直矢マッサージ上手過ぎ……
直矢は……滅茶苦茶マッサージが上手かった。筋肉痛とかそういうの抜きに普通に毎日してもらいたいくらい。おかげですっかりリラックスして顔の火照りも収まった。
「んっ……」
ホントに上手くて変な声が漏れる。
「ぁ……んぅ……ふぅ、ぅ……」
「しかし……ホントに柔らかいな……」
直矢が困った声で言う。
「うん……俺も驚いた。はぁぁ……そこ、いい……」
「……その、だな。」
「ん?」
「……そういう声はそのー……あまり良くないと思うんだが……というか……やめてくれると助かる。」
「……なるほど。気をつける……けど、正直自分の意思じゃないって言うか……ぁん……」
「……なるべく気をつけてくれ……」
「……頑張る。……あっ、うぁ……」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「あー、気持ちよかった。またこんどやって?」
ベッドから起き上がって体を伸ばす。結局、10分くらいマッサージしてもらった。ホント気持ちいい。
それに、ネクタルのおかげか、筋肉痛もほぼ治った。流石すぎる。
「ま、まあいいが……とりあえず……服を着てくれ……」
「……あ。」
すっかり忘れてた……直矢のマッサージホント気持ちいいんだもん……
「ちょっ、ちょっと見なかったことにして!?」
一気に顔が熱くなる。多分真っ赤だ……恥ずかしい……
「大丈夫だ、元から必要最低限しか見てない。とりあえず俺が楓を見れるように服を着てくれ……」
「い、今着る! すぐ着る!」
滅茶苦茶恥ずかしい……
「……着たよ。」
「助かる。それじゃあ、すぐ降りた方がいいんじゃないか? 多分、待ってるだろうから。」
「そうする。」
言って、ドアを開けると、
「中で何があったんだ直矢!? もしかしてアレか!? アレなのか!? 聞こえた声的に!」
澄也がすごい勢いで聞いて来た。
「……一回、線路に飛び込んでみるか?」
「普通に死ねって言われるよりもなんか辛い!?」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「おはよー。」
リビングに入る。おお、味噌汁のいい匂い。
「おはよう楓。筋肉痛はもういいの?」
姉貴が聞いて来た。
「うん、大丈夫。直矢にマッサージしてもらったから。」
「……なんですって!? 直矢君、どういうことか20文字以内で説明しなさい!」
「えーと……話せばいろいろ長くなるので20文字以内は無理ですね。」
「31文字、文字数オーバーよ。よって、刑を執行するわ!」
滅茶苦茶だこの人。
「ぬおっ!?」
とうっ!と直矢に飛び掛る姉貴。なんとかいなす直矢。
「……中々やるわね。」
「……そっちこそ。」
……こんな少年漫画展開には付いて行けません。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「さあ、行くわよー!」
お袋が言う。
「「「おー!」」」
姉貴、幸、そして兄貴が元気に答える。
「……で、なんで兄貴がいるの?」
「なんでって、そりゃ、俺だって楓が色々な服着るの見たいし。楓と一緒にいたいし。」
これくらい常識だろ?なんて言いそうな顔で言う兄貴。
……
「キモい。」
一緒にいたいって、えぇ!? なんかもうね……うわぁ……ってなる。うん。
「……どうしよう幸、俺死にそうなんだけど……」
「えっとね……今のはちょっと……気持ち悪かったよ?」
幸、よくぞ言った。
「……お袋、ちょっと首吊ってくる。」
……本当に大丈夫かこいつ。
「行ってらっしゃい。」
お袋!? そこは止めるところなんじゃ!?
兄貴が本当に家の中へ入っていく。
「よし、じゃあ行きましょう!」
「ちょっ、お袋!? 兄貴行っちゃったけど!?」
「大丈夫よ、勇牙なら首吊ったくらいじゃ死なないわ。きっと。」
「いや死ぬから! 一応兄貴人間だから! 首吊ったら死んじゃうから!」
「冗談よ。まあ、実際勇牙ならすぐ復活するでしょ。心配ないわ。場所も知ってるし、後で来るんじゃない?」
「……今日って電車移動じゃなかったっけ?」
兄貴、電車分かるの?
「……走ってくるわよ。」
「……道分かんないんじゃね?」
「なんとかなるわ。勇牙なら。」
「……」
「よし、じゃあ行きましょう!」
……まあ、いっか。兄貴なら迷ってもなんとかなるし。
なお、お父さんはデフォルトでお留守番。
次は15日ですね。




