どっちも、イケる。うん。」
なんか知らないけど滅茶苦茶恥ずかしいなこれ……
「……そっかぁ。へへへ、じゃあ、幸にもチャンスはあるね!」
照れたような笑顔で言う幸。ヤバい、可愛い。……シスコンではない、と信じたい……
「そ、そうかもな……」
性別の問題は気にしないのだろうか……いや、まあ、兄妹(姉妹では無いと思いたい)って時点で問題ありまくりではあるが。
「で、どう? 制服。」
ちょっと気まずくなった空気を戻すことも兼ねて聞いてみる。俺の部屋に姿見なんて物はない。
「んー、いいんじゃないかな。幸の部屋来なよ。姿見あるし。」
「ん、じゃあそうするか。」
幸の部屋へと向かう。あ、昨日のぬいぐるみが飾ってある。俺も後で飾ろう。
なんて、考えながら姿見を見ると……
「ちょっ、これ透けてんじゃん!」
ブラウスから下着が透けていた。……え、何これ恥ずかし。
「うん。だから、キャミソール着たらいいよ。」
「きゃみ……そーる?」
とは、なんぞや?
「あー……んーとね……まあ、ブラとか、透けないようにするためのヤツだよ。」
「へぇー……」
まあ、よく分からんがとりあえずそれ切れば透けないならいいか。
「それも、予測して今日買っといたんだよー。」
そういえば、なんか下着売り場にも行ってたなぁ……流石に居にくいから違うとこに行ってたけど。
「へぇー、準備いいのな。」
「ちょっと待ってて、今持ってくるね。」
「おう。」
タッタッター、と幸が廊下を走る音が聞こえる。
にしても……なんも着ないとここまで透けるもんなんだなー……女子って大変だ……
「持ってきたよー。」
言いながら幸が持って来たのは、タンクトップの胸元にレースをあしらって、肩の部分を紐にしたような服。
「これがキャミソール……ねぇ……」
よく分からん。ホント、こういうのには疎いからなぁ、俺……
「うん。まあ、とりあえず着てみなよ。」
「そーするか。」
ブラウスを脱いでキャミソールとやらを着る。
「これでいい?」
ブラウスを着なおして聞く。
「そだね。」
鏡を見ると、あまり透けなくなっている。……キャミソールの肩紐がちょっと透けるのは仕方ないのかな……?
「……これがちょっと透けるのは仕方ないのか?」
「そだねー。それも嫌なら違うのにするとか。」
「違うのって?」
「んー……紐が何本かあるのならお洒落に見えていいんじゃないかな? 他には、紐の無いヤツにするとか。」
「そんなのもあるんだ。」
「うん。今回は買ってないけど、光花お姉ちゃんなら持ってるんじゃないかな?」
「へぇー。まあいいや。じゃ、そろそろ脱ぐ。」
「えー、お兄ちゃんとかにも見せようよー。喜ぶよー?」
「えー……」
「いいじゃんいいじゃーん。」
「んー……まあいいけどさー。」
どうせ明日には嫌でも見せなきゃならんワケだし。
「やった! じゃ、行こ!」
「はーい……」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「お兄ちゃんお兄ちゃーん!」
幸が大きな声で言う。
恥ずかしいしやめて欲しい……
「ん? どしたー?」
兄貴が漫画から顔を上げて答える。
「見て見てー!」
「ん? おお、楓、可愛いじゃんか!」
「あ、ありがとな……」
なんか、こう普通に真正面から褒められると流石に照れるな……
「で、その肩のはもしや……」
「見んなバカ!」
「おお、てことは……」
「別に下着じゃねぇから!」
「マジでか! 残念!」
「残念がるな変態!」
やっぱり兄貴は兄貴だ。ったく……
「何!? 下着!?」
姉貴が反応して来やがったよ……
「あら、楓制服可愛いじゃない。ミニ可愛いわ、似合ってるわよ。食べちゃいたいくらいだわ。」
「本気で引くからやめてくれ。」
鳥肌がヤバいぞ……
「あら……それは困るわ。あ、中にはちゃんと着たのね。」
「幸に教えてもらってな。」
「へぇ。流石ね幸。可愛いわ。あ、そうだ、今から一緒にお風呂入らない?」
「うん、そうしよ! お姉ちゃんも一緒に入ーろ。」
「んー……またかよー……」
当たり前だが、気が進まない……正直さ、結構気まずいんだよ……
「えー、いいじゃーん、入ろうよー。」
「まあ、いいけどよ……」
妹に頼まれては断れん。
次の更新は24日。
あ、クリスマスイブだ。もしかしたら何か書くかもしれません、今から←




